積極的な生徒指導の推進                      〔指導課〕

 積極的な生徒指導の推進     
−山口県立田布施農業高等学校−

       1 学校紹介2 具体的活動内容3 成果と課題
実  践  の  ポ  イ  ン  ト
カウンセリングマインド:生徒一人ひとりを大切にし、望ましい人間関係づくりに努める。
ガイダンス:生徒の適応を支援し、在り方生き方について主体的に考えられるよう配慮する。
ホウ・レン・ソウ:教員が情報を共有し、協働体制が図れるように努める。

1 学校紹介
 山口県立田布施農業高等学校は、昭和10年に田布施町に開校し、創立70周年を迎える。時代とともに数々の変遷を経て、現在は県東部唯一の農業高校として、田布施町の本校では生物生産科、環境土木科、食品科学科の3学科で、周防大島町の大島分校では、園芸生活科の1学科で構成されている。「平和建設」「勤勉力行」「協同親和」の校訓のもと、人間性豊かで、実行力のある人材の育成に努めている。

<田布施農業高等学校本校>

<大島分校>

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2 具体的活動内容
(1)豊かな体験活動の推進
 本校・分校ともに農業高校の特色を生かし、平素の授業や学校行事において、体験や実習を重視した取組みを数多く取り入れている。

@さのぼり行事(本校)
 毎年6月上旬に行われる本校伝統の行事である。午前中に1年生全員が一斉に田植えを行う。3年生が調理したおむすびと豚汁を昼食時に全校で試食し、午後からは体育館で意見発表会を開催する。クラスから選ばれた代表者が、用意されたテーマに沿って、平素の学習から培った自己の考えをまとめ、全校生徒に向けて熱く語りかける。

<1年生全員による田植え>

<3年生による調理>

<意見発表大会>
A小学校との交流活動(分校)
 近隣小学校の児童と、野菜栽培を通じた交流活動を毎年実施している。高校生が先生役として小学生に農業の技術を伝え、その難しさや大変さを知るとともに、収穫の喜びを共に分かち合うことのできる貴重な体験となっている
<野菜の植え付け> <キムチづくりに挑戦>
B体験学習への積極的参加(本校・分校)
 望ましい職業観の醸成ならびに進路意識の高揚のため、各学科において職場体験学習を実施している。特に環境土木科と園芸生活科においては、2年生の夏休みに全員が参加している。また農業体験の機会として、ヤングファーマー研修・農村滞在型研修・ニュージーランドファームステイなどがあり、家庭科関係の授業では、保育園・特別養護老人ホームでの実習を取り入れるなど、体験学習を積極的に取り入れている。

<環境土木科2年生職場体験>

<大島分校保育実習>

<農村滞在型研修>
C心の教育(本校・分校)
 芸術・文化に触れ、感動体験を重ねることは極めて重要と考え、本校・分校ともに可能な限り文化公演会を行っている。平成16年度において、本校では生徒参加型の劇「走れメロス」を、分校では地元文化サークルの方を講師に「フラダンス体験」を行った。

<走れメロス>

<フラダンス体験>
本   校 分   校
平成14年度 演劇「17歳のオルゴール」 県警音楽隊による演奏会
平成15年度 講演「こころはいつも青空」 ひとりオペラ「べろだしちょんま」
平成16年度 演劇「走れメロス」 フラダンス体験

(2)教育相談体制の充実
 生徒一人ひとりを大切にし生徒理解の深化を図るため、生徒に関する情報を共有し、教員が協働して指導に当たるよう努めている。教育相談的スキル向上を目指した教員研修を実施すると同時に、「人間関係能力の高揚」を目指し、望ましい人間関係づくりの取組みも行っている。
@スクールカウンセラーの配置(本校)
 平成13年度から3年間高等学校生徒指導支援事業の指定を受け、臨床心理士を目指す大学院生がスクールライフサポーターとして配置され、生徒への相談活動はもとより、教員への助言や研修会の講師をしていただいた。平成16年度は、臨床心理士のスクールカウンセラーが配置される拠点校としての指定を受け、保護者との相談や関係機関との連携なども含め、教員と協働しながら生徒支援に努めている。

<スクールカウンセラーによる研修会>
平成16年度教員対象研修会
日 時 内   容
 5月15日 青少年を取り巻く現状について
 7月 2日 構成的グループエンカウンターについて
10月 1日 メンタルヘルス 心理テスト
 研修をふまえ、人間関係づくりを目指した構成的グループエンカウンターをLHRで実施し、自己理解・他者理解の体験を行った。

<マインドマップづくり>

<将来の夢についてのワークシート>
A校内生徒指導連絡協議会の実施(本校)
 1,2学期中間試験中に、校内生徒指導連絡協議会を開催し、配慮を要する生徒についての情報交換や教育相談に関する研修会を行っている。平素から、生徒についての情報を共有し、学年団や学科で連携して生徒支援にあたるよう努めている。また問題行動の事後指導や遅刻の防止について、学校全体で指導している。
BAFPYの実施(分校)
 「AFPY」(Adventure Friendship Program in Yamaguchi)という手法を用いて、様々な課題を仲間と協力しながら解決する過程で、人間関係づくりや自己理解・他者理解を深めることの大切さを学んだ。グループの中で様々な意見を出し合い、課題解決に取り組む姿を見ることができた。

<上げるの意外に難しいよ>

<手をつないで、せーのっ>

<みんなで考えよう>

(3)生徒による自主的な活動
@生徒会等の活動
 本校、分校ともに生徒会と、農業クラブ、家庭クラブという組織があり、それぞれの活動方針に基づいて、執行部役員を中心に意欲的に活動している。
          <クラスマッチ>
Aボランティア活動への積極的参加(本校・分校)
 地域の社会福祉施設での行事のお手伝いや、図書館ボランティアなど、毎年積極的に生徒達が参加している。また、地域の防犯意識や交通安全意識の向上を目指し、分校では少年リーダーズ隊を組織して、本校では生徒会主体で、地元警察署の指導のもと、交通立哨や万引き防止のためのC&C活動などを行っている。

<ふれあい祭りボランティア>
(分校)

<図書館ボランティア>
(本校)

交通安全立哨
(本校)

(4)保護者、地域との連携と情報発信
@オープンスクールの実施
 平素の学校活動を自由に見ていただくねらいで、オープンスクールと銘打ち、授業参観を6月に実施した。本校では保護者のみを対象に一週間、分校では一般開放して日曜日に実施し、数多くの方に来校していただいた。
A農高祭(11月23日)
 平素の学習のなかで丹誠込めてつくりあげた農作物や加工品の販売や、学習成果の展示、文化部の展示発表など、地域の方々から喜ばれる学校最大のイベントである。準備から後片づけまで生徒全員が協力しながら、責任を果たした。

<PTA「まぼろしのみかん餅」>
(本校)

<地元の人で大賑わい>
(分校)

<駐車場係も大忙し>
(本校)
B学校新聞「分校だより」発行(分校)
 行事の案内や部活動大会成績など、アットホームな内容を心がけており、学校行事・PTA関係行事への参加が増加するなど、今、や学校と生徒・保護者を結ぶ大切なものとなっている。

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3 成果と課題
以前は様々な要因で中途退学に至る生徒が多かったが、近年大幅に減少した。
中学校で不登校傾向であった生徒が、高校では改善される事例が多く見られるようになった。また不登校傾向生徒数も、以前に比べ減少している。
特別活動への参加意欲が向上し、学校の活性化につながっている。
集団における規律やマナーについてはまだ未熟な点が多く、きめ細かい継続的な指導が必要である。
体験活動後の評価や、行事がマンネリ化しないような工夫を研究していく。
保護者や地域との連携を、さらに推進していくことが求められている。

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