学力向上のためには、各教科の基礎・基本の学習内容の指導徹底は避けられない課題である。中でも数学科と英語科においては学力差も激しく、少人数指導の活用が求められている。本校では平成13年度より数学科が平成14年度からは英語科が少人数指導を取り入れている。 |
現在、数学科では1年生と3年生の授業を習熟度別の少人数授業で行っている。両学年ともに、生徒自身の選択により、1学級をAコース(基礎的内容)とBコース(発展的内容)の二つに分けている。1単元が終了するごとにアンケートを取り、自分の理解度に合わせて選択できるようにしている。教師も単元ごとにコースを入れ替わり、なるべく多くの生徒の様子を把握するよう努めている。 |
@ 各コースの概要
両コースとも、教科書の内容を中心に展開している。しかし、新しい学習指導要領になって以降、数学の学習内容も精選され、減少してきた。それに伴って、教科書の問題数も減ってきている。よって、教科書の問題だけでは、理解が早い生徒は物足りなさを感じ、理解が不十分な生徒は、演習量が少ないため、しっかりと定着させることができない。そこで、問題演習が必要な場面では、自作プリントを作成し、使用している。 |
Aコース(基礎的内容)は、教科書の問題と同程度か、より平易な問題を中心にしている。これは、前述のように、演習量を増やし、基礎・基本を定着させることをねらいとしている。特に、1年生では重視している。 |
Bコース(発展的内容)は、やや難易度をあげた問題を準備している。1年生では、分数を扱うような計算、3年生では過去の入試問題などに取り組んでいる。 |
両コースとも、教科書の内容を学習していくが、どうしても、Aコースが遅く、Bコースが早くなるといったように、進度に差が生じてしまう。基本的に、進度の遅い方(Aコース)にあわせて、その単元を同時に終了するようにしている。そのために、進度の早い方のコース(Bコース)は、1〜2時間のゆとりが生まれることとなる。その時間を使って、問題演習や、発展的な課題学習にあてている。 |
A 評価について
単元ごとにAコースの担当教員と、Bコースの担当教員が入れ替わり、なるべく多くの生徒と接することができるようにしている。小テストなども、共通のものを使用している。
学期末の評価は、各学年に主担当となる教員を1名おき、主担当が中心になって、二人の担当教員が話し合いながら行っている。
この評価方法は、少人数授業に本格的に取り組むようになってから、3年間継続して行っている。 |
現在、英語科では1年生と2年生の授業を少人数授業で行い、3年生の授業を一斉授業で行っている。また、少人数授業のクラス分けについては、1年生は各学級を出席番号により機械的に2クラスに分けている。2年生については、各学級を基礎・応用の2つのクラスに分け、どちらを選択するかは本人の希望にまかせている。1つのレッスンが終了するごとに、1年生は少人数クラスの教師が入れ替わり、2年生では生徒自身が次のクラスを選択する。 |
3年間の研究の成果として、以下のことが挙げられる。
@ 個に応じたきめ細かな指導を行う上で、少人数指導は大変有効な手段である。 |
実施学年・教科、クラスの分け方等、様々な方法が考えられるが、少人数指導を行うことで、教師一人が受け持つ人数が減り様々な効果が生まれる。生徒一人ひとりの反応をしっかりとつかみ、それを授業の中に生かしていくことが可能である。
生徒にとっても、わからないことを気軽に質問できたり、自分の意見が生かされる喜びを感じたりすることができる。 |
A 生徒の習熟の程度や、学習のねらいに応じて、クラス分けの方法を使い分けると有 効である。 |
クラス分けの方法については、習熟度別に分ける方法(以下習熟度別)と、出席番号順などにより機械的に分ける方法(以下機械的)の二通りが考えられる。
習熟度別では、教師主導にならず、生徒の意志が十分に反映されたものでなくてはならない。しかし、生徒の自由意志だけでは、「友だちがいるから」「こっちのコースの方が楽だから」と、自分の力にあっていないと思われる選択をする生徒もいる。それを防ぐためには、事前にしっかりと、コース内容の説明や個別相談の時間をとることが必要である。また、それら事前の指導だけではなく、授業の内容をそのコースにふさわしいものにしていかなければならない。
機械的は、1年生の入学直後の英語の授業など、習熟の程度に差がついていない段階や、少人数授業を初めて体験する場合などで有効であろう。このような状況で習熟度別を実施すると、苦手意識をもっている生徒は、より後ろ向きになったり、上記のような不適切な選択をすることも考えられる。
よって、生徒の実態やねらいに応じて、この二つを使い分けることが重要であり、実施の際にはよく確認しておかなければならない部分である。 |
B 少人数指導だけでなく、活動内容によっては、TTを利用した一斉授業も有効な手 だてとなりうる。 |
英語科のコミュニケーション活動など、多くの人数と関わることで効果を発揮するような場面や、生徒の多様な発想を引き出し、生かしていくような場面では少人数授業ではなく、TTによる一斉授業の方が効果を発揮することもある。
英語科では、両コースの進度を日々確認しながら、ALTが来校した時間には一斉授業を行い、効果的にコミュニケーション活動を取り入れている。
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