「幼児教育長期研修」研修生との取組み                    〔指導課〕
○「幼児教育長期研修」研修生との取組み
                       −
周南市立福川南幼稚園−
1 学校紹介2 具体的な活動内容(1)研究目的(2)研究方法
(3)よりよい食習慣の確立をめざした保護者との連携
(4)学級便りを活用した取組み(5)小学校との交流活動の実践及び合同研修
3 成果と課題4 園長から見た実践のポイント
実  践  の  ポ  イ  ン  ト
 小学校教員の経験を生かした幼稚園での取組み
 小学校教員から見た幼稚園教育のよさの紹介
 小学校と幼稚園のつなぎ役としての取組み

1 学校の紹介
 本周南市は合併2年目の新しい市である。本園は周南市新南陽地区の西部に位置しており、川や山に囲まれ自然に恵まれている。また、周南市立福川南小学校に隣接しており、幼稚園前を流れる川の向こうには保育園があり、地理的には幼・保・小の連携を推進しやすい位置にある。近隣に老人保健施設もあり、地域の人々と積極的に交流を図っている。平成17年度には、広い園庭の一部を活用して、福川南児童館が開設する予定である。

     (周南市立福川南幼稚園)
    
    

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2 具体的な活動内容(1)研究目的(2)研究方法
 
 本園では平成16年度、「幼児教育長期研修」の研修園を引き受けることになった。
 「幼児教育長期研修」とは、県が幼保・小一貫指導推進事業の一貫として実施している研修である。小学校の教員を1年間幼稚園に派遣し、幼児期の育ちや指導を踏まえた小学校低学年での指導の在り方について研修をするものである。
 本園では、派遣された小学校教員(以下、「研修生」という。)と共にできることを工夫し、本園の教育をより充実したいと考えた。

(1)研究目的
@1年間、研修生と共に教育活動を展開することを通して、小学校教育への理解を深めるとともに、幼稚園教育のよさや課題について協議し、幼稚園教育を見直すとともに質の向上を図る。
A研修生の小学校教員としての経験を生かして、幼稚園と家庭との連携をさらに推進する。
B文部科学省から研究協力機関として指定を受けている、「就学前教育と小学校の連携に関する総合的調査研究」を進めるに当たり、研修生をつなぎ役として生かすことにより、効果的に研修を推進する。

(2)研究方法
@研修生が感じ取った幼稚園教育のよさや課題について職員会議等で協議、検討
A研修生の小学校教員としての経験を生かした保護者会での講話、学級便りへのワンポイントアドバイスの掲載
B幼稚園・保育所・小学校間の交流活動、情報交換会、合同研修会の実施

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(3)よりよい食習慣の確立をめざした保護者との連携


(子どもの食事の様子に対する研修生の気付き)


・栄養のバランスが偏っている弁当が気になる。野菜が入っていない弁当を多く見かける。
・冷凍食品やインスタント食品の利用が多い。
・デザートの占める割合が大きい。果物、ゼリー類がお弁当全体の半分程度入っている。
・箸がうまく使えない子どもがいる。突き刺して食べたり、スプーンを中心に使って食べたりする姿も見かける。
・食べ終わるまでに長い時間を要する子どもや、食べることに集中できない子どもがいる。
・食べこぼしたものを自分で拾う習慣を身に付ける必要がある。
                    

 (昼食参観週間の様子)
 他の子どものバランスの取れた弁当の内容など参考になる。
 自分の子どもの食事の態度やマナー、後片付けの実態を理解する。
保護者が指導をする場面も見られた。

(研修生の講話「よりよい食習慣を確立するために」)

小学校教員としての経験に基づく講話

 
・学校の給食献立表を配布
・小学校での給食の実際
  食事の時間について
  給食の献立
  朝食を取ることの大切さ

・栄養のバランスの取れたお弁当

・家庭でもいろいろな種類の食材を取り入れ、調理方法を工夫して食卓にのせること

・正しい食事の仕方を身に付けること
  姿勢、箸の持ち方、
  食事中の基本的なマナー、
  食べこぼしを拾う習慣を身に付けること

(講話後の学級懇談会〜前向きな意見)


・食事に関して日頃悩んでいることや、工夫していることなどが紹介された。
・「ぜひ給食試食会を行いたい。」という多くの希望が出てきた。
・「お弁当にゼリーを入れないようにみんなで取り決めをしよう。」などの栄養のバランスを考えた前向きな意見が聞かれた。
(取組みによる成果)

・お弁当のおかずに変化が表れた。煮物、和え物などが入るようになった。
・おにぎりが減って、普通のご飯が入るようになった。
・箸の持ち方など指導をしている様子が伺えた。
・子どもに嫌いなものも食べようとする意識が見られるようになった。
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(4)学級便りのコーナーを活用して

 学級だよりに、研修生のワンポイントアドバイスを掲載した。これは保護者に大変好評で、この中で、研修生は幼稚園教育のよさにもふれた。以下はその一例である。
 
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(5)小学校との交流活動の実践及び合同研修

福川南幼稚園は、福川南小学校、福川南保育園と共に、文部科学省の「就学前教育と小学校の連携に関する総合的調査研究」の研究協力機関として研究を進めている。交流活動を計画、実践するに当たっては、何度も協議を重ね指導案等を検討するが、意見の食い違いも多く、研修生は両方の立場を理解し、つなぎ役としての役目を果たしている。
 そのため、交流活動では幼稚園、小学校双方の子どもが生き生きと活動し、それぞれのねらいを達成したすることができた。

           

 (こままわし)                  (凧つくり)

(手づくりすごろく遊び)             (だるま落とし)

(遊んで楽しかったことの発表)
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3 成果と課題

1)成果として
@幼稚園・保育園・小学校の交流活動や合同研修をする際に、研修生をつなぎ役となることで、お互いの教育内容や指導の在り方への理解が深まった。
A幼稚園の行事や活動を行う際、同じ行事について小学校ではどのように行っているか研修生から聞くことができ、幼稚園教育、小学校教育の段階を考慮しながら指導することができた。
B今までは、目の前の幼児の育ちを中心とした保育を行ってきたが、小学校教育を知ることで、先を見通した保育を考えるようになり、保育に対する考えの幅が広がってきた。
C研修生の小学校教員としての経験を生かして、保護者に小学校生活や教育について伝えていくことで、保護者の幼児に対する姿勢が変容してきた。

(2)課題として
@幼稚園・保育園・小学校が一緒に活動できることを考慮して交流活動を行ってきたが、お互いに年間活動計画を見直し、教育課程に位置付け、継続した活動とする必要がある。
A研修生の研修終了後も、小学校との連携を継続し、お互いの教育についてさらに理解を深めていきたい。
B研修生の研修終了後も、保護者への啓発や連携を継続していけるよう、幼稚園の子育て支援体制をより充実していきたい。

4 園長から見た実践のポイント

 幼児期の発達と個々の発達を考慮した教師のかかわり
 就学前の年長クラス後半と小学校入学期の適切なつながり及び指導の模索
 「幼児教育長期研修」研修生のつなぎ役としての役割

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