学力向上フロンティアスクールの取組み               (指導課)

豊かな心をもち、主体的に行動できる生徒の育成
   〜「確かな学力」をつけるための工夫〜
                        
 −萩市立萩西中学校−

    1 学校紹介2 「学力向上フロンティア事業」の取組み
    3 「個に応じた指導のための指導方法・指導体制の工夫改善」
    4 アンケート調査結果5 実践を通して
実  践  の  ポ  イ  ン  ト
 学びの場としての環境づくりを充実させ、学習習慣や豊かな心が身に付くことをめざす。
 全教科で授業評価を実施して指導方法や指導体制の工夫改善に取り組み、生徒の意欲を引き出す授業をめざす。
 研究授業を通して、研究課題の解明に努める。

1 学校紹介
 本校は旧萩城内三の丸跡にあり、国指定重要伝統的建造物群保存地区のほぼ中央に位置している。緑豊かな指月山を指呼の間に望み、山口県立萩高等学校、山口県萩青年の家、旧藩学明倫館跡が隣接し、閑静にして教育的に最も恵まれた環境である。
  
 校舎の正面にたたずむ校訓には、「敬愛」「自律」「健康」という字が記され、萩西中の生徒が健やかに育つよう、日々生徒を見守り、語りかけている。
 生徒は明るく活発で、体育大会や文化祭などの学校行事では、生徒会を中心に主体性をよく発揮し、一人一人が自分らしさを発揮する姿が多く見られる。また、部活動にも大変熱心に取り組んでいる。
 平成14年度〜16年度の3年間、「学力向上フロンティア事業」の指定を受け、研究を進めている。   
(学校の詳細は http://www.ymg.ed.jp/〜hagi-w-j/ へ)


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2 「学力向上フロンティア事業」の取組み
 研究課題を「豊かな心をもち、主体的に行動できる生徒の育成−『確かな学力』をつけるための支援の工夫−」とし、研究2年次を迎える平成15年度は、四つの研究組織に分かれ、研究を進めた。
四角形吹き出し: 道徳・特活研究部

<活動内容>
@ 学習環境づくり
 A 生徒会活動の活性化
 B 道徳教育の充実



四角形吹き出し: 総合的な学習の時間研究部

<活動内容>
@ 主体的な学び方の習得
A 自己の生き方を考える場の設定
B ふるさとに目を向けた課題設定
  


 
四角形吹き出し: 教 科 研 究 部
指導方法の工夫改善研究班

<活動内容>
@ 学力のとらえ方  
A 学力のつけ方  
B 学力の評価方法
  

四角形吹き出し: 教 科 研 究 部
教材開発研究班

<活動内容>
@ 個に応じた教材の開発
A 学習意欲を高めるための教材の開発 
B 習熟度に応じた教材開発

ここでは、「教科研究部指導方法の工夫改善研究班」の実践を紹介する。

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3 「個に応じた指導のための指導方法・指導体制の工夫改善」
 本校では、少人数指導を実施している英語科・数学科だけでなく、どの教科においても「個に応じた指導のための指導方法・指導体制の工夫改善」に取り組むことにしている。特に本年度は、下記の視点で、共通理解・共通実践を行った。

(1) 学 力 の と ら え 方
 教師だけでなく生徒にもできる限りわかりやすく具体的に示すために、学力を「教科のめざす生徒像」に置き換えて考えることにした。

教 科 学年・クラス 学力をどうとらえるか(めざす生徒像)
数学科 3年・基礎クラス 「論理的思考力をもつ生徒」
英語科 1年・標準クラス 「英語学習に強い熱意をもつ生徒」
英語科 3年・基礎クラス 「英語学習に目的をもち、進んで努力する生徒」

 その他、理科、保健体育科、特別支援教育、給食指導でも取り組んでいる。

*英語科・数学科は習熟度別少人数指導(基礎、標準、発展の3クラス)を実施している。
学 年 1 学 期 2 学 期 3 学 期
1 年 一斉、少人数併用 均等少人数 習熟度別少人数
2 年 一斉、少人数併用 均等少人数 習熟度別少人数
3 年 一斉、少人数併用 習熟度別少人数 習熟度別少人数
角丸四角形吹き出し: < 例 : 「英語3年・基礎クラス」での考え方 >
「英語学習に目的をもち、進んで努力する生徒」
 3年習熟度別基礎クラスは、「英語が苦手でやり直そうと思っている
生徒のためのクラス」で20名が学習している。英語を苦手とする理由
は、様々であるが、共通しているのは英語学習の意義が十分に実感でき
ていない点である。そのため努力も長続きせず、基本が身に付いていな
い。結果として英語が苦手となり、やる気を失うという悪循環に陥って
いるのが現状である。そこで、何より英語学習の楽しさや英語学習が何
らかの形で自分の将来に役立つことを気付かせ、英語学習に目的をも
ち、進んで努力する生徒こそ理想の学力をもつ生徒と考えた。
(2) 学 力 の つ け 方
 研究の中心課題を、「どう学力を付けていくか」という点に置いた。そして、次の流れで研究を進めることにした。

@ 指導方法・指導体制を工夫して実践する。
A 実践後、適切な評価によって、めざす生徒像に近づいているかどうかを確認する。
B 見つかった課題について、更なる指導方法の工夫改善を図る。

< 英語科の具体的実践例  基礎クラス>
つけたい学力 指 導 方 法 評 価 方 法
英語学習に目的をもち、進んで努力する。 ○実践英語学習単元の特設や授業での活動を通して英語学習の楽しさや意義を実感させる。 ○アンケート調査の実施や日頃の授業での観察を通して生徒の変容を見る。
○個々の活動で具体的な目標を設定して、確実に基礎学力を身に付けさせることで、達成感を感じさせ、学習意欲を高める。 ○具体的な目標の達成率を確認し、不十分な点について更なる工夫を加える。

@ 英語学習の楽しさや意義の実感のために
 ア 日頃の授業において
  ・ 英語の歌を使ってのリスニング(ビートルズ、カーペンターズ等)
  ・ ゲームを取り入れた会話練習、単語暗記(双六ゲーム、しりとりゲーム)
  ・ ALTとの対話練習(場面設定によるスキット)
 イ 実践英語学習(年間9時間)
  ・ 1学期「カラオケで英語の歌を歌おう」(3時間)
  ・ 2学期「映画を英語で楽しもう」(3時間)
  ・ 3学期「英語でスピーチに挑戦しよう」(3時間)

A 確実に基礎学力を身に付け、意欲を高めるために
付けたい力 方          法
単語力 ・動詞の変化表(教科書不規則動詞62語)の暗記
・基本単語(自作100語)の暗記
文法力 ・教科書の基本文型の(1年〜3年)の習得
・基本文型プリントの活用
聞く力 ・英検5級リスニング問題
話す力 ・基本質問(自作30)の応答
・教科書に載っている会話練習16パターン(1年〜3年)のペアでの暗記
数値目標 ・定期テスト得点50点以上を目標に学習する
【 指導方法の工夫改善班 研究授業(英語) 】

(3)学力の評価方法
< 英語科の具体的実践例  基礎クラス>
@ 生徒による授業評価
質 問 項 目 とても すこし あまり 思わない
1 授業は楽しかったか。 12% 65% 23% 0%
2 授業はよくわかったか。 26% 48% 23% 3%
3 授業のやり方が工夫されていたか。 20% 49% 28% 3%
4 英語を使って活動する時間が十分にあったか。 23% 46% 28% 3%
5 わかったことやできるようになったことがあったか。 40% 40% 17% 3%

A 教師による観察
 ここで言う「観察」とは、例えば、この英語科では、授業での小テストの結果や、ALTとのコミュニケーションの中での単語力も含め、教師が総合的に見たものである。
< 総 合 力 >
単語力 文法力 聞く力 話す力
30% 30% 60% 40%

B 具体的な目標に照らした到達度評価
< 定期テストの平均点の推移 >
1・中間 1・期末 2・中間 2・期末 県共通 平 均
基礎クラス平均 48.7 46.3 54.1 54.8 41.2 47.6 
学年平均 67.4 66.2 69.8 71.4 54.3 64.7
18.7 20.2 15.7 16.6 13.1 17.1

 三つの評価方法を紹介したが、多様な方法での評価により、より客観的な評価方法も可能になると考えている。


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4 アンケート調査結果
 昨年度に引き続き、学習を中心としたアンケート調査を全生徒、保護者に実施した。
 14年度と15年度を比べた結果、学習への意欲や授業内容の理解度は、少しずつではあるが、向上してきている。

 


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5 実践を通して

(1)成果として
 学習に対する姿勢が身に付いてきた。
 学ぶ意欲が高まってきた。
(2)課題として
 主体的な学びができる生徒をどのように育てていくか
○ 校長から見た指導のポイント
 学校全体で研究に取り組む体制をつくる。
 共通理解の下に各研究部の活動を進める。
 授業実践を通して研究成果が生徒に生きるようにする

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