我が国の伝統文化を尊重する教育に関する実践モデル事業      〔高校教育課〕

我が国の伝統文化を尊重する教育に関する実践モデル事業              −山口県立山口中央高等学校−

1 学校紹介2 研究内容(1)研究の概要(2)活動内容
3 成果と課題4 校長から見た指導のポイント

実  践  の  ポ  イ  ン  ト


 課外活動のみならず、教科の授業など教育課程に位置付けた取組み。
 地域の人材(指導者)との連携による、効果的な指導体制作り。
 国民文化祭の開催後を視野に入れた文化環境作りの観点から、高等学校文化連盟日本音楽部門の活性化を通じて、伝統文化に対する理解と認識を深める機会の充実を図る。

1 学校紹介
 本校は県都山口市に位置し、創立以来118年の歴史を誇る伝統ある学校で、永年にわたり女子教育の中心校として歴史を積み重ねてきたが、平成11年度に初の男子生徒が入学し、名実ともに全日制普通科の共学校として歩み始めた。堅実・純美な校風のもと、心身ともに健康で、豊かな人間性と充実した学力をもち、かつ、たくましい実践力に富む人物を育成することを教育方針とし、道義の高揚・学力の充実・健康の増進を目標に掲げている。
 今年度のチャレンジ目標としては、(1)「夢の実現に向かって粘り強い努力を続けよう。」(2)「品位ある高校生活を送ろう。」を設定し、少人数指導・45分7限授業を導入して、きめ細かい指導と魅力ある学校作りに取り組んでいる。多彩な学校行事・ボランティア活動・活発な部活動など、生徒は意欲的に学校生活を送っている。

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2 研究内容
(1)研究の概要
 ア  和楽器の実習や専門家による演奏の鑑賞等を通じて、我が国の伝統文化に対する生徒の理解と認識を深める機会を充実するための全体計画、教科の指導計画等についての研究。
 イ  授業や課外活動を通じて、生徒が我が国の伝統文化に触れる機会を充実させるための、地域の指導者との連携による効果的な指導方法についての研究。

(2)活動内容
 ア  現在活動中の茶・華道同好会に筝曲部門を併設、茶・華道・筝曲同好会として活動する了解を得て、課外活動から先行して研究実践をスタートした。
 イ

 指導者の指導のもと、名の生徒が月はじめの文化祭における発表を目標に活動を開始。練習の甲斐あって、文化祭当日には、華道部作の生花に彩られた畳敷きの和室にて茶道部員のお手前による茶の湯を味わいながら、筝曲部員と指導者の共演による「さくら」「荒城の月」といった名曲を鑑賞する催しが開かれ、大盛況のうちに終了した。文化祭で筝の音色が響くのは、新校舎に移転して以来、何年ぶりのことであろうか

 ウ

 その後、実習指導についての計画・打ち合わせを経て、学期末から学期始めにかけて音楽Tの授業講座において、それぞれ時間ずつ、指導者を招いての筝の実習に取り組んだ。校舎階の和室から階の音楽室へ20面ほどの楽器を運び、教室いっぱいに配置。音楽室はぐっと落ち着いた雰囲気に様変わりした。調弦・爪合せ・音出しといった細かい作業を一人ひとり丁寧に個人指導していただき、終わる頃には「さくら」から「荒城の月」の演奏へと進むことができるほどに進歩した。中学校での経験の有無に拘らず、ほぼ全員の生徒が、ゆったりとした和やかな気持ちで筝に親しんでくれたようである


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3 成果と課題
(1)研究の成果
 ア  地域の指導者の援助を得て、ゆっくりと時間をかけて和楽器の実習に取り組むことができた。また、複数の指導者による授業形態をとることができたため、一人ひとりに目配りができ、指導が十分に行き届いたと思われる。生徒は和楽器に触れる楽しさを通して、伝統的な文化のもつ豊かさ・ゆったりとした時間の流れなどを感じてくれたようである。
 イ  西洋音楽とは違う音階や記譜法などに触れることで、幅広い音楽観を養う契機となったと思われる。
 ウ

 課外活動においても、長い間途絶えていた筝曲部の活動を再開させる絶好の機会となり、本県における高文連日本音楽部門の活性化の端緒となることが期待できる。

 エ  伝統文化を尊重する心(気持ち)と礼儀作法など、日本人としての自覚や、文化の継承と創造の態度を養うことができた。

(2)今後の課題
 ア  授業においては、今後も継続的に伝統的な文化に触れる機会を充実させ、より豊かな音楽観と文化的価値観を養う必要がある。
 イ  課外活動においては、活動を継続的に充実・発展させ、校内のみならず、地域での発表会や県高校総文祭への参加などを通じて、高文連日本音楽部門の活性化を図る必要がある。

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4 校長から見た指導のポイント




 我が国の伝統文化や地域に根ざす伝統文化への関心を深めながら、それらを大切にしようとする態度を育て、生活に伝統文化を生かそうとする意欲を高める。
 伝統文化の理解と尊重、その伝承は文化の創造の基底をなすものであることから、それを教育課程の中に明確に位置付けるとともに、意図的、計画的な指導の実践を積み重ねる。
 茶道・華道・日本音楽など、我が国の伝統文化にふれる機会を通して、学校及び地域社会との価値ある交流を充実させ、人間の営みと知恵に共感する。 

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