「学ぶことの大切さ」
 
写真 中原中也祈念館長 福田百合子さん
 
■ もっと勉強したいと思ったきっかけ 先生との出会い
 
 
 私が勉強しようと思ったきっかけは、私の祖母と小学校の先生の影響が一番大きかったですね。大家族で育ちまして、祖母が私に「いつも笑顔でおりさいや。おまえの笑顔は、ほん、笑顔千両じゃ。」と山口弁で言っておりました。ニコニコしておりますと、みんなが楽しくなるし、人の和が保てるということを知ったものですから、いつもニコニコしていました。小学校の初めての学芸会の時にも、人の話をよく聞いてあげないといけないなと思い、ニコニコしてうなづきながら聞いていたと思うのですが、受け持ちの先生から「福田、ニヤニヤするな。ニヤニヤすると舞台に上げないよ。」と叱られ、私はとてもびっくりしました。その時、ニヤニヤというのがいやらしい音感に聞こえたのですね。「ニコニコとニヤニヤとどう違うんだろう。同じことを表しているのに。」それから、状況、場によって、言語が違う意味にとられるということを知って、大きくなったらぜひ言葉の勉強をしたいと思いました。この頃から、作文や国語の時間にとても興味をもつようになったと思います。それから、文章のいろいろな表現、場と表現、表現と伝達をしっかりと押さえないといけないんだなということを身をもって感じたように思います。言葉に関する方面に進みたいなということを子ども心に感じたことが、国文学に進むきっかけになったと思います。 
 
■ 学校の先生、児童生徒、保護者に伝えたいこと
 
 みなさん方にお伝えしたいのは、自分の人生をていねいに生きてほしいと思うことです。昔は私の母などは、浴衣にのり付けをして干してたたむという一連の作業の時に、「ていねいにしいさんや。」と言ったものです。例えば、干すときに襟の所をたたいておくとか、干し終わったものをたたむ手順だとか、そういうことを日常生活の中で教えてくれたような気がします。これからも若い方が育っていかれる中で、日常生活こそ本当にていねいに、いとおしんで生きていくという、そういう生き方であってほしいと思います。 
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