専門高校の特色ある取組み                         〔指導課〕
○「がんばれ柳井!☆Never give up☆
  〜観光地における空き店舗経営〜
                     −
山口県立柳井商業高校−

  1 学校紹介2 具体的な活動内容(1)研究目的(2)研究方法
      (3)店舗経営の概要(4)商業高校におけるモノづくり
      3 成果と課題4 実践に当たってのポイント5 生徒の感想文
実  践  の  ポ  イ  ン  ト
 地域の要請を真摯に受け止める学校側の姿勢と協力体制の確立。
 平素から地元や地域と豊かなコミュニケーションを図り良好な関係の構築。
 体験的な活動の中で生徒のアイデアや創意工夫が生かせる環境の整備。
 専門高校(商業)で身に付けた学習内容を総合的に実践する指導の工夫。

1 学校の紹介
 本校は、山口県東部の柳井市中央部にある小高い丘の上に位置し、緑豊かな自然環境に恵まれた会計ビジネス科(2クラス)と情報ビジネス科(1クラス)を設置する商業高校である。校訓は「至誠・礼節・質実剛健」。今年で創立85周年を迎え、幾多の歴史的な変遷の中で地域経済に寄与する多くの人材を輩出している。近年、柳井地区とその近郊は少子化傾向が著しいが、1学年3クラスという小規模校の利点を生かして、個に応じた指導の充実を図っている。

     (校門から見た柳井商業高校)
    
(詳細は学校独自のホームページ http://www.yanai-c@ysn21.jpへ)

TOPへ戻る


2 具体的な活動内容(1)研究目的(2)研究方法
 本校では今年度、地域と連携して「観光地における空き店舗経営」について、情報研究部を中心に取り組んでいる。

(1)研究目的
@地域の要請に応え、地元経済の活性化に若い力を役立てる。
A店舗経営に係わる諸問題を、主体的・合理的に解決する能力と態度を身に付ける。
B地域の事業所とのコミュニケーションを通じて経営の在り方について理解を深める。
C地域にある観光資源の活用に関する提言を行う。

(2)研究方法
@柳井市内にある「白壁の町並み」内で空き店舗を借用し、物品販売や観光の宣伝等を通じてマーケティング活動の在り方について研究を進める。
A事前準備(企画立案)や運営全般について、生徒が主体的に取り組む。
B取扱商品は主に地元の特産品とし、地域との連携を重視した店舗経営を試みる。

       
(柳井白壁の町並み)
    

TOPへ戻る

(3)店舗経営の概要
店 舗 名 ざ☆金魚
実施日時 第一回目 平成15年5月24日〜6月21日毎週土曜日
 営業時間:午前9:00〜午後6:00
第二回目 平成15年7月25日(金)〜31日(木)7日間
 営業時間:午前9:00〜午後6:00
場  所 柳井白壁の町並みの中心部に、事業主の厚意により無償で店舗を借用
(山口県柳井市大字柳井津)
対  象 観光客及び地元住民
活動内容 商品の選定・仕入、販売価格の設定、店舗設計、POP広告作成、観光キャンペーン(観光地ディジタルカメラ撮影)、在庫管理、財務管理等、経営に関する諸活動を全て生徒が行う。
販売商品 第一回目 駄菓子、山口県立田布施農業高等学校本校・分校の農業生産物、障害者支援施設のパン・ケーキ、柳井縞、金魚ちょうちん、観光用ディジタルカメラ撮影(記念はがき印刷)、オリジナルTシャツ・便箋 ・風鈴等
第二回目 第一回目の商品構成に加え、近隣地域の田布施町や大島(東和町 ・由宇町・橘町・久賀町)から地元特産品を仕入れる。
宣伝活動 各報道機関への報道依頼、チラシ作成・配布
※開店初日はTV局による取材(生中継)があり、各新聞にも掲載された。
経営資源 パソコン、カラープリンタ

(TV局取材(生放送)の様子)       (接客の様子)

(田布施農業高校の生産物)       (オリジナルTシャツ)


TOPへ戻る


(4)商業高校におけるモノづくり

 オリジナル商品は、生徒たちで「ざ☆金魚」のキャラクターをデザインし、それをプリントしたTシャツ、便箋、風鈴の3種類を製作した。経営資源がパソコンであることを強みとしてモノづくりに挑戦し、IT技術を駆使した観光キャンペーンが実現した。お客様にはたいへん好評であった。

(オリジナルキャラクター)        (レターセット)
(白壁と金魚のモチーフ)


TOPへ戻る


3 成果と課題

1)成果として
@短期間ながら地域からの要請に応えることができ、地域経済の活性化に結びついた。
A地元商店とのコミュニケーションから、「お客様の動向」・「生きた経営アドバイス」・「白壁の町並みの現状」等、店舗経営に関する貴重な情報を得ることができた。
B店舗経営に係わる諸問題を、主体的・合理的に解決する能力と態度を養うことができた。
C柳井市、地元の観光協会や商工会議所、商店街組合等との協力関係を築くことができ、地元特産品を取り扱うことにより、学校と地域との連携が深まった。
D接客を中心とした販売活動の全般を通して、生徒のコミュニケーション能力の向上がみられた。
E「他店にはない独自の商品」が経営上のキーポイントであることが理解できた。

(2)課題として
@接客マナーや商品管理の手法など、よりきめ細かな事前準備をする必要がある。
A観光地での店舗経営は、観光シーズンや平日と土日の客足、または天候等の諸条件に左右されることから、影響を受けにくい経営方法について考える必要がある。
B今後は、より長期的な視野に立って地域の活性化について考えることが重要である。


TOPへ戻る


4 実践に当たってのポイント(担当者)

 地域の要請を真摯に受け止める学校側の姿勢と協力体制の確立。
 平素から地元や地域と豊かなコミュニケーションを図り良好な関係の構築。
 体験的な活動の中で生徒のアイデアや創意工夫が生かせる環境の整備。
 専門高校(商業)で身に付けた学習内容を総合的に実践する指導の工夫。

5 生徒の感想文

「商店を経営して」(抜粋)情報ビジネス科第3学年
「柳井白壁の町並み」には、みやげ物屋さんから文房具店まで様々な商店が軒を連ねています。私たちは他店にはない商店、高校生だからこそできる商店の在り方について、アイディアを出し合い、検討を重ねました。そして「ざ☆金魚」のオリジナル商品を開発し、近隣の農業高校や柳井市近郊の地域の特産品を仕入れることにより、既存の商店との差別化を図りました。
部員がデザインした金魚の絵柄でオリジナルレターセットとTシャツを作成し、それらはテレビや新聞に取り上げられたこともあり、予想以上に売れ行きが好調で驚きました。お客様の中には、そのレターセットを買うためだけに来店してくださった方もあり、大変感激しました。

TOPへ戻る                     実践編へ戻る