不登校への取組み                       〔指導課〕

不登校の未然防止と対策                        
 −宇部市立上宇部小学校−

   1 学校紹介2 活動計画及び具体的な活動内容3 成果と課題

実  践  の  ポ  イ  ン  ト
 全校体制で教育相談に取り組む。
 連携ネットワークをいかした支援を行う。
 保護者との関わりを大切にする。開かれた教育相談の充実に努める。
 全校指導体制のさらなる機能強化、関係機関等の連携を図るためのコーディネートに努める。

1 学校紹介
 本校は、宇部発祥の地にあり、児童数876人・27学級の大規模校で、創立130周年を越える歴史と伝統のある学校である。校区の住民は、昔から住んでいる人も多いが、近年住宅団地の急増に伴い、市営住宅等へ他の地域から転入してきた住民が増えてきている。また、校区内に山口大学の留学生の寮があり、その子どもを受け入れる外国人適応教室がある。教育相談室は平成8年度に設置され、平成9年度から生徒指導の加配が配置され、生徒指導の充実に努めている。


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2 活動計画及び具体的な活動内容    
(1)心の居場所・絆づくりのために
ア 教育相談月間・・・学期に1回(5月・11月・2月)、担任が一人一人の児童の教育相談に当たり、悩みの早期発見と解消、人間関係づくりに努めている。相談内容によっては、担任をはじめ、生徒指導担当や教育相談担当等、全校体制で相談に当たっている。
イ 児童理解の会・・・学期に1回(5月・10月・2月)、全教員で共通理解、共同実践できるよう、支援の必要な児童について事例検討会を開いている。また、講演などを取り入れた研修会を開き、指導力の向上に努めている。この会は、特別支援教育部や生徒指導部とタイアップし運営している。
ウ 保護者との人間関係作り・・・学校からの情報の提供や家庭訪問等を通して、日頃から保護者との人間関係づくりを大切にしている。
エ 相談ポストの設置・・・相談室が児童だけでなく保護者の悩みの相談窓口ともなり、相談室で相談を通して、内容によっては関係機関の紹介をするなど、担任や家庭への橋渡しの役割をしている。
オ 教室復帰への援助体制・・・相談室や保健室への登校児童は、遊びや給食を通して、自己表現の方法や人間関係づくりを学ばせている。また、不登校児童への連絡を絶えず行い学級との関わりを大切にしている。
(2)早期発見・早期対応のために
ア 欠席状況の把握
・遅刻や欠席の状況を注意深く把握している。
・1校時開始時に無届け欠席の児童には、担任が電話で問い合わせる。連絡がつかない場合は、教育相談担当または生徒指導担当が直ちに家庭と連絡をとっている。
・2校時終了時には、養護教諭がその日の欠席状況を教育相談担当と生徒指導担当に提出し、全校の欠席状況の把握に努めている。
・月1回の生徒指導部会で、相談室より欠席状況、保健室への来室状況を報告し、きめ細かな対応について検討することによって、迅速なカウンセリングに努めている。
・3日以上明確な理由がない欠席が続く場合は、担任が家庭訪問を行う。気になる家庭や児童については、教育相談担当と生徒指導担当で家庭訪問を重ね、保護者との緊密な連携に努めている。
イ ケース検討会
 ケース検討会(担任・同学年・生徒指導・教育相談・養護・特別支援・校長・教頭・教務等)を随時開催し、迅速且つ的確な対応ができるよう検討している。
ウ 家庭訪問や相談室でのカウンセリングを通して、児童と保護者の心の安定に努めており、状況によっては関係機関と連携し、相談機関等の紹介に努めている。
エ 関係機関との連携
 経済的な事情や生活環境に問題がある場合は、事務室の担当や民生委員・主任児童委員・児童家庭課とも緊密な連携をとり、生活保護や就学援助の制度や関係機関の紹介をしている。
(3)広報活動
 定期的な相談室だより等を発行、中学校との合同による講演会の開催、関係機関が開催する講座や講演会の紹介に努めている。
(4)本校を取り巻く連携ネットワーク図

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3 成果と課題
 友人関係や親子関係をはじめとする人間関係をうまく結ぶことができず、多くのストレスや悩みを抱え、不登校や不登校傾向を起こしている児童が多く見られる。同様に、子どもにどう接したらいいのか分からず、大きな悩みや不安を抱えた保護者の状況は、児童の成長や心の安定に影響を及ぼしている。
 そこで、根本的な解決を図るためには、保護者への教育相談が極めて重要であることを改めて確認した。また、担任や一部の教員だけで問題を抱えるのではなく、校長をはじめ学校が一丸となり関わっていくための体制づくりと活用に努めることとした。
 保護者への教育相談は担任が中心となって進めるが、相談希望の時刻や内容によっては、同学年の教員や生徒指導担当や教育相談担当や養護教諭、校長や教頭等も、対応している。誠意と粘り強い教育相談を繰り返すことによって、学校への信頼度が深まり、保護者の心が安定し、その結果、登校できるようになった児童もいる。
 家庭の状況によっては、地域の主任児童委員や市の児童家庭課や青少年育成課、児童相談所や養護施設等関係機関とも力を合わせて、支援に当たってきた。このように何人もの人間が、一人の児童の教育相談に関わっていくことで、多様な考え方や方向性が見つかり、大きな効果を生んだと言える。その際、互いの報告・連絡・相談、つまり"緊密な連携"は非常に大切である。
 教育相談の要である生徒指導担当と教育相談担当は、どんな些細なことも報告し合い、指導方針を十分に検討し、担任と一緒になって、児童や保護者の相談に関わってきた。このような、迅速で的確な対応により、次第に効果を上げてきたと言える。
教育相談担当者の仕事としては、自ら相談に応じたり指導したりすること以外に、問題の根本的解決を見通す中で、各関係機関の特性を生かした連携をコーディネートするという重要な役割がある。
 今後、問題も増加傾向にあると予想され、さらに深刻化していくものと考えられる。児童や保護者、担任の悩みを共有し解決していくために、各種関係機関とより一層の連携を図り、コーディネートできるようにしたい。

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