キャリア教育の推進                         〔指導課〕

 キャリア教育の推進 
                            −宇部市立藤山小学校−

1 学校紹介2 具体的な活動内容3 成果と課題4 実践に当たってのポイント
実  践  の  ポ  イ  ン  ト
出会いの仕組み方
事前、事後の学習の充実
保護者への協力依頼
基礎・基本の徹底
キャリア教育の視点から教育活動の見直し

1 学校紹介
 宇部市の西部、厚東川の東岸に沿って南北に長く広がり、もっとも古くから開けた地域である。開校133年目を迎える。幼・小・中・高・大学と隣接しており、文教地区として交流、連携を密にしている。
 学校には、シンボルである、樹齢100年のプラタナスが2本、堂々とそびえ、静かに見守っている。児童のあこがれであり、希望でもある。
 『学校は子どものためにある』という理念に基づき、地域に開かれた学校づくりを推進している。


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2 具体的な活動内容    
4年 総合的な学習の時間
    うちんちの人すてきだよ 〜仕事を見つめ、親の労働に学ぶ〜
(1) ねらい
いろいろな仕事やそこで働く人と出会い、親の仕事をみつめることで、自分の親の仕事に対する理解・共感(厳しさやがんばり、思い)・誇りを育てる。
親と向き合うことで、親の見方をとらえ直し、深める。
親への思いを出し合うことから、友達の生活や親への思いをわかり合う。
さまざまな人と出会うことで、聞く態度を身につける。
さまざまな人と出会い交流することで、コミュニケーション能力を高める。
親の願いを知り、今後の自分の生き方を考える。
思ったこと、感じたことを書くことで確かな表現力を育てる。
(2) 活動のながれ
@「つながりさがし・・なりたい職業を出し合って集まる」
 ・自分たちの気持ち、夢を出す。
 ・友だちのいろいろな面を知り、お互いを認め合う。
 ・いろいろな仕事があり、それぞれに魅力があることを予想する。
A「働く人からの聞き取り」
 ・働く人の思いにふれ、働くことの尊さ・しんどさ・喜び・子どもへの思いなどを学ぶ。
 ・自分の親の仕事に目を向ける。
B「親への聞き取り」
 ・自分の親の仕事や仕事に対する思い・誇り、また自分に対する思いや期待を聞き取る。
 ・親と向き合うことで、親の見方をとらえ直し、親への思いを深めるきっかけとする。
C「クラスでの話し合い」
 ・親の仕事について詳しく学習することを通して、厳しさやがんばり、子どもに対する思いをつかむ。
 ・自分自身の親についても見方をとらえ直し、共感して理解する。
D「詳しい聞き取り」
 ・それぞれの発表をもとに、もっと聞いてみたい、詳しく聞いてみたいと思う保護者の話を聞く。
E「まとめの作文」
 ・自分を見つめ、親を見つめ、友だち、友だちの親を見つめることで、自分自身を考え、自分の生き方を考える。
F 「語る会」  親への手紙
 ・聞き取りのお礼も含めて、自分の親への手紙を書く。
G 「学年集会」
 ・学習のまとめ
 ・参観日に実施

(3) 学習の中でお世話になった人たち
名   前 内     容
宇部市環境衛生課 Mさん  ごみ収集作業の見学・説明 
 実際に作業を体験する
読み聞かせグループ
 グリムの会
 読み聞かせの会保護者
 本の読み聞かせ
 ブックトークなど
 朝学の読み聞かせ
ボランティアグループ
 べっぴんしゃん
 ボランティア活動について
 手話を教えてもらう
藤山消防団  Sさん  消防団の活動について
 なぜこんな活動をしているのか 
庶務員    Tさん  学校のごみ収集について
宿日直代行員 Oさん
       Hさん
       Tさん
 仕事の内容
 仕事を通して、子ども達にお願いしたい
こと
保護者 Mさん
    Hさん
    Nさん
    Iさん
    Uさん
    Sさん
    Aさん
    Gさん
    Bさん
    Dさん
    Eさん
    Kさん
 看護士の仕事について
 家事について
 八百屋の仕事について
 保育園の仕事について
 ホテルの仕事について
 安全研究所の仕事について
 車関係の仕事について
 商社の仕事について
 電力会社の仕事について
 警察の仕事について
 内職の仕事について
 パートの仕事について

(4) 学習の実際
@  Mさんのお母さんの話(抜粋)
 「私は看護師の仕事をしています。看護師の仕事は「人の命」と直接かかわっているので、その責任を自覚しなければなりません。ひとつ間違ったら患者さんがなくなってしまいます。いつも緊張して仕事をしています。
 看護師の仕事をしていて、一番幸せなのは、患者さんの笑顔を見ることです。病気で苦しいときは、笑顔になれません。みなさんも苦しかったら笑顔になれませんよね。でも、少しでも良くなった時、患者さんから笑顔が見られたら、本当によかったと思います。」
〈児童の感想と聞き取りメモ〉
<保護者からの手紙 親思う心より親心>
A Sさんのお父さんの話(抜粋)
B Nさんのお母さんの話 1枚の布が服になる(抜粋)
(5)児童の感想と手紙


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3 成果と課題
この学習がきっかけで児童が生活の中で変容していった。進んで行動することが多く見られた。「人」に出会い、「思い」にふれたことが、心を大きく動かしたのではないか。自分の親の仕事を知り、願いを知る、それだけの活動では聞いてその場で終わりとなりがちである。しかし、いろいろな親の仕事について知り、願いにふれることで、子どもたちは少しずつ心にしみていったように思う。
 子どもたちは「どの親も願いは一緒なんだ」ということが分かって、もう一度自分の親について出会い直し、見つめ直すことが活動の中で自然にできていった。そして、自分がなすべきことを考えるようになっていった。
聞く態度、ノートにまとめる力がついた。
親とのコミュニケーションを図ることができるようになってきた。
各教科、道徳、特別活動、総合的な学習の時間など、学校教育全ての学習や活動の中に子ども一人ひとりのキャリアの発達を支援するという視点を取り入れることで、子どもたちは自分の将来に自信と夢を持つことができる。


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4 実践に当たってのポイント
出会いの仕組み方
 これまでも、地域の人やいろいろな活動をしておられる方との出会いは経験しているが、一番身近な親との「出会い」は子どもの内面を刺激し、心に価値あるものをぶっつけ、変容へとつながった。「人」と出会うということが子どもの成長にとって重要なことであり、身近な人との出会いがポイントである。
事前、事後の学習の充実
 聞き取り取材だけでなく、実際に「親が語る」という活動や、感想、手紙、集会、発表と多彩な活動を取り入れることが必要である。また、「親の働く姿」を見せる学習も、今後考えたい。活動を通して、親との直接的なコミュニケーションを図ることが大切である。
保護者への協力依頼
 参観日や学年だより等をつかって、学習のねらいや学習の計画を知らせることが有効である。今回も多くの親が子どもの前で話してくれた。子どもたちのまなざしを一点に集中させたのは、保護者の熱意であった。日頃なかなか子どもと向き合えないが、この機会に家族と心の交流ができたと感謝の言葉が多くあった。
基礎・基本の徹底
 この学習では、聞く力、伝える力、まとめる力、表現する力、書く力などが必要となる。さまざまの学習の中で「学ぶ力」をつけておくこと、各学年に応じた学力を確実に身につけておくことが大切である。
キャリア教育の視点から教育活動の見直し
 キャリア教育とは、これまでと違う新しい教育活動を始めるのではなく、自分が将来社会の中でより良く生きるための学習であり、学校は「学習するところである」ということを認識することが大切である。


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