学力向上フロンティアスクールの取組み                  〔指導課〕
 きらきら わくわく 由宇小っ子
  〜自ら課題を持ち、生き生きと学ぶ児童の育成〜
     
由宇町立由宇小学校−

   1 学校の紹介2 本校の研究主題と仮説3 全体構想
   4 4つの観点と本校の16年度の取組み5 成果と課題
実  践  の  ポ  イ  ン  ト
 体験的・問題解決的な学習の展開により、主体的に学ぶ力を育てる。
 見取りを大切にし、指導と評価の一体化を図る。
 国語科・算数科を中心に少人数・TTなどによるきめ細かな指導を展開し、確かな学力の向上を図る。 

1 学校の紹介
 本校は、山口県の東部、岩国市と柳井市の中間に位置し、温暖な気候と山、川、海の自然に恵まれた由宇町にある。2つの特殊学級を含め14学級、児童数422名、教職員数32名の学校である。
 町民の本校に寄せる期待は大きく、本校の教育目標である「瞳かがやく由宇小っ子」の実現に向けて、学校・家庭・地域社会が一体となって夢のある様々な教育活動を行っている。
 本校の児童は、好奇心や探究心をもち、明るく素直で活動的である。
 平成14年度から3年間、学力向上フロンティア校の指定を受けたが、このよさを伸ばすことで、確かな学力の定着・向上を図ってきた。

【 由宇町立由宇小学校 】


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2 本校の研究主題と仮説
 本校では、学びの過程において、子どもが元来もっている知的好奇心や探究心に、教師が意図的に働きかけることを通して、学びの本質に迫りたいと考えた。
(1)研究主題  きらきら わくわく 由宇小っ子
〜自ら課題をもち、生き生きと学ぶ児童の育成〜
(2)仮説
仮説1
(課題提示の工夫・学び方を身につけさせる授業の展開)
 学習課題のもたせ方や追究の仕方をどの子にとっても身近でわかりやすく、楽しいものになるよう工夫改善すれば、課題意識や追究意欲が高まり、自ら課題をもって追究する学び本来のおもしろさに気づくのではないか。
仮説2(見取り・評価・児童の振り返りを生かす授業の展開)
 児童一人ひとりの見取りや評価と、児童自身の振り返りを大切にし、それらを生かした学習活動を展開すれば、個々の思いや願い、よさや可能性が発揮される授業となり、生き生きと学ぶ児童の育成が図れるのではないか。


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3 全体構想
      【 全体構想図 】

 確かな学力を身につけさせるため、4つの観点について一体的に取り組んできた。
 授業では、個に応じた指導を充実するよう、体験的・問題解決的な学習に取り組み、わかる授業・楽しい授業を展開している。
 また、由宇小サポーター(保護者、地域住民)やとなりの先生(ゲストティーチャー)として、地域の教育力を積極的に活用し、地域に根ざし、地域で子どもを育てる体制作りをしている。


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4 4つの観点と本校の16年度の取組み
 確かな学力を身につけさせるため、4つの観点について一体的に取り組んできた。
@ 発展的な学習や補充的な学習など個に応じた指導のための教材の開発
発展的な学習
 旧学習指導要領の内容や上学年の内容、左記以外で児童にとって価値のある内容から、発展問題を作成し、自分の課題に応じて挑戦させた。
○算数:(中学年・高学年)
・単元のまとめ時間の活用
・発展問題への挑戦
・自己の力に応じた取組み
○国語:(中学年)
・授業の開始は、素読暗誦
・日本語の美しさを学び取り、表現力を育成
・読書の幅を広げ、名文への興味・関心の高揚
○生活科・総合的な学習:(低学年・全学年)
・ふれあいウォークラリー(中学年以上)
・ゆうきらきらスクール (全学年)
・地域教材の開発、人材の活用
補充的な学習
・補充的な学習の重要性を再確認し、共通理解の上、全校で取り組んだ。
○計算と漢字を重点に指導
・教科書の内容を基本としたマスタープリント、くり返しプリント、チャレンジプリントの作成。
(基礎・基本の時間及び授業で活用)

○基礎・基本の時間を設置
・基礎・基本の時間の生活時程への位置付け
(週4回、月・火・水・木曜日、5校時の前:15分間)
・内容:国語(漢字・視写)算数(計算)の積み重ね

【 計算力向上をめざす 】
○ラブックタイムの運用
・読書に親しみ、読書好きの子どもを育てる時間として位置づけ
(毎朝10分間 読み聞かせ・黙読)
・図書室の積極的な利用
(図書ボランティア、町立図書館との連携強化)
・読書ボランティアによる読み聞かせの会
(月2回)

【ラブックタイムの様子】
教科書の価値の見直しと教材開発
教科書の価値を見直し、教科書教材の研究を行う。
・教科書と学習指導要領の内容の一層の理解
・子どものレディネスと指導内容の吟味
・学習内容の構成再認識(教材開発)
A 個に応じた指導のための指導方法・指導体制の工夫改善
児童の実態に応じた問題解決的な学習の取組み
学習意欲を高めるために、身近な課題を設定する。
・各教科で問題解決的な学習への取組み
・身近な学習課題と課題解決への見通し(共学び)
・見取り、学びの振り返りを生かした学習指導
(問題意識の高まり)

【問題解決的な学習の取組み】
少人数指導
教科や単元の内容・見取りによる児童の実態把握に基づき、取組みに工夫を加えている。
○算数の少人数(中学年・高学年)
単元導入時、レディネステストの実施
(児童・保護者との話し合いの上、選択)
・コースの選択(習熟度別)
「きらきらコース」:基礎的・基本的な内容をじっくり学習するコース
「わくわくコース」:発展的な課題にもどんどん挑戦するコース
※ ふれあいチェンジタイム
:コース再選択が可能
・コース別児童の実態に合わせた指導方法と教材教具の工夫
○国語の少人数(中学年)
単元計画時、児童の実態・学習内容に基づいて学習形態を決定する。
・コースの選択(習熟度別・学習課題別)
「スマイルコース」:基本的な読み・書きにスモールステップで取り組むコース
「花マルコース」:読み・書きの練習に時間を取り、発展的な課題にもどんどん挑戦していくコース
TT指導
児童の実態・学習内容に基づいて学習形態を決定する。
・多様な意見を出し合う学習の展開
・個別の支援を必要とする児童の実態
教科担任制(6年生)
中学校へのなめらかな移行をめざす。
教科(理科・社会・音楽・家庭)
・教師の得意分野、専門性を生かした授業
・子どもの複眼的な見取り
・問題や課題を共有した効果的な学習指導
・綿密な情報交換を生かした児童理解
課題選択(総合的な学習)
児童の興味関心に基づいた課題を選択し、課題別グループで学習を進めていく。
(例)5年生「レッツ トライ」
・豆腐をつくろう・お米をつくろう・ミツバチを飼おう から選択
B 児童生徒の学力の評価を生かした指導の改善
見取り
形成的評価の積み重ねが確かな学力の向上へつながると考える。
・一人ひとりの学びへのきめ細かな指導と基礎・基本の定着
・見取りの充実(長いスパン・複眼的・評価規準)
・見取り表の工夫、改善(指導に生かす見取りの重要性)
振り返り
児童自身の振り返りであると同時に授業評価でもある。
・学びの振り返りによる学ぶ価値の自覚(なぜ学ぶのか)
・振り返りカードの活用(学びの定着・課題の洗い出し・自己成就感の高揚)
各種テスト
客観的に結果を見つめ直すことができる。
・学力テストの実施と活用
・市販テスト結果のデータ化と活用
C 児童生徒による授業の評価を生かした授業改善
児童による授業評価
授業評価の結果を積極的に生かして、学びを創造する。
・必要に応じた授業評価の実施
・算数日記や振り返りの実施
・児童の思いや願いを生かした授業改善


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5 成果と課題

1)成果として
 学力検査や定期テストなどデータ化された客観的資料に、見取りや児童自身の振り返りを併用して子どもの実態を把握した。これを受けて、より子どもの立場に立った授業改善を行い、児童の変容を導いた。
(1)見取りや振り返りにより児童理解が深まった。
(2)授業改善によって、授業が楽しいと感じる児童が増え、学力の定着が見られた。
(3)少人数指導の打ち合わせを充実させることで、児童の姿を思い描いて授業を構成するようになり、授業は、楽しくためになると児童や保護者の支持を得るようになった。
(4)マスタープリント、くり返しプリント、チャレンジプリントなど学習プリントの活用により、基礎基本が定着し、学習意欲も高まってきた。
(5)朝読書により、一日の学習を落ち着いて始めることができるようになった。
(6)いろいろな場面で発表の機会を多く設定することで、これまでに学んだことをもとに、論理的に物事を考えたり、引用文やグラフ・図表を使ってわかりやすく表現したりすることができるようになった。
(2)課題として
 全学年の学習を見通した上で、次の取組みをする。
(1)各学年の独創的な取組みを組織化し、発展的な学習・補充的な学習を重点化する。
(2)学習内容や児童地域の実態に合った学習材・教材教具を開発する。
(3)見取りを始めとする評価結果に柔軟に対応し迅速かつ的確に指導方法を改善していく。
(4)地域の人材や施設等を有効活用し、学校と地域が協働で子どもを育てる体制作りを整える。
◎校長から見た指導のポイント
授業は子どもとともにつくるという理念を共有する。
目の前の子ども一人ひとりの学びを見つめる研修を重ねる。
教師一人一人の持ち味を生かした研修体制を組織する。
子どもの学びの姿を各種便り・HP等で保護者や地域に発信する。


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