1 学校の紹介/2 具体的な活動内容/(1)総合的な学習の時間における取組み/ (2)道徳における取組み/(3)学級活動における取組み/(4)その他/ 3 成果と課題
校区は越ヶ浜地区と後小畑地区とで成り立ち、全家庭が学校より2km以内にあり、校区外の生徒以外は徒歩通学である。 保護者は明朗、活発。学校教育に対する理解があり、協力的である。地域にも大きな教育力があり、和船競漕大会をはじめとした各種行事や、後援会活動にも地域をあげて取り組んでいる。 生徒は明朗で人なつこい。作業的学習を好み、友人と協調して物事を成し遂げる。男女の仲も良く、各種行事にも積極的に取り組み、創造性や団結力を発揮する。 TOPへ戻る
本校もこの主題に従って取り組むものとし、3年間を見通した綿密な進路計画づくりに着手した。 まず、進路指導主任が前年度の反省を基に「進路指導単元化構想図」を作成し、その計画を学年会で検討して各学年の進路指導目標を設定した。 進路指導は、「生徒が自らの生き方を考え、将来に対する目的意識をもって、自分の意思と責任で、自らの進路を選択決定していこうとする能力や態度を育むよう、全教育活動を通して指導・援助する営み」である。そのためには、各学年の主なねらいを明確に打ち出し、実践を積み重ねることが必要不可欠である。本校では1年時を「広げる」とし、進路を意識化させ、2年時は「深める」とし、進路の吟味をさせ、3年時は「しぼりこむ」とし、進路の最終決定を主体的に行える生徒の育成をめざすものとした。 このホームページでは、3年間の進路学習の仕上げともいえる、道徳、特別活動、総合的な学習の時間を活用した3年生の「生き方」についての学習活動を取り上げ、紹介する。1・2年で蓄積した内容知や方法知が複雑に絡み合いながらスパイラル的に昇華し、“自分らしさ”と“こだわり”の凝縮された自己知の獲得が、義務教育最後の3年生での取り組みということになる。 以下に、平成15年度進路学習計画を示す。なお、3年間を見通した進路指導全体計画等については、別紙をご参照いただきたい。 【別紙1:進路指導単元化構想図】 【別紙2:3年学活年間指導計画】
TOPへ戻る
本校の進路学習においては、修学旅行を《学を修める旅》として位置づけている。これは修学旅行を単なる表面的な行事としてではなく、一つの単元として仕組み、課題意識をもって計画的に取り組むことができる形をとっていることによるものである。 例えば、本校では、英語科とタイアップし、修学旅行中に、各人が1人以上の外国人に話しかけ、サインをもらうという企画も行っている。当初は遠慮がちだった生徒たちも、積極的に国際交流を図っているようである。このように修学旅行も、学んだこと(英語)が活かせる喜びを体感する貴重な場となる。 さて、修学旅行における進路学習であるが、自分の学習したいテーマの選択幅を広げるため、平成14年度より自主研修の範囲を京都市内から関西全域に広げた。 平成14年度には、関西空港で「国際舞台で活躍する空港職員にインタビューをしてみたい」という生徒が現れた。このように、生徒たちの「自分らしさ」や「テーマへのこだわり」を重視した結果、34人で14の活動班ができ、チャレンジ精神旺盛な活動ができた。自分の興味・関心に基づき課題を設定し追究することにこそ、テーマ別学習の醍醐味がある。 一方、生徒たちの安全対策も十分に検討し、危機管理も徹底させた。緊急時の対応の仕方を教え、各グループに一台ほど携帯電話を持たせた。 また、自己決定・自己責任の能力を養うため、自主研修の日は服装も自由服とした。活動に応じて制服か私服かを考えるなど自分たちでルールも決めて、「中学生らしい服装」を心がけたのである。 移動中のバスの中で、バスガイドさんに「人生の先輩、大いに語る」と称して、「生き方講座」を行ってもらった。以下は生徒の感想である。
A 卒業論文の制作(10月〜2月) 3年間の集大成として、毎年、本校では卒業論文を書かせることにしている。自分との対話を繰り返しながら、自分流の生き方を創造するのである。 平成15年度は、「幸せ・生きがい・夢」の中から一つテーマを選び、自分の生き方を見つめることにした。 最初に、昨年の3年生の論文を数本ピックアップし、一読させ、感想をまとめさせることから学習をスタートさせた。
その度に、「振り返りシート」を配布し、感想と登場人物の「生きがい」を分析させ、ファイルに閉じさせた。このように作品鑑賞を通して多くの人々の生き方に触れ、自分で自主的にテーマについて調べ、卒業論文を完成させていくのである。
TOPへ戻る
中卒、自殺未遂、極道の妻。そして、司法試験に一発合格、と波瀾万丈の経歴を持つ大平さんの話が資料である。人間には、自ら運命を切り開いていける大いなる可能性があることを教えてくれた。
A 甘えを断ち、自分に厳しく(6月) 夢の実現をめざして留学先のアメリカで一日16時間勉強した孫正義の話を活用した。彼は日本のコンピューター界の風雲児として大活躍している。生徒たちは自分の甘さを反省していた。
B 夢をあきらめるな(6月) 新聞奨学生をしながら自分の夢を実現した人の資料を紹介した。大雪や大雨の日も負けずに通い続けて学費を稼ぎ、第1志望のマスコミに就職した人生の先輩の体験記事を読んで、「自分は恵まれすぎている」「考えが甘すぎた」と反省する意見も多く見られた。
C 努力は実る(10月) 資料は、イソップ物語で有名な「アリとキリギリス」を使った。効果を高めるため、 前半でエンカウンターの手法を取り入れて、10年後の自分から今の自分に手紙を書かせた。将来に対する断片的なイメージをつなぎ合わせ、自分の将来の姿を多面的に見通すことで、今すべきことに気づくことができた。その後、手紙をグループで回し読みをし、それについての激励文を書かせることで、他者理解の姿勢の育成もねらった。
【別紙3:道徳指導案】 D 風に立つライオン(11月) アフリカへ医療のために来て3年待つ彼のもとへ、彼女から結婚するという手紙が届く。主人公はこの手紙を読んで、歩んで来た道に確信をもち、さらに決意を強くするという話。歌手のさだまさしがこの実話をもとに作詞・作曲をし、「風に立つライオン」として発表した。音楽を効果的に使うことで、臨場感を高めることができた。
なお、本学習の指導案については、別紙資料をご参照いただきたい。 【別紙4:指導案】 TOPへ戻る
本活動は、自分の第1希望の学校に通っている先輩に手紙を書くという取組みである。高校の現状や様子などを聞くだけではなく、入試時の心境やストレス解消方法も知ることができ、大いに励みになったようである。手紙の相手は、高校1年生から3年生までの誰でもよいこととした。母校の後輩ということで親身になって相談にも乗ってもらえ、意義のある情報も得られたようである。 以下は、中学生の感想であるが、自分の支えとなっていることがうかがえる。
A 未来の子どもへの手紙(10月) 本活動は、「もし私が中学3年生の子どもをもつ親だったら、今、我が子にどんなことを一番言いたいですか」という題で手紙を書いた取組みである。 生徒たちは、十数年後に思いをはせ、自分との対話を繰り返しながら、父親や母親になりきって真剣に手紙を書いた。 生徒たちは、将来への不安や漠然とした思いが具体的な形として表れたことで、自分自身を客観視することができたようである。文章を活用したロールプレイを行ったことで、「親の気持ちが分かった」とか「ストレスの解消にもなった」というプラスの意見が多数見受けられた。時期的には、10月よりも部活引退で受験が現実味をおびてくる夏休み前ぐらいが適当ではないだろうか。以下に、一事例を紹介する。
B 進路相談シミュレーション(11月) 本活動は、決められた役割の中で自発的に演じることによって、固定化された役割関係や考え方から離れて、新たな立場や視点から状況をとらえ、問題解決の糸口を見いだす取組みである。生徒は、ロールプレイングを通じて、自分の悩みを客観的に見つめることができたようである。また、仲間同士の気軽な模擬体験で、日頃からなにげない相談も行うようになるなど人間関係が深まったようである。 ここでは、クライエントを中学3年生、カウンセラーを担任とし、相談内容は「模擬試験の結果が悪く、第1志望への合格が厳しい」という場面設定をした。
C ピア・カウンセリング(11月) 本活動は、進路に関する悩みや心配事を書いた匿名の相談用紙を学級内で無作為に交換し、受け取った相談に対して、各自がカウンセラーになりきり、こちらも匿名で肯定的なアドバイスを書き、相談者に返すという取組みである。 ここでは生徒Aの一連の流れを追うことにする。 生徒Aは、進路に対して下記のような悩みをもっていた。
D 合格CM(12月) 本活動は、受験ムードを高めるため、また、精神的なゆとりももたせるため、教室に学習意欲を喚起するようなキャッチコピーを掲示するという取組みである。 会話編と言葉編の2部門について考えさせ、その後、投票をして各部門とも上位5人ずつ選んだ。入賞作品は学級通信で紹介し、教室にも掲示した。
E 応援メッセージ(12月)
F 幸せさがし(1月) 20世紀最高の講演家と名高いピール博士の著書「積極思考」の抜粋を読ませた後、「幸せさがし」を行った。 配布した「幸せシート」に、自分の好きなものを「資産」として書き入れさせた。愛犬、愛猫、妻や子ども、友人たち、爽やかなそよ風、明るい青空、海の上を舞うカモメの群、好きなレコードやCD、新鮮な空気、青々とした木々、好きなテレビドラマ、小説、おいしいパスタなど、自分の好きなものをすべて、自分の人生にとって「資産」と計上させた。資産を、お金や高級品などと思っていた生徒たちは、新鮮な驚きを感じていた。また、エンカウンター的な手法を取り入れ、友達と意見を交換をすることで多様な幸せに気付き、幸せの再発見をした。
TOPへ戻る
進路の最終決定を控えたこの時期、人生の先輩である校長先生と話をして自分の生き方を見つめ直すことは、担任や副担任の進路相談とは違った意味で効果的である。 各学年1クラスの本校では、小規模校の特性をフルに活用し、10月中旬から12月いっぱいまで放課後を利用し、校長と1対1で対話を行っている。 A 保護者と創る<学級通信> 進路学習を進める上で、保護者との情報交換も大切な素地作りの一部である。そこで『ふれあい箱』と称して、毎回保護者からの意見や感想を載せるようにした。道徳や生徒総会への意見、修学旅行の服装や進路の相談事など、様々なふれあいができた。 別紙の学級通信の例は、卒業論文の提出が2分遅れた学生を卒業延期にした岡山大学での対応について取り上げた、道徳の授業に対する保護者の意見である。生徒たちも保護者の意見に触れることで、視野を広げることができたようである。この『ふれあい箱』は、学校と家庭をつなぐ架け橋として不可欠な存在となっている。 【別紙5:学級通信資料】 TOPへ戻る
TOPへ戻る 実践編へ戻る |
【 参考資料 】
進路指導単元化構想図 |
3年学活年間指導計画 |
道徳指導案 |
道徳指導案「風に立つライオン」 |
学級通信資料 |