我が国の伝統文化を尊重する教育に関する実践モデル事業      〔高校教育課〕

我が国の伝統文化を尊重する教育に関する実践モデル事業              −山口県立大津高等学校−

1 学校紹介2 具体的な活動内容(1)ハンガリー・プロムジカ女性合唱団交歓演奏会(2)文化祭(3)訪問演奏会(4)長門市民文化祭(5)音楽授業
3 成果と課題4 校長から見たポイント

実  践  の  ポ  イ  ン  ト
 外部人材を活用した体制づくり
 箏曲部員等の活用による音楽の授業の活性化
 学校行事における生徒の伝統文化理解の機会を充実
 地域との交流

1 学校紹介

・大津高校スクールアイデンティティ
 自ら考え、判断し、行動できる生徒の育成
・生徒数 455人
 1年   普通科3クラス、普通科英語コース1クラス
 2、3年 普通科(理系)1クラス、普通科(文系)2クラス、普通科英語コース1クラス
・教育課程の特色
 教育方針「文武両道」をさらに充実・発展させるために、平成13年度から65分5限授業を実施し「ゆとりある教育活動」を展開。少人数指導、習熟度別指導を実施。

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2 具体的な活動内容

(1)ハンガリー・プロムジカ女声合唱団交歓演奏会〜7月6日・本校体育館〜
 本校で行われたハンガリー・プロムジカ女声合唱団交歓演奏会に箏曲部も参加。
 「さくらさくら」(日本古謡)を演奏した。 これまで全校生徒の前で演奏する機会がほとんどなく、緊張と練習不足で納得のゆく演奏ではなかったかもしれないが、プロムジカの団員の方に「吹奏楽や箏曲の演奏をほとんど聞いたことがなかったので、とても嬉しかった」と言っていただき、少しではあるが日本の伝統音楽を知ってもらうことができたようである。
 本校生徒に箏曲を知ってもらいたいという思いもあったので、箏曲部にとっても貴重な発表の場となった。

(2)文化祭〜9月2日・「ルネッサながと」、9月3日・本校〜

 今年度の文化祭は、本校の体育館改修工事のため「ルネッサながと」を会場として行われた。昨年度までは、校舎内の礼法室で演奏を行っており、希望者のみが聞くという小規模のものであったが、箏曲に触れてもらう機会を増やそうと、全校生徒を対象にステージ演奏を実施した。
 本格的なステージ・音響設備での演奏となるため、夏休みは講師による指導のもと、猛練習を行った。

演奏曲
「TSUNAMI」…サザンオールスターズ 作曲/桑田佳祐
「薫る花」 作曲/衛藤幸明
「いつも何度でも」作曲/木村弓
…アニメ映画『千と千尋の神隠し』から  

少しでも箏曲に関心をもつ生徒が増えればと、演奏曲に聞き慣れた曲を入れた。
日目の校内展示においては、「琴体験コーナー」を設け、箏曲部員が支援しながら、ステージで演奏した曲などを実際に弾くことができるようにした。
 琴に興味のある生徒が多く来場し、実際の演奏を通して伝統音楽への理解を深めるよい機会となった。


(3)訪問演奏会〜9月10日・養護老人ホーム「ゆもと苑」〜

 高齢者の方々との交流を目的とした箏曲演奏を行った。
文化祭のときと同じ曲を演奏した。そのほかに、一緒に歌を歌ったり、簡単なゲームを行ったりして楽しい時間を過ごすことができた。


 なお、このたびの演奏会でも、箏曲部の活動を知ってもうために、本校生徒にボランティアでの参加を呼びかけ、協力を得たことは有意義であった。


(4)長門市民文化祭〜10月29日・「ルネッサながと」〜

 地域の伝統音楽奏者との交流を目的とし、市民文化祭へ参加した。
 小・中学生との練習、演奏では、普段一緒に練習しない人と音の調和をとることの難しさを実感したが、日ごろの練習の成果を遺憾なく発揮し、短時間の音合わせで演奏することができた。「ルネッサながと」での演奏は2度目だが、自分たちが演奏するだけでなく、他の人の練習の様子を見たり演奏を聞いたりすることで新たな発見があり、箏曲部員にとってはよい刺激となった。

演奏曲
「赤とんぼ」 作曲/山田耕筰
「ふるさと」 文部省唱歌
「いつも何度でも」 作曲/木村弓


(5)音楽授業〜11月14日・本校音楽室〜

 音楽授業の活性化を目的として、1年1組の音楽選択者15名の授業で、箏曲部の指導をお願いしている先生方に生徒の目の前で演奏していただいた。箏曲部員による「ふるさと」「赤とんぼ」の演奏、先生方の箏と尺八による「六段の調」(作曲/八橋検校)を聞いたあと、

・箏、尺八に関する質問
・楽譜を見ながら、「ふるさと」「赤とんぼ」 を演奏してみる
尺八を吹いて音を出してみる
 という内容で授業は進められた。

 「琴の音色がきれいだった」「演奏のすばらしさに感動した」といった感想や、実際に音をだしてみて「思っていたよりも難しかった」「手が動かなかった」といった感想があった。
 小中学校の授業で実際に琴を弾いたことがある生徒がほとんどだったが、興味をもって授業に臨んでいた。

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3 成果と課題

 昨年までと比べて、文化祭や授業で生徒が箏曲を聞く、琴(箏)に触れてみるといった機会は増えた。箏曲をあまり知らない生徒に、箏曲は古曲だけでなく新しい曲も演奏できるということを知ってもらえたと思うが、箏曲本来のよさを知ってもらうためには、間近で古曲の演奏を聞く機会をもっともつことができればよかった。
 また、文化祭などで演奏を聞き、箏曲に興味をもった生徒が多くいたが、実際に演奏できるようになりたいと思うまでには至らなかった。気軽に箏を弾くことや教えてもらえる環境づくり、簡単に弾けて楽しい曲の選曲など、もっと興味をもってもらうための努力が必要である。
 箏曲部員にとって、今年度は練習の成果を発表する機会が増え、練習に取り組む励みにもなり意識の向上につながった。平成18年度本県で開催される第21回国民文化祭に向けて、本校単独での参加は難しいが、日ごろの練習次第では、他の参加者に加わることも可能だということが分かった。このことも、今後の目標の一つにしたい

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4 校長から見た指導のポイント

  外部講師の確保
  教科指導との連携
  毎日の継続的な指導 

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