特別支援教育体制推進事業                               〔特別支援教育推進室〕
○「特別支援教育体制推進事業」について
                          −萩市立椿東小学校−
1 学校紹介2 研究の実践3 成果と課題4 今後の計画・展望
 学校の紹介
  本校は、維新発祥の地・萩市の原点とされる松下村塾をはじめとする多くの史跡や文化財が校区内に存在している。このことは、有形無形に本校教育に関わりをもっており、恵まれた教育環境にある。
  一時期(昭和50年代後半)、校区内で大きい県営住宅地等の宅地造成が盛んになされ、家屋の建築が進み、校区内の人口も急増した時期もあったが、その後は大きい変化も見られず、毎年児童数は減り、本年度は児童数528名となっている。
  「自ら進んで学ぶ、心豊かなたくましい児童の育成」を目指し、教師間の共通理解を図り、児童一人ひとりを見つめ、児童の実態を常に把握し、人間的・教育的なふれあいの中で共感的な理解を深め、自己の存在を確認させ師弟同行の精神に基づき一貫した教育実践を行っている。県教委より、「子ども元気創造推進事業」のモデル校の指定(平成16〜18年度)を受け、「食育」「遊び・スポーツ」「読書」の取組みを通して心と体の健康づくりに進んで取り組む児童の育成を図っている。昨年度「特別支援教育推進体制モデル事業」の指定を受け、LD等の障害のある児童一人ひとりへの教育的支援のための校内支援体制の整備に取り組んできた。本校が取り組んできた校内支援体制について、紹介していきたい。
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 研究の実践
(1)校内体制
  本校では、平成16年度より、LD・ADHD・高機能自閉症等の児童に対する全校支援の必要性から、通常の学級における特別な配慮を必要とする児童の特性等を把握し、個々に応じた支援の在り方について協議することを目的とし、特別支援教育推進委員会を設置している。
@ 職員の共通理解  
「校内委員会等対応マニュアル」の活用
  本年度、教職員の大半が新たなメンバーになったことを受けて、5月の職員会議で、特別支援教育推進体制モデル事業の成果をまとめた「校内委員会等対応マニュアル(第二次試案)」を活用し、LD・ADHD・高機能自閉症等について、教職員での共通理解や、本校の支援体制や、配慮を要する児童への支援について共通理解を図った。
実態把握
  学級担任が、各学期に実態把握を行い、それをもとに、職員会議等で児童一人ひとりに対する適切な支援の在り方を協議し、全教職員が一貫した支援・対応ができるようにした。また、支援の在り方について、より検討が必要な場合は、特別支援教育推進委員会で支援等の協議を行った。
 
A 特別支援教育推進委員会の運営
定期的に月1回程度行う。(開催回数:9回  事例検討の件数:17件)
開催時期 内 容 と そ の 後 の 支 援 体 制
6 月 ◆第1回校内特別支援教育推進委員会  
・推進委員会の運営、個別の教育支援計画及び個別の指導計画の作成、
 通知票・期末個人懇談についての協議
・集団に加わることができない児童4名の支援体制についての事例検討   
7 月 ◆第2回校内特別支援教育推進委員会
・通常の学級に在籍する児童の事例検討
・特殊学級に在籍する児童の交流学習についての協議
8 月 ◆第3回校内特別支援教育推進委員会
・通常の学級に在籍する多動傾向のある児童の事例検討
9 月 ◆第4回校内特別支援教育推進委員会
・就学に関する児童の検討
10月 ◆第5回校内特別支援教育推進委員会
・特殊学級に在籍する児童の交流学習についての協議
11月 ◆第6回校内特別支援教育推進委員会
・配慮を必要とする児童の支援方法の検討
1 月 ◆第7回校内特別支援教育推進委員会
・平成17年度の校内支援体制の見直し
・平成18年度の校内支援体制と実態把握
2 月 ◆第8回校内特別支援教育推進委員会
・学年ケース検討会議の報告と協議
3 月 ◆第9回校内特別支援教育推進委員会
・平成18年度配慮の必要な児童の学級編成等での留意点
・特殊学級に在籍する児童の交流学習について協議
B 個別の教育支援計画の作成
  特別支援教育推進委員会で支援について協議し、それを保護者へ十分に説明し、理解、同意を得られた場合について、「個別の教育支援計画」、「個別の指導計画」の作成に取り組んだ。その際大切なことは、保護者と一緒に、長期的な視点に立った支援について、十分に共通理解しながら作成していくことである。
  本校では、一貫した支援ができるように、実践記録を「個人支援カルテ」に記載し、より適切な支援を行うための資料としている。
 
  萩市、長門市、阿武町の小・中学校の特別支援教育コーディネーターおよび特別支援教育に携わる教職員を対象に研修会を行った。今年度の研修会は主に関係機関連携協議会専門家チームのメンバーを講師に招き、各機関の取組みや、当該機関との連携の図り方について助言を受けた。また、萩養護学校の授業の様子を見てもらうため、公開研究授業日を設け実施した。
 
C 保護者への理解・啓発
  「一人ひとりの子どもを大切にする教育的支援について」の文書を家庭に配布し、保護者への理解・啓発を行った。また、学習面や行動面についての保護者からの相談や、保護者が要望すれば、専門家を交えての教育相談等も行った。
  今後は、保護者の障害に対する理解・啓発を進めながら、積極的な専門家の活用や、医療機関、相談機関等と連携した支援に結びつけていきたいと考えている。
 
 
(2)校内研修
@ 第1回研修:平成17年5月11日(水)
教師間の障害への理解を深めていくため、県教育委員会より配布された「校内委員会等対応
マニュアル」を活用し、障害や校内体制についての共通理解等を図った。
A 第2回研修:平成17年7月29日(金)
『通常学級に在籍するLD傾向が見られる児童への支援の在り方』事例検討会
   講師:臨床心理士   
  本校では、より適切な支援を検討していくために、専門家から助言が受けられる場を設定した。専門家からの具体的な助言により、教師が児童を多面的に見ていこうとする姿勢が、徐々に見受けられるようになった。
B 第3回研修:平成17年10月5日(水)
通常学級に在籍する軽度発達障害の傾向を示す児童への支援の在り方について・問題解決の論理的思考を体験するためのグループ・ワーク』
   講師:山口県立萩養護学校 特別支援教育コーディネーター 
  講師の実践をもとに、児童の行動をどのようにとらえ分析するか、どのような支援が考えられるか等をグループで検討し、その後全体で協議を行う研修を行った。その結果、担任がいろいろ視点から、児童を理解していくことにつなげていくことができた。
 
 
(3)関係機関との連携
@ 幼稚園、保育園、中学校との連携
  就学に関して、児童一人ひとりの実態をきめ細かく把握するため、幼稚園・保育所と情報交換を行うとともに、『個人カルテ』を基に、進学先の中学校へ、支援の引き継ぎを行った。
  中学校へ支援の引き継ぎが、一貫した支援につながると考えている。
A センター的機能:山口県立萩養護学校との連携
  萩養護学校が主催する特別支援教育コーディネーターの研修会に参加し、特別支援教育についての研修を深めることができた。研修会においては、各学校のコーディネーターと、校内支援体制や、具体的な指導・支援について情報交換も行うことができた。
 
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 成果と課題
  校内支援体制を整備し、巡回相談等を活用しながら校内研修会を企画・実施することで、教職員全体が、全校体制で児童を支援していこうとする意識が生まれ、教職員のLD等についての理解を深めることができた。
  今後は、日々の実践を積み重ねる中で、一人ひとりに適切な支援がどうあればよいかを、検討していきたいと考えている。また、萩養護学校のセンター的機能の活用も含め、関係機関との連携を図りながら、特別な配慮を必要とする児童の適切な支援を行っていきたい。
4 成果と課題
  本校では、特別支援教育推進委員会で検討する事例が多いため、来年度は学年でのケース検討会を充実させる校内体制を考えており、この2つをうまく機能させることで、支援方法の評価・見直し等を行えるようにしたい。また、学級内できめ細かな支援ができるように専門家を招聘し、指導方法等の研修を深めていきたいと考えている。
 今後、特別な配慮が必要な児童について、特殊学級の機能を活用した校内通級制を視野に入れた取り組みも考えていきたい。
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