児童生徒の心に響く道徳教育推進事業                 〔指導課〕

さかせよう 心にも花いっぱい
   〜学ぶ喜び、ふれあう楽しさ、成長の実感を軸として〜
田布施町立田布施西小学校

1 研究主題設定の理由2 研究の概要3 実践例4 今後の課題5 心のノート活用例6 市町村の取組み〈田布施町)
研  究  主  題
さかせよう 心にも花いっぱい
〜学ぶ喜び、ふれあう楽しさ、成長の実感を軸として〜

1 研究主題設定の理由
 現行学習指導要領の道徳の実施に合わせ、平成11年度末に、本校では道徳教育全体計画及び年間計画の見直しを行い、平成12年度から各教科をはじめ全教育活動相互の関連を図った道徳教育の推進に努めてきた。
 しかし、子どもたちの心の有り様が教育問題として多様な観点から議論され、豊かな人間性の育成がさらなる課題とされる今、原点に戻ってこれまでの実践を振り返ってみる必要があると感じている。
 ボランティア活動や自然体験活動などの体験活動を生かすなど多様な指導の工夫、魅力的な教材の開発や活用など、今一度見直しを行いながら研鑽を積み、本校の道徳教育を真に意味のあるものにしていきたいと考えている。
 そこで、本研究では、「学ぶ喜び」「ふれあう楽しさ」「成長の実感」を3つの柱として、教育活動全体を通じた体験活動を推進する。具体的には、少人数型の授業を仕組むことで自ら学ぶ意欲を培うこと、縦割りの異年齢集団での活動を様々な場で生かすことで好ましい人間関係を育てること、学級活動(1)「学級や学校の生活の充実と向上に関すること」の内容を充実させることで、主体的に自分たちの問題を解決する力を養うことなどが考えられる。このような体験活動の充実とともに、体験活動と道徳の時間の関連を図った指導により、子どもたちの道徳性を一層高めていきたい。
 子どもたちの主体的な取組みをもとに、様々な価値観にふれることのできる日常の体験(共通体験)を学校生活の中に仕組んでいくことから本研究をスタートさせたいと考える。
 研究の仮説
 各教科、特別活動及び総合的な学習の時間における様々な体験活動を通して、「学ぶ喜び、ふれあう楽しさ、成長の実感」を味わわせることができれば、直面する課題に主体的に取り組み、未来に向けて人生や社会を切り拓く実践的な力をもった子どもが育つであろう。

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2 研究の概要    
(1)一人ひとりを大切にし、わかる喜びを体験できる学習の場の設定
@ 少人数指導による学習形態の工夫
A 朝自習の時間を活用しての基礎・基本の充実
B 地域ボランティアを生かした読書活動の推進
(2)子どもたちが主体的に取り組める活動の場の設定
@ 一人ひとりを認め合える学級集団づくり
A 代表委員会を中核に据えた児童会活動の活性化
B 異年齢集団を生かしたふれあい活動の充実
(3)体験をもとに自己を見つめる道徳の時間
@ 関連的指導を考慮した年間指導計画の見直し
A 総合単元的な道徳学習への取組み
 ・ボランティア活動、自然体験活動などの体験活動を生かした総合単元的な構想
B 道徳の時間における体験活動の生かし方

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3 実践例
(1)児童集会活動
 縦割り班であるなかよし班のふれあいをめあてに、年間6回の児童集会活動を計画し、実践した。
@ 1年生おめでとう集会(お花見弁当集会)
A 七夕集会
B ウオークラリー集会
C スポーツ集会
D 西小まつり
E 6年生ありがとう集会
(2)総合単元的な道徳学習
@ 主題名 自分の特徴 1−E個性の伸長
A 指導案
B 授業考察
 本実践は、「教育キャンプ」という体験活動と道徳の時間との関連を図り、総合単元的な道徳学習として取り組んだものである。「すばらしい友だち」というテーマのもとに、様々な教育活動を関連させながら、単元全体を通して、「信頼・友情」「個性の伸長」という二つの内容項目にかかわる学習である。
 一学年一学級という環境の中で固定化されつつある人間関係を、一人ひとりの成長に目を向けることで見つめ直し、新たな人間関係を築いていく出発点にしたいと考えた。
 授業で取り上げた資料は、「転校していったきみへ」という日本文教出版の副読本の中にある資料である。これは、いなくなってはじめて気付く友だちの存在に目を向けさせることで、目の前にいるクラスの友だちのよさに今一度目を向けさせようとするものである。実際に友だちの転校というほろ苦い経験をもつ本学級の児童にとって、主人公である「ぼく」に自分を置き換えて、今までの自分の在り方を振り返るためには適切な資料だった。
 皆で決めた学級目標、リレーでの友だち同士の励まし合い、児童集会における異学年とのふれあい、これから経験するであろう教育キャンプへの思いなど、体験があってはじめてこの授業が成立したと思っている。授業を進める中で常にこれらの体験にふれていくことで、児童の体験を通して得た思いや感動が生かされていくのではないかと思う。
 「たとえ誰か一人でもクラスの友だちがいなくなったら心にぽっかり穴が開くと思う」という実際に経験した子どもの思いは、実感を伴ってほかの子どもにも伝わった。

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4 今後の課題
 教科学習や児童会活動・学校行事における教師や友だちとのふれあい、地域ボランティアの方々や地域のお年寄り・各福祉施設の方々との交流など、体験を通して道徳的な価値にふれさせていくことが、道徳教育を推進する上で最も大切であると考え、様々な体験活動の充実を図ってきた。
第一年次である本年度は、以下の項目において成果を見ることができたと考える。
児童会活動を活性化させることで、高学年を核にした児童の組織が明確になり、児童主体の活動の基盤づくりができた。
異年齢集団を生かした清掃活動や遊び、集会活動の計画・実践により、児童一人ひとりのふれあいの機会を広めることができた。
教科学習への取組みを見直すことにより、道徳教育の基盤となる学級集団づくりの大切さを認識することができた。
総合単元的な道徳学習の構想表を作成することで、関連的な指導の方向性を探ることができた。
 今後の課題は以下のとおりである。
学級の友だちとのよりよい人間関係を育てることに焦点をあて、互いの成長を認め合えるような学級集団づくりをする。
かかわり合う力が異学年や家庭・地域社会でも発揮できるようにする。
特別活動や総合的な学習の時間と道徳の時間の関連を図った指導を一層推進する。

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5 心のノート活用例(図画工作科での「心のノート」の活用例)
1 活用の趣旨
 絵画、そして立体工作等の作品を作ることは、子どもたちにとっての自己表現であり、表現することで自己の感性や心情をより豊かなものにしていると思う。作品を作る子どもたちのつぶやきの中に、それぞれの生活環境からくる発想や感じ方の多様さを実感することが多い。そこで、図画工作科の活動のまとめに「心のノート」を活用し、子どもたちが自ら表現力を高め、感性を磨き、豊かな心を育むようにしたいと考えた。
2 活用例
(1)2年図画工作科 単元名「しぜんをあつめて、こんなかんじがすき」
 まず、生活科「あきをさがそう」の中で、秋の葉を探した。今年は暖冬の影響で、11月下旬でも、ほとんど紅葉した葉を見付けることはできなかったが、子どもたちは自分の家の周りや出かけた場所で、秋の葉っぱやどんぐりを見付けてきた。「私の家にこんな葉があったよ」「どんぐりはここにたくさんあったよ」と、身近な場所でいろいろな発見をしていた。
 図画工作科の授業で、見付けた葉っぱをすきな感じにならべ、薄紙をのせ、洗濯糊で貼り付けた。たくさんの葉っぱの中からどの葉っぱを選び、どう組み合わせようか試行錯誤の時間を子どもたちは楽しみ、それぞれの思いで作品を作っていた。
 残った葉っぱでしおりづくりにも取り組んだ後、秋の葉を探しそれをすきな感じに表現するという本単元の活動を振り返って感じたこと、思ったことを「心のノート」に書いた。
3 今後の課題
 子どもたちの「心のノート」の記述を見て、本単元「しぜんをあつめて、こんなかんじがすき」の活動を通じて、子どもたちは自然物の美しさ、自然物を工夫することの楽しさ、自然のすばらしさを感じとることができたと思う。
 今後も、教育活動の中で「心のノート」を活用することで、心の成長を促す道徳教育の推進に努めたい。

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6 市町村の取組み(田布施町)
1 研究主題
「さかせよう 心にも花いっぱい
  
〜学ぶ喜び、ふれあう楽しさ、成長の実感を軸として〜
2 研究主題の設定理由
 本町には小学校5校と中学校1校があり、小学校のほとんどの卒業生は田布施中学校へ進学している。少子化が社会問題として取り上げられている今、児童数は年々減少しているものの、小学校卒業後は町内の子どもたちが同じ中学校に進学し、多くの友だちとかかわりながら3年間を共に過ごすことができるという、恵まれた教育環境にあると捉えている。小・中学校間の連携を密にし、小学校で培ってきた力が中学校においてもさらに発揮でき、真にたくましく生き抜く児童生徒を育成する。
 道徳教育に関しては、「豊かな人間性を育てる」ことを町の学校教育方針の柱の一つとし、重点施策の中にも「道徳教育の深化」として位置付け、町をあげて取り組んでいるところである。
 本研究を推進するにあたっては、田布施町教育研修会等の組織を活用し、推進校である田布施西小学校を中心として町内各小・中学校において、地域の実情や児童生徒の実態に応じた道徳教育を推進し、研究を深めていきたい。
3 事業の概要
(1) 推進校における授業研究
期日 平成16年11月30日
会場 田布施町立田布施西小学校 
内容 
@公開授業 6年 
 ・主題名 働くということ
 ・資料名 ぼくの仕事は便所そうじ
  (文溪堂6年)
A指導講話 
指導者 黒田 耕誠
(岩国短期大学学長)
(2) 保護者への授業公開及び講演
期日 平成16年10月22日
会場 田布施町立田布施西小学校
内容 
@授業公開・・・各学級にて
A講演
「学校と家庭に期待すること」         講師 松田 信夫(山口大学教授)
<保護者の感想>
○子どもの頃から道徳などしっかり学習して、外遊びも含めいろいろな体験をしてほしいと思った。
○家での子どもとの対話等を見直してみるよい機会になった。子どもへの接し方について反省する点も多々あった。
4 今後の課題
 昨今の教育事情や子どもたちの実態を深刻に受け止め、心の教育をいっそう推進していく必要があると感じている。家庭教育や学校教育はどうあるべきか、家庭と学校、また、各学校間の連携を取りながら、さらに研究を深めていきたい。
〜担当課〜
田布施町教育委員会学校教育課
 〒742-1592 田布施町下田布施3430-1
 電話:0820(52)5812

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