キャリア教育の推進                         〔指導課〕

 キャリア教育の推進 
                          −山口県立宇部高等学校−

    1 学校紹介2 具体的な活動内容3 成果と課題
実  践  の  ポ  イ  ン  ト
生徒の興味・関心の掌握
大学や保育園等関係機関との連携
体験的活動の実施
学習意欲向上のための取組み

1 学校紹介
@ 学校のビジョン
 基礎学力の向上と規律ある学校生活の確立を目指し、質実剛健の気風を継承する。
 理数科の改革・活性化を図り、理数教育の充実を期する。
A 生徒数
 965人(各学年とも普通科7クラス、理数科1クラス)
B 教育課程の特色
 2学期制、45分・7限授業を実施
C 卒業後の進路先(平成16年3月卒業生355人):
 国公立大学169人、私立大学63人、私立短大1人、準大学2人、専修学校10人、予備校等109人、就職1人


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2 具体的な活動内容    
(1)山口大学との高大連携による取組み

調印式を終えた丸本副学長と
兼石校長>
【経過】16.4.13 高大連携教育(協定による単位認 定の取組み)を山口大学に申入れ
16.4.27 留学生による授業の実施について山口大学に申入れ
16.6.22 高大連携教育協定書調印
16.7.15 医学部7講座開始(〜8.27)
16.8.17 理学部1講座実施
16.9.3 工学部8講座開始(〜9.28)
16.11.1 講座別模擬講義実施
ア 教科「理数」学校設定科目「ハローサイエンス」(1単位)における単位認定の取組み
(ア)趣旨:大学キャンパスにおいて、最先端の科学を学ぶことにより、科学の素晴らしさや楽しさに気付き、科学への興味・関心を高めるとともに、将来の進路選択の指針とし、学習意欲の向上を図る。
(イ)内容:理数科第1学年の希望者を対象に、山口大学において、医学部7講座、工学部8講座、理学部1講座を受講し、その成果を高校の単位として単位認定する。

<「ハローサイエンス」の
医学部講義>

<ハローサイエンスの
工学部講義>
イ 留学生による英語を使った観察、実験授業(6回、12時間)の取組み
(ア)趣旨:将来、国際人として活躍するために必要とする外国人とのコミュニケーション能力の向上を図るため、山口大学理系留学生を講師として招へいし、彼らの専門分野の実験等を通して、学際的に外国人との交流を図る。また、日本に留学し、学問を志す留学生の向学心を学ぶ。
(イ)内容:理数科第1学年対象。留学生が英語を使って観察、実験授業をする。
16.9.6 サイード・アブローン(イラン)「タマネギの体細胞分裂」
16.9.13 タルカン・アクタス(トルコ)「Power Pointによるバイオサイエンスの紹介」
16.10.18 サイード・アブローン(イラン)「ヒトの血液の観察(赤血球、白血球など)」
16.10.25 アラブシャヒ・アイード・アリレザ(イラン)「水性インクのクロマト、光学実験」
16.11.1 アラブシャヒ・アイード・アリレザ(イラン)「ばね係数、摩擦係数実験」
16.11.8 ワン・シュドン(中国)「中国と日本の比較文化、ホームページの作成」

<タルカンさん(トルコ)の
バイオサイエンスの紹介>

<サイードさん(イラン)の
体細胞分裂実験>
ウ 講座別模擬講義
(ア)趣旨:進路学習(総合的な学習の時間)の一環として、大学で行われている講義を受講し、希望する学部・学科についての知識を深め、将来の進路選択の指針とするとともに、学習意欲の向上を図る。
(イ)内容:第2学年の生徒全員を希望する学部・学科等の16講座(山口大学教官による講座は6講座)に分け、各講座ごとに大学の教官による講義を受講する。

<福祉学部の講座>

<工学部化学系の講座>

(2)「ようこそ先輩」(総合的な学習の時間・2回4時間)
(ア)趣旨:社会で活躍する本校OBの企業人、社会人としての講話を聴くことにより、生徒一人一人の職業意識、進路意識の向上を図り、進路選択の指針とするとともに、学習意欲の向上を図る。
(イ)内容:理数科第1学年対象
第1回目「アルミホイル物語」(講師:元 宇部興産  藤 野 清 氏)
第2回目「社会人としての素養」(講師:三井住友海上火災保険株式会社 村田秀隆 氏)

(3)中学校との連携
ア 藤山中学校生徒の宇部高校授業体験
(ア)趣旨:中学生に本校の概要について説明し、実際に授業を体験させることにより、中学生が高校を進路選択する時のための情報を提供する。
(イ)内容:生徒15人が来校し、教育課程の特色等の説明を受けた後、5人ずつ3班に分かれ、国語、数学、英語の授業を受ける。
イ 理数科説明会
(ア)趣旨:理数科の特色ある活動等について説明し、観察、実験を体験させることにより、中学生が高校(学科)を選択する時のための情報を提供する。
(イ)内容:理数科の概要説明
体験実験:生物「ゾウリムシの観察」 地学「郷土の地学」
物理「光を分解してみよう!〜物質と光のスペクトル〜」
化学「はっぱにメッキをしてみよう」

<本校の概要説明>

<地学の講義>

(4)保育園、老人ホームへの訪問実習
(ア)趣旨:保育園を訪問し、乳幼児とのふれあいを持つことにより、乳幼児のかわいらしさや純真さ、積極性などを肌で感じ、乳幼児について理解を深め、母性や父性を育成するとともに、保育士の仕事を体験し、理解する。
また、老人ホームの訪問では、高齢者と触れ合い、話す機会を持つことにより、相互理解を深め、高齢化社会の抱える問題について考えるとともに、介護士の仕事を体験し、理解する。
(イ)内容:普通科第1学年生徒全員(280人)が宇部市内の保育園(6園)又は老人ホーム(1所)のうちのいずれか1箇所を訪問し、体験実習を行う。

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3 成果と課題
本校のキャリア教育は、山口大学との高大連携教育を中心に実施してきた。単位認定の取組みである学校設定科目「ハローサイエンス」(理数科第1学年対象)では、8割の生徒がよかったと答えており、高い満足度を示している。また、留学生による授業では、6割強の生徒が面白かったと答えている。今後は、さらに、生徒の満足度を高め、高大連携教育の充実を図るため、シラバスについて大学と共同研究し、観察、実験を中心とした体験的学習の導入や、生徒のレディネスの向上のための取組みが必要である。
「ようこそ先輩」では、「宇部高を卒業した先輩がこんなにすごいことをしているんだと知って正直驚いた。」などの前向きの感想が多かった。しかし、講師選定では、候補者が見つからず難航した。「理数科説明会」では、観察、実験の体験的活動を取り入れ、昨年度よりも参加者が増加した。また、「理数科に興味が持てた」と回答した中学生も81.8%に達した。今後も参加者にとって魅力ある説明会とするため、観察、実験等の体験的活動を取り入れるなど一層の工夫を図りたい。


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