放課後学習チューターの配置等に係る調査研究事業の実践          〔指導課〕
主体的な学びを育てる放課後学習チューターの効果的な活用法
                        −
周南市夜市小学校−

      1 学校紹介2 具体的な活動内容3 成果と課題
実  践  の  ポ  イ  ン  ト

 主体的に学習に取り組む意欲を高めたり、持続させたりする工夫や手立てを講じる。
 子どもたち一人一人の課題に対応できるよう、担任とチューターが連携して指導にあたる。
 ねらいを明確にし、児童や保護者に趣旨の理解を得た上で参加してもらう。


1 学校の紹介
 本校は、周南市の西に位置した全校児童130名の小規模校である。学校教育目標に「主体的に人や社会とかかわり、心豊かにたくましく生き抜く子どもの育成」を掲げ、米や麦、そば等の栽培活動や地域行事への積極的な参加を通して、地域ぐるみの教育基盤づくりを推進するとともに、ふるさとを愛する子どもたちの育成に努めていることが特色である。


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2 具体的な活動内容

(1)放課後学習相談のあり方

@ 放課後学習相談の進め方


 本校での放課後学習相談(以降わくわくタイム)の流れは右の表のとおりである。
 子どもたちは保護者と相談して用意した自分の課題に取り組み、分からないところをチューターに質問したり、チューターと一緒に答え合わせをしたりしながら課題の解決にあたる。放課後ということもあり、集中力や意欲を持続させることが難しい面もあるが、中学年は楽しい雰囲気で、高学年はより自分の力が高められるように配慮しながら進めた。終わり5分前になったら、チューターの用意してきた算数クイズやパズル的なゲームを一緒に楽しむ時間も設けている。

テキスト ボックス:     わくわくタイムの流れ
@わくわくタイムカード(めあて)の記入
A始まりのあいさつ(当番児童)
B自分の課題に取り組む。
→答え合わせ
 ※わからないところがあればチューターに質問
 ※間違えた所をチューターと確認
C算数パズル・ゲーム等をチューターと楽しむ
Dわくわくタイムカードの記入(ふりかえり)→ チューターからひと言
E終わりのあいさつ
  ※チューターとの打ち合わせ・実施記録の記入

A 主体的な学び方を育てるために

 主体的な学びを引き出すためには、子どもたち一人一人に自分なりのめあてをもって取り組ませることが必要になってくる。そこで、各自が今日がんばりたいめあてを立てて、それをわくわくタイムカードに記入するようにした。このめあてについて、わくわくタイム終了後にふりかえりをし、担当のチューターからほめてもらったり、励ましてもらったりすることで、次回への意欲を高めることができた。ただし、回数が増えてくるとマンネリ化し、いつまでたっても同じようなめあてを立てている場合も多く、適切な支援をすることが難しかった。

 また、プリントや問題にどんどん取り組むものの、間違ったところを確実に分かるようにしないまま次へ進んでいくという光景が子どもたちによく見られた。学び方の獲得ということを考えた場合、できたところより、できなかったところを分かるようにしていくことが重要になってくる。そこで、自分の課題の丸付けが終わった後、チューターのところで確認をさせるようにした。分からない場合は、そこで教えてもらったり、すぐ間違いに気付いた場合には、そのやり方や考え方をチューターに説明したりすることで、学び方を身に付けるとともに、つまずきの解消をすることができた。

B 子どもたちとチューターの信頼関係の構築について

 学習者と支援者の間の信頼関係は、学習効果や意欲を高める点において非常に重要である。いくら子どもたちに世代が近く親しみやすい大学生といっても、その信頼関係が十分にできていなければ、進んで質問をしたり、わからないところを教えてもらったりすることは難しいことである。
 そこで、子どもたちとチューターとの信頼関係を深めるために、「ふれあいの日」を学期に1回程度設けることにした。顔合わせ会や一緒に遊ぶ時間、お別れ会などを通して、よりチューターに親近感や親しみを感じ、わくわくタイムへの意欲や効果を高めることができた。 
 また、毎回の終わりの5分程度は、チューターが算数のクイズやパズル的なゲームを用意し、それを楽しんで終わることにしている。タングラムを使った形作りが好評で、子どもたちは夢中になって取り組んでいた。

(2)放課後学習相談以外の取組み

@ 授業におけるTTとしての活用法

 本校では、1・4・5・6年において算数科を中心に少人数指導に取り組んでいる。2・3年生では少人数指導を実施していないため、学習の中でよりきめ細かな支援をしていくため、ここにチューターが活用できないかと考え、授業におけるチューターの活用に取り組むこととした。
 毎回授業に入るチューターが違うと子どもたちも落ち着かないので、1年間を通して参加できるチューターに固定し、2年生に3人、3年生に2人入ることにした。

 授業の中での主な役割は、グループや子どもたちの間を回り、担任が指示したことや大切なことを繰り返し話したり、丸付けをした後の確認をしたりする教師の補助である。子どもたちはとても楽しみにしており、チューター先生の前でいいところを見せようと張り切ったり、丸をもらおうとがんばったりする姿が見られ、良い刺激を与えている。担任も、毎週のことなので負担も大きいが、適度な緊張感もあって、より質の高い学習ができるととらえている。

A 行事への参加

 運動会や集会活動、米作りなどの行事へも積極的に参加していただいた。チューター自身も学校のいろいろな様子を学ぶことができ、学校としても行事の運営がスムーズに行えた。また、放課後学習相談に初めて参加したり、久しぶりに参加したりする場合、チューター自身も子どもたちとの関係を不安に感じていることも多い。行事に参加することで、自然と子どもたちとのふれあいを深めることができ、チューターを続けていこうとする気持ちをまた新たにできるようである。

(3)実施体制の工夫

@ 放課後学習チューターや大学との連携方策の工夫

 わくわくタイム終了後、チューターと担当教諭で簡単な打ち合わせや反省会を行っている。指導上の問題点やより効果的な方法について話し合いを進め、担任に連絡しておいたほうがよい内容については、担当者が連絡調整役として、その内容を伝えている。また、チューターは実施記録簿に指導内容や指導方法、所感などを記述し、担任がその内容について目を通すようにすることで、打ち合わせに時間が取れない分を補っている。

A 家庭との連携

 放課後学習チューターの趣旨やねらい、実施日時、方法などを文書により知らせている。また、学級便りで学習相談の様子やどのような課題に取り組ませればよいのかを紹介した。


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3 成果と課題

1)成果として

○「もっと学習したい」「分かるようになりたい」といった子どもたちの要求に応えることができ、満足感や充実感を味わわすことができた。

○分からないことを進んで質問したり、間違えたところを復習したりする等の学び方が身に付いてきた児童が増えた。


(2)課題として

○子どもたちの個別指導や支援にあたるチューターの人数を十分に確保し、一対一でじっくり話しながら指導していくことが必要な子どもにも、十分な支援をすることが重要である。



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◎校長から見た指導のポイント

 児童の意欲を高める算数科の指導の工夫
 チューターと児童とのふれあいを大切にした指導の場
 チューターの主体的な教材研究による指導力の向上
 担任の適切なチューターへのアドバイス 


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