総合的な学習の時間                           〔指導課〕
○「ふるさと菊川」を土台として、異校種と連携し、地域の教育力を活用する総合的な学習の時間
                       −
下関市立菊川中学校−

1 学校紹介2 総合的な学習の時間の考え方(全体計画)3 実践事例4 成果と課題5 実践にあたってのポイント  
実  践  の  ポ  イ  ン  ト
 総合的な学習の時間のねらいや生徒に付けたい力の共通理解
 地域の教育力・学習素材の把握
 確実な全体計画、指導計画
 小学校との連携
 外部への発信

1 学校の紹介
 菊川町は山口県の西部、下関市の東部に位置している。緑豊かな山系に囲まれ、高峰華山があり、木屋川が流れ、盆地状になっている。別名「小日本」と呼ばれているのは有名な話である。
 近年はグリーンシャワー菊川といわれるくらい、山の緑はもちろんのこと、四季折々の自然に彩ら れ、美しい自然環境に恵まれている。下関市の校外として都市化が進み、人口増が進む全国的にも 珍しい町である。
  本校は、1学年3クラス、全校生徒237名の中規模校である。校区内の3小学校(豊東小、岡 枝小、楢崎小)の特色ある教育を土台に、地域の教育力や保護者の協力に支えられて、充実した教 育活動を行っている。
詳細は http://www13.ocn.ne.jp/~kiku-j/ へ

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2 総合的な学習の時間の考え方(全体計画)
(1)目標
 ふるさと菊川」を土台として、異校種と連携し、地域の教育力を活用することにより、
○ 体験的な学習や問題解決学習を通して、自らの「問題解決力」と生き方への振り返りを含めた「学び方」を育てる。
○ 課題解決の過程において、人とのふれあいを通して生き方に触れ、自己の生き方を見つめ、見付けていくことで、「生きる力」を育む。

(2)特徴
 本校の総合的な学習の時間は、

(3)内容の構成
 本校では、学年テーマをもとに、内容と目標・評価の視点・各教科との関連などを検討しながら、単元カリキュラムの開発を行っている。各単元の目標と内容は次のようになっている。
(4)単元一覧表

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3 実践事例
1年 総合基礎講座「もっと知ろう菊川町」(60h)
 私たちの住む町「菊川」は、緑豊かな山々に囲まれています。別名「小日本(こにっぽん)」と称される田園地帯には、「木屋川」、「田部川」の清流が流れています。そんな美しい町「菊川」を、私たちはどれだけ知っているでしょうか。
 1年生は「総合的な学習」の時間を使って、ふるさと菊川をもっと知る学習をし、一人ひとりの「学ぶ力」をのばしていきます。この学習を終えたとき、生徒一人ひとりの菊川を愛する心がさらに大きくなれば、それ以上のことはありません。

〔学習の流れ〕

『菊川探訪』(課題を見付ける旅)…6月25日(金)
 他の町の観光地を見学することはあっても、地元を見学して回る機会は少ないものです。日頃何気なく生活している町をあらためて見つめるために、菊川を『再発見』するための旅に出ました。

多武峰の観音像

菊川そうめんの工場

植松古墳

旧長門鉄道のホーム跡

個人課題発表会…7月12日(月)
 決定した個人課題を発表し、それを聞いた他の生徒は質問・アドバイスをします。厳しい意見をもらって、より充実した研究に臨みます。

総合的な学習の時間発表会…11月25日(木)

ポスターセッションによる発表です

A〜Fの6ブースに分かれて発表

中には紙芝居を使って説明する人も
(人形劇もありました)

2人以上のグループでの発表も
ありました

真剣に発表しています

真剣に聞いてまとめます

ハイッ質問!

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4 成果と課題
(1) 「単元プログラム」作成の際の工夫
@ 追究する価値のある課題設定をさせるための工夫
ア 課題を見付けけるための旅(1日バス旅行)…「菊川探訪」(1年「もっと知ろう菊川町」)
イ 素材集めのための新聞記事活用(2年「課題研究」)
ウ ブレーンストーミング、KJ 法による課題、素材表(樹形図)づくり(2年「課題研究・ 環境問題」、3年「卒業研究」)
エ 個人課題中間発表会
 ・追究する価値のある課題はどのようなものかを確認させる。(学年によっては前の単元の振り返りもさせる)
 ・テーマの似ている者同士でグループを作り、課題を発表し合う中で、自分の課題を再検討させる。(1年「もっと知ろう菊川町」、2年「課題研究・環境問題」、3年「卒業研究」)
オ ゲストティーチャーの招聘
 ・「個人課題中間発表会」に参加していただき、アドバイスを受ける。
 ・課題決定の前段階での講義「菊川町の土器について」
 ・体験「土器に文様を描く」(3年「卒業研究」)


2年「課題研究」樹形図作り

3年「卒業研究」

A 学習の評価の工夫
ア ポートフォリオの作成
 「自分ポートフォリオ」「総合的な学習のポートフォリオ」の2冊を全生徒に持たせ、自己評価を深めさせた。
イ 生徒同士の相互評価…学習の要所要所で取り入れた。
ウ 自己評価…毎時間の終わりとともに、学習の始めの「自己課題決定時」「まとめ」の段 階で多くの時間をとって行った。

教室後ろのポートフォリオ棚

生徒のポートフォリオ

(2)異校種間の交流・連携の工夫
・ 菊川町で共有する「つけたい力」の統一、学びの連続性の確認
・ 授業公開(年間、各学年1回)、授業検討会
・ 児童・生徒の直接交流
・ 実践者同士の生の交流方法の工夫(小学校・高等学校との連携の工夫)

〔公開授業後の授業検討会への参加や、部会への参加(低学年部会・中学年部会・高学年部会・HP部会・マップ部会)〕

(3)今後の課題
 文部科学省の総合的な学習の時間モデル地域に指定され、この2年間、本校では、学習指導要領に書かれている「総合的な学習の時間」の目標実現に向けて、できるだけ具体的に取り組んできたつもりである。その中で、「この学習・活動でどんな力をつけたいのか」を考えながら、単元のプログラムを考えていくことがいかに大切であるか、実践を通して実感できたように思う。今後、この取組みを深化・充実していくためには、次の3点の課題の解決が大切であると考える。
@ 地域の教育力(人材・施設・素材)の活用方法の難しさと奥深さ
A 異校種間の連携の難しさ
B 生徒の「自己評価力」の低さ
 教師の思いと生徒の自己評価との差が大きすぎ、戸惑うことがしばしばあった。生徒の「自己評価力」をいかに高めていけるかは、特に大きな課題であろう。

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5 実践にあたってのポイント
(1) 総合的な学習の時間のねらいを全教職員が共通理解すること。
(2) 生徒につけたい力を全教職員が共通理解すること。
(3) 地域の教育力・学習素材を十分知ること。
(4) 確かな全体計画と指導計画をたてること。
(5) 小学校で何を学び、どんなことを身に付けたかを知ること。
(6) 外部に向けての発信方法を確立すること。

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