キャリア教育の推進                         〔指導課〕

 キャリア教育の推進 
                          −宇部市立上宇部中学校−

1 学校紹介2 具体的な活動内容(1)主な進路学習(2)進路指導全体計画の見直し(3)1年生(4)2年生(5)3年生3 成果と課題4 実践に当たってのポイント
実  践  の  ポ  イ  ン  ト
地域社会との連携
小学校・高等学校との連携
教職員の意識改革

1 学校紹介
 本校は、宇部文化発祥の地である「上宇部校区」のほぼ中央に位置している。校区内には、裁判所、県総合庁舎などの官庁をはじめ、山口大学工学部・宇部工業高等専門学校・宇部高等学校・宇部中央高等学校・宇部工業高等学校・慶進高等学校があり、神社・仏閣など郷土の文化遺産・資料も豊富で教育的環境に恵まれている。生徒は全体的に元気で活動的であり、生徒会活動や部活動にも意欲的に取り組んでいる。
 平成16年度からキャリア教育推進モデル地域指定事業推進校の一つに指定され、進路指導全体計画の見直しを行った。


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2 具体的な活動内容(1)主な進路学習    
内    容
4月 ・進路学習年間指導計画の見直し、進路学習全体計画の作成
・キャリア教育推進委員会の設置
7月 ・キャリア教育セミナー(2年生)
8月 ・卒業生の話を聞く会(3年生)
・高校体験入学(3年生)
9月 ・職場体験(2年)
11月 ・キャリア教育セミナー(1年生)
・キャリア教育セミナー(2年生)
12月 ・キャリア教育セミナー(1年生)
2月 ・キャリア教育セミナー(2年生)
・職業調べ(1年)
・卒業制作(3年)
3月 ・立志式(2年生)


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(2) 進路計画全体の見直し
 キャリア教育を進めるにあたり、とりあえず進路指導年間計画の見直しと進路指導全体計画の作成から取りかかった。
 具体的にはこれまで独立して行われていた学級活動、道徳、総合学習ほか様々な分野と連携を図るようにした。


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(3) 1年生
○ 本年度の事業計画
時期 テーマ 内容
1学期 地域に学ぶ(津和野町) 班別自主研修(地域に係わる人々)
2学期 人に学ぶ
地域に学ぶ(上宇部校区)
キャリア教育セミナー(講演会2回)
校区周辺の職業調査

○ 地域に学ぶ
 班別自主研修で、地域の職業について調べた。各自新聞形式にまとめ発表した。
○人に学ぶ(講演会)
手品師、管理栄養士を講師として招き、講演を聴いた。
生徒の感想
・マジシャンという仕事はお客さんの笑顔が見られるからいい仕事だと思いました。
・どんな人にも笑顔で接する、ということを知りました。
・小さい頃からあきらめず、一生懸命練習されたから今の仕事に就けたのだと思う。私も、今取り組んいることをあきらめず、もっといっぱい取り組もうと思う。

・病院には医師以外にもこんなにたくさんの人が働いている、というのが分かった。
・学校や病院以外にも老人ホームなどの献立も栄養を考えてつくる、ということを聞いてすごいと思った。その上TVとかにも出て忙しそうだと思った。
・ダイエットなどをしたら命にかかわるときいて本当にいけないと思った。
・みんなにおいしい料理を食べてもらいたいという気持ちがすごく伝わった。
・人のために働くというのはすごいなあと思った。

職員の反省
・集中して取り組めた。席の配置をもう少し考えるべきであった。
・職業に対する意識が高い生徒にとってはすごく意義のある講演であった。


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(4) 2年生
○本年度の事業計画
時期 テーマ 内容
1学期 人に学ぶ 職業調べ・職場体験に向けての準備
キャリア教育セミナー@(学校栄養士による講演会)
2学期 人に学ぶ 職場体験に向けての準備
職場体験
キャリア教育セミナーA(講演会)
3学期 人に学び、自分生き方を考える キャリア教育セミナーB(数名の講師による講話会)
立志式

○職場体験学習
 9月24日(金)午後を使って市内の約30カ所に職場訪問。巡回できる教員数に限りがあるので保護者にも手伝ってもらった。

事後の評価表より
・生徒の感想
 自分たちでは声を出しているつもりでも、相手(お客さん)に伝わらないと意味がない、ということを実感した。
 日頃気がつかないことに気づく、いい勉強になった。
 職業を持つ、仕事をするということは責任とやりがいがあるんだなと思った。
・保護者の感想
 1つの職場でも現場や事務などいろいろある。機会があれば1人の生徒が何か所か行ければいいですね。
 子どもたちの訪問中の挨拶や態度を見て、日頃から家庭での親の役割の大切さを改めて感じました。
 緊張の裏返しなのか、私語をする者がいた。挨拶のタイミングや聞くときの態度など、まだまだ訪問以前の問題があるなと思った。

・事業所の感想
 積極性に欠ける生徒もいた。
 説明をしっかり聞かれメモをとるなど真剣な態度で好感を持ちました。
 講義よりも実体験の方が反応が良かったように思います

・職員の反省
 日頃リラックスしている生徒もさすがに緊張の面持ちで、社会の厳しさを少しは痛感できたかと思う。
 半日では「体験」までいかなくて「見学」で終わってしまう。せっかく長い期間をかけて準備し取り組むのであれば、1日またはそれ以上の日数を確保して実のあるものにしたい。

○キャリア教育セミナー@
 学校栄養士による講演会。学校栄養士の職務や食生活の問題点などを聞く。

○キャリア教育セミナーA
 「共に働く〜障害も個性のひとつ」をテーマに障害者に開かれた職場(特例子会社)の方を招き、話を聞く。
・生徒の感想
 「障害も個性の一つ」という風には考えたこともなかったので今日はお話を聞けてとても良かったです。
 「配慮はするけど特別扱いはしない」一人だけでは一人前の仕事ができなくても、ペアを組むことによって、2人組でやれば2人前以上の仕事ができる、というのはなるほど、と思った。
 最近身近なところがどんどんバリアフリーになっていっているけれど、障害者の方からしてみればまだまだ足りない、ということが分かりました。何より「心のバリアフリー」という言葉が印象に残りました。

○キャリア教育セミナーB
 新聞記者、保育士、イラストレーター、動物飼育士を招いて話を聞く。(予定)


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(5) 3年生
○本年度の事業計画
時期 テーマ 内容
2学期 進路学習 卒業生の話を聞く会
3学期 共同製作 木彫板による校歌板作成

○卒業生の話を聞く会
 8月10日(火)の午前に実施。市内外の高等学校から10名を講師として招き、話を聞いた。

・生徒の感想
知っている先輩が自分の言葉で話してくださるので、身近でとても分かりやすかった。
高校の先生方の説明とはひと味違う生の声が聞けたような気がした。

・教員の反省
予想よりもきちんとした態度で聞くことができ、実のある会になった。
時期をもう少し考えられないか。(暑すぎるので)


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3 成果と課題
(1)成果
進路指導年間計画の見直しと進路指導全体計画の構築
 進路指導の年間計画を「キャリア教育」という視点から考え直すことにより、努力するべきポイントがより鮮明になった。また、進路指導全体計画を作ることにより、総合の時間を利用する学習を中心に、特別活動や道徳の題材との関連を図るよう意識付けをした。
生徒指導上の効果
 体験学習や講演会を多く行うことにより、以前より自分の将来を考える時間や自分を見つめ直す機会は格段に増えていると思う。
保護者への効果
 体験学習や講演会を多く催すためには、保護者の協力は必須であるし、実際に学校に足を運んでもらう回数も増える。学校の実情を理解してもらう上で効果的であったと思うし、活動後に「私たちの方が勉強になりました。」という声が多く聞かれた。
(2)課題
地域社会との連携
 地域社会との連携をさらに深め、中学校としてできることをもっと積極的に働きかけたい。「地域社会で子どもを育てる」という意識を保護者や周囲の人々に、また「地域社会の一員として育っていく」という意識を生徒に浸透させたい。
小中高の連携
 体験学習などの行事を中学校だけで完結させるのではなく、小学校の行事や高等学校のインターンシップなどと情報交換をして、お互いに無駄のない有意義な活動にしていきたい。
教職員の意識改革
 「キャリア教育」の本質的な部分は理解できてきたように思うので、今後はキャリア教育の視点に立った授業の展開やキャリアカウンセリングなどの研修を通して、全教職員のスキルアップを図りたい。


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4 実践に当たってのポイント
地域社会との連携...キャリア教育の推進のためには地域社会との連携が不可欠であり、各家庭や事業所と連絡を密に取り、目的の把握や意思の疎通を図ることが必要である。
小学校・高等学校との連携...地域社会で子どもを育てる、と言う観点から近隣の小学校・高等学校とも連携し、行事や連絡などを通してお互いの垣根を低くするとともに、共通した認識のもとでのキャリア教育の実践を行う。
教職員の意識改革...キャリアアドバイザーを教職員の研修会等でも活用し、現代社会の生きた情報を仕入れるとともに、自らの視野を広げ教職員としての資質の向上を図る。


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