普通科でも専門学科(工業科や商業科)でもない新しい学科。最大の特徴は、自らの手で「自分だけの時間割」を作り、学習できることである。 
 生徒が学習したい科目をたくさん選択できるように工夫されており、その目安として5つの系列(科目群)がある。
 1年次の「産業社会と人間」という進路学習科目や充実したガイダンスを通じて、自分を見つめ、将来についてじっくり考えたあと、適性や進路希望にあわせて科目を選ぶ。
学力向上フロンティアハイスクールの取組み         〔高校教育課〕

進路意識の向上を図り、学習力の向上をめざす
−山口県立防府西高等学校−

 1 学校紹介  2 具体的な実践内容  3 成果と課題    ※詳しくはこちら

実 践 の ポ イ ン ト
3年間を見据えた系統的・継続的な指導の充実
学校内(分掌・教科)の協力体制の強化
高大連携の工夫
P・D・C・Aの励行

1 学校紹介

 防府西高等学校は、防府市西部の大道の地にある。平成15年度から普通科が総合学科に改編された。生徒は、校訓の「一意専心」のもと、自己の進路目標の実現をめざして、勉強に部活動に充実した高校生活を送っている。



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2 具体的な実践内容
 
科目「産業社会と人間」により進路意識の向上を図る
 科目「産業社会と人間」は、自分の生き方について考えを深める総合学科の基本科目であり、1年次に全員が履修する。本校では1年生240人を対象に、週2時間(2単位)、正・副担任を科目担当教員として実施している。

【学習の流れ】
T 自己理解
 現在までの「自分史」の作成を中心に、様々な演習(「自己理解アンケート」やゲーム等)を行い、自分の適性等を認識できるようにする。
 
U 職業理解
 講演会、職場・上級学校見学等を通して、職業への理解を深めさせる。
 
V 体験学習(インターンシップ)                 
 企業や上級学校などの知識や技術に触れることにより、働くことに対する望ましい見方・考え方や職業選択能力を育成するとともに、学習意欲の向上を図る。
 
W 体験学習発表会  
 「体験学習報告書」に基づき、発表原稿を作成して、発表会を行う。
 発表会は、クラス単位で行った後に、代表者による全体発表会というプロセスで実施する。
 クラス発表は1人当たり4分程度で行い、発表後に他の生徒による評価を行う。このときの生徒の自己評価及び相互評価に基づいてクラスの代表者を決定し、全体発表会を実施する。
 
X 将来を見据えた科目選択ガイダンス
 将来の進路実現に向けて有意義な科目選択が行えるように、ガイダンス・カウンセリング担当教員を配置し、担任と連携をとって指導にあたる。
 また、「科目選択ガイドブック」に基づく科目の説明や、各種ワークシート(選択シュミレーション等)を利用して、きめ細かな指導を行う。
 
Y ライフプラン作成
 1年間の学習に基づいて、各自のライフプランを作成する。
 「ライフプラン発表会」を視野に入れ、効果的な発表ができるように、事前にプレゼンテーション指導も実施する。

「産業社会と人間」との連携を図る「未来プラニング」の効果的な指導法を考える

 未来プラニングとは
 「未来プラニング」とは、本校の「総合的な学習の時間」の名称である。
 「総合的な学習の時間」の設置趣旨を生かし、1年次に学習する科目「産業社会と人間」と2年次(2単位)、3年次(1単位)に実施する総合的な学習の時間「未来プラニング」との連携を図り、3年間にわたり、長期的・継続的な進路指導が実施できるシステムの構築をめざした。
 本校では、この「未来プラニング」を実施する中で、問題解決能力及び自己表現能力も含めた、総合的な「学習力」の向上をめざし、実践を重ねている。

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3 成果と課題

 成果として
平成15年度末に実施した「産業社会と人間」に関するアンケートによると、「職場体験(インターンシップ)は、自分の進路を考える上で役に立ちましたか?」という質問については85%の生徒が、「産業社会と人間の学習を通して、将来の職業について具体的なイメージがもてましたか?」という質問については82%の生徒が、それぞれ肯定的な回答をしている。生徒のワークシート等の感想からも、段階的に進めてきた「産業社会と人間」の指導目標は、ほぼ達成できていると思われる。
生徒間で多少の温度差はあるが、次の3点について、当初の予測を超えた成果を挙げることができた。
   ○進路意識の向上   ○問題解決能力の養成   ○ 自己表現能力の育成

 課題として
「産業社会と人間」についての満足度は60%という結果もでていることから、より効果的な指導方法の工夫に努める必要がある。
「産業社会と人間」との連携を図った「未来プラニング」の実施により、生徒個々の進路意識の向上は図られたが、進路目標を達成するための学力の向上は全体的には顕在化していない。引き続き、この部分の指導に重点を置いていく必要がある。

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