キャリア教育の推進                         〔指導課〕

キャリア教育の推進 ―お仕事にチャレンジ!―
                            −周南市立湯野小学校−

     1 学校紹介2 具体的な活動内容3 成果と課題
            4 実践に当たってのポイント5 取組みの評価
実  践  の  ポ  イ  ン  ト
 事前・事後の学習を充実させる。
 地域の人々の仕事やふるさとに対する思いや願いにふれさせる。
 ボランティアによる地域の方の協力を依頼する。

1 学校紹介

 周南市立湯野小学校は周南市の西部に位置し、自然が豊かで、湯野温泉という観光資源にも恵まれた地区にある。全校児童81名の小規模校で、地域に根ざし、地域とともに歩む学校づくりを進めている。地域での体験や活動を重視し、行事への参加やふれあい活動も取り入れている。また、総合的な学習の時間には、福祉、環境、文化など地域の特色に応じた課題を取り上げ、地域を重要な学習の場としている。


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2 具体的な活動内容    
 以下、@〜Eについては、湯野公民館作成の「お仕事にチャレンジ」要項を元にまとめている。
@ 趣 旨
 学校完全週五日制の導入や総合的な学習の時間の実施などにより、児童を取り巻く教育環境が大きく変わる中で、学校、家庭、地域がより一層連携を深めるとともに、地域全体で児童に「生きる力」を育むことを支援する環境づくりが求められている。
 本事業である職場体験「お仕事にチャレンジ!」は、学校、公民館、地域が手を取り合い、サポートすることによって、児童が生きていく上で必要な様々な知恵を学び、「明るさあふれる、たくましい湯野っ子」に育てることをねらい、実施するものとする。
この取組みによって、児童を含め、関係者が取組みの意義を感じ、地域が成長するまたとない機会となっている。


【学校、公民館、地域にとって】
児童の教育
児童の教育に対する地域の意識改革(コミュニティの一員として地域で教育する重要性必要性の再認識)
学校、公民館などの教育機関と地域との結びつきの強化
【児童にとって】
奉仕の心(人のために働く喜び)の育成
協調性(共同して働くことで、互いに助け合うことの大切さ)の育成
忍耐力(仕事を続ける我慢強さ)の育成
職業体験(ふだんとは異なる体験)の育成
コミュニケーション力(異世代とのかかわり)の育成
自立心(仕事への責任)の育成
金銭感覚(お金の尊さ)の育成

A 主 催

湯野小学校、湯野公民館


B 日 時
・職場体験    平成15年6月20日(金)、6月27日(金)8:30〜11:30
・体験学習発表会 平成15年7月17日(木)8:40〜9:30


C 対 象
 湯野小学校5、6年児童   5年14名、6年13名 計27名

D協力店・施設
市役所湯野支所、湯野温泉病院、特別老人ホーム「やすらぎ苑」、国民宿舎「湯野荘」、泉月堂(「里娘」製菓店)、森重商店、スーパーコスモ(スーパーマーケット)、中野理髪店、玉木美容院  計9か所

※ 幅広い職種が望ましいが、安全を大前提とする。
仕事の内容については各職場の判断に任せる。どの程度の仕事をさせてよいのか判断に困るときは学校と相談して決定する。


E全体の流れ


F 活動状況
 職場の選択
実施3年目ということもあり、4、5年生の時に体験学習発表会で先輩たちから活動の様子を聞いたり、実際に職場体験をしたりしている。また、6年生でもこれまで学習してきたこととのかかわりをもたせるようにしてきたので、どの職場を体験したいか自分なりの願いをもって積極的に選択することができた。お客さんと接する仕事、技術を必要とする仕事、福祉施設・病院での仕事など、職場が複数あるため、子どもたちの希望した職場で活動することができた。6年生は前年度から引き続き同じ職場での活動を希望する子どもと新しい職場に挑戦してみたいと希望する子どもに分かれたが、本人の意思を尊重して分けることにした。
 
各職場での体験の様子
各協力店・施設の方々に快く受け入れていただき、日頃消極的な子どもも大きな声であいさつをしたり、積極的に質問をしたりする姿が見られた。仕事のお手伝いとはいえ大きな緊張感や責任感をもって取り組む活動となり、学校ではできない様々なことを学ぶことができた。仕事を終えた子どもたちは、十分な達成感を味わうことができ、終わった後は毎回各職場での活動の様子や感想を盛んに話し合う姿が見られた。


 



【 体験学習発表会の様子 】
子どもたちは、自分たちの目で見て、耳で聞いて、手でふれるといった直接体験をしているので、発表内容をまとめる段階でも伝えたいことを明確にもっており、主体的に学習に取り組むことができた。また、お世話になった方々が参観してくださることで、感想も表面的なものではなく、驚きや苦労など素直な思いを発表することができた。


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3 成果と課題
○ 成果として
 職場体験を通して仕事をする難しさや尊さを実感することができた。
 どの職場でも、1日目は緊張した表情で、頼まれた仕事も要領を得ず、戸惑い、苦労している様子がうかがえた。しかし、2日目になるとだんだん仕事に慣れ、職場の方との会話もできるようになってきた。それぞれの仕事の大変さや大切さが感じられたようである。
 地域で働く人の願いや思いにふれ、ふるさと「湯野」に親しみをもつことができた。
 仕事上の技能だけでなく、それによせる願いや思いも聞くことができ、体験を通してそれぞれの職場や働いておられる方がより身近に感じられるようになった。また、ボランティアの方に励ましの声をかけていただいたこともうれしかったようである。
 中学校での職場体験につながり、自分の将来について考えるよい機会にもなった。
 将来についての目標や夢がもちにくいといわれるが、進学や就職だけにとらわれず、自分の将来について考える場をもつことにもなったようである。5年生は、次年度はどんな仕事にチャレンジするか見通すことができ、6年生も中学2年生で実施される職場体験に役立てることができる。
● 課題として
 総合的な学習の時間の年間指導計画の中での位置づけを明確にし、他の活動や教科、領域との関連を図る。
 2度の職場体験と体験学習発表会を主とした1学期の活動であるが、自分の課題をもって意欲的に取り組み、その成果が生かせるように、1年間を見通した計画を立てて指導していくようにする。
 各協力店、施設の仕事内容について、反省をもとに検討を加える。
 本年度は9か所の店・施設に受け入れていただいているが、小学生の発達段階に即した仕事内容になるように苦心されたところもある。前年度の反省をもとに事前の打合せを綿密に行うようにする。また、職場体験が可能な店や施設の発掘も必要となってくる。


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4 実践に当たってのポイント
 事前、事後の学習を充実させる。
 事前に保護者の仕事の様子や仕事をするときの思いを調べさせることによって、職場体験学習への意欲を高める。また、振り返りの中で日頃働いて自分たちを支えてくれている保護者への感謝の気持ちがもてるようにする。
 地域の人々の仕事やふるさとに対する思いや願いにふれさせる。
 子どもたちは5年生の社会科の学習で働く人々の工夫や苦労を学習してきている。しかし、それを実感することはなかなか難しい。そこでともに仕事をしながら直接仕事に対する思いや工夫を聞かせてもらうよう協力店の方々に依頼する。また、自分たちのふるさとに愛着をもって生活できるよう、ふるさとに対する思いや願いも併せて聞かせてもらえるよう依頼する。
 ボランティアによる地域の方の協力を依頼する。
 十数名のボランティアの方々の協力が得られるようにする。ボランティアの方には、発表会へ向けて子どもたちが活動の様子を振り返りやすいように写真資料の提供や活動中の様子の報告、子どもたちへのことばかけをお願いする。
 職場ごとのグループで行動するため行き帰りの交通安全にも配慮し、支所や駐在所の方に交通指導をお願いする。


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5 取組みの評価
 公民館や地域と連携して実施することが大切である。
 職場体験が始まって本年度で3年目となる。
 小学生による職場体験が実施できる背景として、公民館が主催であること、児童の活動を見守り、取材、編集等の協力が得られる地域ボランティアの存在があること、地域の中に受け入れてもらえる職場が多いことなどがあげられる。
 体験学習発表会を開催し、活動状況を広く保護者・地域に知らせることが重要である。
 1学期保護者会の初めに時間を設定し、 公民館、ボランティア、各協力店・施設の方だけでなく、保護者にも参加を呼びかける。3・4年児童も一緒に発表を聞くことにしているため次年度に向けた心構えができる。
 地域行事やふれあい活動を通して、地域とのかかわりを深めることが重要である。
敬老会(9月15日 3・4年の発表)、ふるさと祭り(11月23日 全校によるふるさと写真展の展示、5・6年の発表)など、地域行事への積極的な参加や地域のサンサンロードクリーン作戦、花壇づくりなどふれあい活動を通して、児童が地域に親しみをもち、進んで地域の人とかかわれるようにする。
 活動に当たっては、公民館やコミュニティ協議会との協力体制をつくり、話し合って進めるようにすることで、児童、学校、保護者、地域全体が、自らの生き方を考え、自己と地域の未来を考える貴重な機会となっている。


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