積極的な生徒指導の推進                       〔指導課〕

積極的な生徒指導の推進                        
 −山口県立鹿野高等学校−

   1 学校の紹介2 年間実施計画3 本校の生徒指導
   4 具体的な取組み(1)生徒との人間関係づくり(2)学校行事の活性化/
   (3)ボランティア活動への参加5 実践を通して
実  践  の  ポ  イ  ン  ト
 カウンセリング・マインドを基盤:生徒との人間関係づくりに十分時間をかける。
 生徒一人一人が主役:活躍の場を数多く設定する。
 情報の共有と意見交換の場の設定:学校ぐるみの取組として定期的に実施する。
 校外に情報発信:鹿野高の前向きな取組姿勢を地域(公)に示す。
 家庭(保護者)や地域社会との協働:それぞれが積極的に役割を果たす生徒指導を推進する。

1 学校紹介
 本校は、周南市の北部、錦川源流とわさびの産地で有名な鹿野地区に位置し、県下で最も小規模な普通科高校である。本校は、この小規模校の特性を生かし、家庭(保護者)や地域社会と密接なつながりを持つことにより、学校を取り巻く周囲の暖かい協力を得て、生徒一人一人が「居場所」と「活躍」の場のある教育環境づくりに取り組んでいる。
                
(詳細は、http://www.kano-h.ysn21.jpへ)


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2 年間実施計画    
学期 実 践 項 目 ね  ら  い
▽面談週間
▽学習カウンセリング
▽集団宿泊(第1学年)
▽学年別遠足(第2・3学年)
○生徒との人間関係づくり、進路相談
○基礎学力の定着、進路相談
○新入生の仲間づくり・絆づくり
○新しい学年の絆づくり、地域との関わり深化
▽育友会(PTA)総会
▽教職員教育相談研修会
○取組の発信と情報提供、出席保護者の増加
○知識・技法の習得、教職員の自己理解
▽進路プランニング(体験学習) ○職業選択能力の育成と職業意識の向上
▽夏休みふれあいデー
▽夏休みコンタクト作戦
○生徒・保護者・教職員の交流
○生徒との人間関係づくり、問題行動の予防
▽体育祭 ○一人一人が活躍できる場面づくり、保護者・地域との交流
10 ▽鹿高祭(文化祭)

▽教職員教育相談研修会
○一人一人が活躍できる場面づくり、保護者・地域との交流
○知識・技法の習得、教職員の自己理解
11 ▽面談週間
▽進路プランニング(体験学習)
○生徒との人間関係づくり、進路相談
○職業選択能力の育成と職業意識の向上
12 ▽鹿野中高合同交流会 ○鹿野中学校との交流、社会性とリーダーシップの習得
▽雪像大会 ○クラスの団結、地域の自然とのふれあい
▽面談週間 ○生徒との人間関係づくり、進路相談
▽卒業式における生徒会企画 ○全校での感動体験、学校愛の醸成
随時 ▽毎日面談宣言
▽自己チェックシート
▽アルバイトの奨励
▽情報交換の場の設定
(担任会議・職員会議)
▽ボランティア活動への参加
○生徒との人間関係づくり
○生徒自身の自己理解、生徒理解、進路相談
○就業体験による社会性の伸長
○情報の共有と意見交換、共通理解の深化

○豊かな人間性・社会性等の育成

 【本校のチャレンジ目標】

   読書力の養成     あいさつの励行


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3 本校の生徒指導



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4 具体的な取組み(1)生徒との人間関係づくり
 平成12年度以降、以下のように様々な機会を捉えた個別相談を重視し、生徒と教員の信頼関係を基盤とした積極的な生徒指導の推進を図っている。
面談週間 各学期1回設定し、放課後実施している。(期間はおよそ2週間)
毎日面談宣言 掃除終了後、日直の生徒と担任が日誌手交の際に実施している。必ず座って、目線の高さを合わせて行う。
夏休みコンタクト作戦 夏季休業中(主に後半)、担任がクラスの全生徒に対して電話やはがきで声かけをする。
自己チェックシート 平成14年度から、「社会で必要とされる力」を自分自身で確認する機会として取り組んでいる。本校のオリジナルである。2ヶ月毎に「自己理解」を深めるために実施している。生徒の生活面での変化をいち早く察知し、面談等に役立てている。
学習カウンセリング 平成15年度から、学校で過ごす時間の多くが学習時間である。学習に取り組む姿勢が学校への適応に大きく影響することから、本校作成の「基礎学力診断テスト(国語・数学・英語)」の結果を用いて、教科別個人面談を実施している。
アルバイトの積極的な奨励 職業観を培い社会性を育むため、就業体験を奨励している。夏季休業中には生徒の1/3以上が体験する。アルバイト先の確保と、生徒の激励を兼ねて教員が必ずアルバイト先を訪問をしている。
情報交換の場の設定 全学年の担任と生徒指導課合同による「担任会議(学期に2回程度)」と、生徒に関する情報交換のための「職員会議(学期に1回程度)」を開催している。
教職員教育相談研修会の開催(年2回) カウンセリングの基本技法・ロールプレイ・思春期の問題・教員の自己開示・ストレスマネジメントなど、生徒や社会の変化に対応した内容の研修を企画している。


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(2)学校行事の活性化
@ 集団宿泊(第1学年)
 新入生が、高校生活を円滑にスタートできるように、仲間づくり・絆づくりに効果的なプロジェクト・アドベンチャーを中心に企画している。
   
A 学年別遠足(第2・3学年)【平成13年度から】
 鹿野地区のオリエンテーリング、登山やバーベキューなど、学年ごとに趣向を凝らした楽しい企画づくりをしている。

B 育友会(PTA)総会の工夫
 平成15年度は、午前・午後にわたる企画を実施した。この中で、参観授業(1限)で作ったカレーを保護者にも食べてもらう「昼食会」をした。また、進路説明会を実施し、保護者と共に進路を考える機会が持てた。


C 夏休みふれあいデー【平成14年度から】
 生徒・保護者・教職員が、清掃活動・リクレーション・昼食会などを一緒にすることを通じて交流している。
結果として、家庭での心のふれあいを深める契機になっているようである。


D 体育祭
 午前中は、保護者チーム参加による「キックベースボール大会」を実施し、午後からは、生徒同士の交流が一層深まるプログラム(応援合戦・長縄飛び・PK合戦など)を、内容を工夫しながら実施している。体育祭終了後、保護者や地域の観覧者とともに集合写真を撮っている。

E鹿高祭(文化祭)
 2日間開催し、両日とも一般公開をしている。生徒数が少ないにもかかわらず、全クラスが「展示」と「ステージ発表」の両部門を行い盛りあがっている。また、第2日目は、地域との関わりが持てる企画を実施している。
平成15年度は、山口県を舞台にした映画「チルソクの夏」を、学校としては全国で初めて自主上映した。この中で、生徒会が制作し好評を得た「チルソクの夏を観る前に(ロケ地での取材や歴史的背景等の説明)」の企画・準備風景がテレビや新聞などのマスコミで紹介された。
 保護者には、育友会(PTA)として「鹿野高鍋バザー」「リサイクルバザー」「ステージ発表」等で参加・協力していただいている。

F鹿野中高合同交流会【平成14年度から】
 鹿野中・鹿野高生徒全員が、両校生徒会執行部の企画・進行のもと、鹿野総合体育館で、エンカウンター・ソフトバレーボールなどを行い交流している。
この交流会は、本校と鹿野中学校との連絡協議会(年3回、各種協議・懇談会や授業参観など)や日常の様々な交流を通して実現した。


G雪像大会【平成12年度から】
 第3学期に、地域の特徴を生かした「学年対抗雪像コンテスト」を開催している。教員チームも参加する。

H卒業式における生徒会企画【平成12年度から】
ア 卒業生全員にコサージュを配布(胸につけてもらい入場)
イ 生徒会制作「3年生思い出のスライド(ナレーション付き)」上映
ウ 退場時、1・2年生が花道を作り、紙吹雪や花束の贈呈
エ 教室の飾り付け

I学校設定科目「進路プランニング(体験学習)」【平成10年度から実施:平成13年度までは「産業社会と人間」】
 生徒が自らの将来の目標を意識しながら学校生活を送ることは極めて重要であり、年2回、1年生全員が、数班に分かれて鹿野地域内の企業で勤労体験学習を実施している。



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(3)ボランティア活動への参加
 豊かな心や社会性を育むため、生徒・保護者・教職員が、主に地元地域の社会貢献活動などに積極的に参加している。平成15年度には、「ボランティア功労者に対する厚生労働大臣表彰」(全国の小中高等学校の中から9校が表彰)を受賞した。
@清掃活動への参加
鹿野クリーンアップ作戦、錦川一斉清掃など
A福祉・イベントボランティアへの参加
鹿野地区独居老人への手作りカレンダー作成、鹿野小学校の運動会ボランティアなど
BJRC部の活動
ア 身障者施設「鹿野学園」の運動会ボランティア
イ 鹿野地区敬老会ボランティア
ウ 身障者施設「鹿野学園」の学園祭ボランティア
エ 三瓶山盲人登山ボランティア
オ 十種ヶ峰盲人登山ボランティア 
カ 鹿野地区独居老人への手作りカレンダー作成・配布


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5 実践を通して
(1)成果
 生徒への効果  
中途退学が激減した。

◇平成12年度は、 年間退学者数が10名を超えていた。
 平成13年度以降、年間退学者数が2〜3名に減少している。
中学校時不登校経験生徒の75%が不登校を完全に克服している。
■ 平成12年度以降の状況

 【卒業生】 
◇中学校時に、年間平均  150日以上 欠席した生徒が、本校入学後、年間平均 0〜20日程度 の欠席となった。

[不登校を完全に克服した例]
中学校3年間の欠席 高校での欠席
Aさん 215日 1年 10日2年 8日3年 3日 卒業
Bさん 533日 1年  1日2年 0日3年 0日 卒業

 【在校生】
◇卒業生同様、各学年2、3名の中学校時不登校経験生徒が卒業に向け順調な学校生活を送っている。
学校生活への積極的な関わりが生まれ、部活動への加入率も増加した。
部活動加入率 H12年度77.4% → H15年度88.3%(毎年度増加傾向にある)
授業への取組みが積極的になり、成績不振者(欠点保有者)がほとんど無くなり、課外、勉強合宿等への参加が増加した。
進学実績が向上した。(山口大学、山口県立大学などにも合格)
各種検定へ積極的に挑戦するようになった。(全商ワープロ実務検定1級・全商簿記実務検定1級工業簿記合格など)

 教員への効果
生徒理解が一層深化したことにより、一人一人の希望をかなえるための実践、夢の実現に向けての指導に一層積極的に取組むようになった。
個別指導、勉強合宿、早朝課外、職場開拓、部活の新設(H14年女子柔道、H15年卓球)など
教員一人一人が、これまで以上に自覚を持って学校の運営に関わるようになり、各種会議などで前向きな発言が増えるとともに、学校行事や学級運営での積極的な実践につながった。
進学・各種資格検定・部活動等における指導面での更なる努力や実績の向上、地域ボランティア活動への積極的な参加など
(2)課題
実施した取組みが生徒の心に響き、より良く生きようとする意欲・態度につながるものであったか、本当に生徒の立場に立った取組であったか、教員の自己満足に終始していないか等を検証しなければならない。このため、生徒へのアンケート調査を実施し、今後の取組に生かしていきたい。

行事のマンネリ化は生徒の感動が薄れていくため、年度末に行事全体を個々に吟味し、次年度の行事の見直し等を図ることも必要である。

生徒を引きつける話術や人間性は、教員にとって効果的な生徒指導の必要条件と考える。このため、更なる研修の場が必要と考える。今後、教員以外の外部講師の招へい等を企画し、これまで以上に幅広い視点から生徒指導に関する研修を実施したい。

本校の生徒指導に対する考え方の理解と徹底を図るため、保護者への案内等をより一層工夫するなどして、育友会(PTA)総会の出席者を増やしたい。

チャレンジ目標については、今年度、全校周知を徹底したが、今後、生徒の変化・成長を更に詳しく把握するため、平成16年度を目途に、達成度が確認できる方策を取り入れる予定である。
(3)指導上の留意点
生徒・教員それぞれの顔がしっかり見える「きめ細かな取組」を基本理念とすること
生徒の実態を十分把握し、教職員の共通理解をよく図ること
生徒、家庭(保護者)、地域社会からの要望を踏まえた指導であること
指導のねらいと成果を可能な限り明確にし、それらを改善方策検討に生かすこと
学校、家庭、地域社会が協働した取組を推進すること(守秘義務に配慮)
地域の幼少中高の連携により、「子どもの成長」という長期的な視点を持つこと


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