学力向上フロンティアスクールの取組み                〔指導課〕
 学びのよろこびを味わう子どもの育成                   
 −山口市立平川小学校−

   1 学校の紹介2 具体的な活動内容3 成果と課題
1 学校の紹介
 本校は、山口盆地を北東から南西に流れる椹野川の東側、平川地区の中央部にある学級数29、児童数970人を超える大規模校である。平川地区は、幼稚園から大学まである文教地区である。
 教育目標に、「夢をもち、瞳かがやく平川っ子の育成」を掲げ、「自ら進んで学ぶ子」「一生懸命がんばる子」「思いやりのあるやさしい子」「たくましい元気な子」をめざし、個々の児童の成長への願いに応えるために、日々の授業や生活を大切にし、心と体の健康づくりを図っている。
 その一環として、平成15年度から、文部科学省の「学力向上フロンティア事業」実践研究校の指定を受け、児童の理解や習熟の程度に応じた指導や児童の実態に応じたきめ細かな指導を行い、確かな学力の定着に努めている。


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2 具体的な活動内容
(1) 研究主題
学びのよろこびを味わう子どもの育成
 −算数科におけるきめ細かな指導のあり方を求めて−

(2) 研究仮説
 算数科の授業づくりの視点を明確にし、それぞれにおける工夫と改善を図ることによって、子ども自らの追究意欲が高まると同時に、数学的な考え方(思考力)が身につき、学びのよろこびを味わわせることができるであろう。

(3) 研究の具体化
授業づくりにあたって
 子どもの学ぶ意欲を大切にし、主体的に課題と向き合うことを進める。また、学級が安心して学ぶことのできる場となるように、授業づくりと学級づくりを相即不離の関係ととらえ、学級づくりに取り組む。
授業づくりの4つの視点
課題意識と追求への見通しのもたせ方の工夫(視点1)
 課題意識をもたせるために、
 ア その時間に何を学べばよいかという課題を明確する
 イ 導入において「やってみたい」「解いてみたい」「考えてみたい」という思いをもたせる。
教材の特性や子どもの実態等に応じた指導形態の工夫(視点2)
 ア 単元の各段階、学習内容の特性、子どもの実態の3点から少人数指導の形態を考える。
 イ 少人数指導ならではの授業を構築するために、初めに少人数ありきとは考えないで、その理想の授業の具体的な方策を練ることから始めるようにする。そのことを繰り返していきながら、一斉画一指導からの脱却を図ったり、自己教育力の育成に努めたりすることができる。
一人ひとりの思考活動を促す算数的活動の開発(視点3)
 現行の小学校学習指導要領算数編において、重視されている算数的活動の開発に当たって、子どもが目的意識を見失わないような活動にすることや、友だちとのかかわりが生まれるようにすること、また、日常生活と結びついたものや既習事項を活かしたものにすることなどの留意点を考えた。
思考力を高めるための指導に生かす評価の工夫(視点4)
 子どもの考え方の変容を見取る視点として、「変化」「強化」「深化」という3つの視点を定めた。また、考え方の変容をねらうために、考え方のパターンを示すことと表現力の育成に努めることに取り組んだ。


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3 成果と課題
 研究の成果
(1) 課題意識と追求への見通しのもたせ方の工夫
目標となる活動を単元終了時に仕組むことが、学習への興味・関心を持続させることにつながる。
授業の流れのパターンをつくることで児童の主体的活動が可能にできる。
導入を工夫することで単元全体の見通しを持たせることにつながり、活動が活性化する。
課題を明確につかませるために、ゲーム的な要素のある導入を位置づけること。
習熟度に応じた教材との出会いを工夫すること。

(2) 教材の特性と子どもの実態に応じた少人数指導を含む指導形態の工夫
クラスを解体して担任教師以外の教師とふれあう機会をもつことが、児童に学びのよろこびを味わわせることにつながる。
同一単元の中においても、「教材の特質」や「児童の実態」を踏まえた様々な指導形態を組み合わせた授業を行うこと。

(3) 子ども一人ひとりの思考活動をうながす算数的活動の開発
算数的活動を開発する際に、活動でのねらいを明確にする、友だちとのかかわりを生み出す工夫をする、ゲーム的要素を取り入れるなどの工夫をすることが、子どもたちの課題意識を持続させることにつながる。

(4) 思考力を高めるための指導に生かす評価の工夫
ノート指導を充実させることを通して、個々の考え方や友だちとのかかわりなどをよりよく把握することができた。
個に応じた対応をよりよいものにしていくために、観点を明確にした学習感想を書かせる。
考え方のパターンを示し、考えを表現することに継続して取り組むことにより、多様なものの見方・考え方ができるようになってきた。
 今後の課題 
基礎学力の定着と同時に、発展的な内容も含めて考えていく。
習熟度別編成に適した学習過程や学習方法を考えること。
大きな視野で学習の重点をどこに置くかを考えるために、領域に関する思考力の定着度を継続的に見ていく。
子どもたちのコミュニケーション能力の育成を、国語科との関連も視野に入れながら取り組んでいく必要がある。


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