学力向上フロンティアハイスクールの取組み            〔高校教育課〕

生徒一人ひとりの理解や習熟の程度に応じた指導を工夫する
−山口県立奈古高等学校須佐分校− 

 1 学校紹介  2 具体的な実践内容  3 成果と課題    ※詳しくはこちら  

実  践  の  ポ  イ  ン  ト
基礎学力の向上をどう図るか
基礎学力不足による学習の遅れをどのように補完するか

1 学校紹介
所在地 :山口県萩市大字須佐5200-4
課程   :全日制普通科
学年定員:20名(平成17年度全校生徒56名)
教職員 :22名(非常勤講師を含む)
通学区域:旧萩市内が中心
部活動 :全員加入制
教育課程:単位制導入(平成14年度から)
校訓碑「孝」
 
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2 具体的な実践内容
 
 全校一斉の「基礎学習」
 全校生徒による放課後の基礎学習(20分間)を実施し、基礎学力の向上を図るとともに、資格取得の奨励を行う。

【主な取組み】
1 年度ごとに基礎学習の指導方法を立案、実行し、年度末に点検、改良する
 平成14年度から開始した基礎学習の内容及び方法については、前年度の反省を踏まえ、毎年改良を加えている。

[平成17年度の指導方法]
 数学・英語・国語及び資格取得・進学課外については、前年度までと同様、各教科担当が問題を作成した。講義・演習・採点等は全教員で担当した。主な科目の実施状況は、以下のとおりである。

◆数学:基礎クラスでは、20分間のうち15分間はプリントを用いての講義及び演習を行い、残りの5分間で小テストを実施した。講義の後に小テストを実施することにより、計算問題については昨年度に比べ定着率は向上したが、出題数が多く、生徒によっては時間が足りないこともあった。
◆英語:基礎コースでは、中学校で学習する基礎的な単語の学習を行った。毎時間、設問の3割は前時の演習問題から出題し、学習内容の定着を図った。また、検定コースでは、各自が受験する級の問題集に取り組ませ、家庭でも学習できるように課題を準備した。 

2 卒業までに修得させる単位として「技能審査による単位認定」を導入し、学習意欲の向上を図る
 基礎学習の時間に実施している資格取得のための学習の動機付けの一つとして、山口県の公立高等学校では初めてとなる卒業までに修得させる単位として「技能審査による単位認定」を導入した。導入のねらいは、以下のとおりである。
 ○生徒の学習意欲を高め、優れている能力を一層伸ばす。 
 ○資格取得により、進路選択の幅を広げる。
 ○関連する科目の授業内容をより深く理解させ、成績を向上させる。

3 アンケートを通じて、基礎学習に対する生徒の意識を把握する                 
 基礎学習に対する生徒の評価は、以下のとおりである。
◆自己評価
 ・学力は向上した ・・・ 75%
 ・学力は変わっていない ・・・ 25%
◆感想(平成15〜17年度抜粋)
 ・基礎学習をすることで、今まで分からなかった問題が分かるようになった。
 ・計算事務のそろばんの効果もあって、計算力が上がったと思う。
 ・計算が速くなった。授業で難しい問題も解けるようになったのは、基礎学習で鍛えられたからだと思う。
 ・苦手な部分がまだ残っていて、それを克服できていないのが残念である。

 数学・英語におけるティーム・ティーチングや習熟度別授業
 英語及び数学において、新入生へのTTや、2学年までの習熟度別授業を実践する

【主な取組み】
1  1・2年次で発展性を持たせた習熟度別授業を導入し、教育課程を編成する
 本校では、平成14年度から単位制を導入し、教育課程を改編し、それまで一斉授業を行ってきた数学と英語において、1年次から習熟度別授業を導入することとした。
 また、1・2年次の科目を連動させ、1年次に選択履修した科目により、2年次の履修科目が自動的に決まる方法を導入した。この方法により、前年度と次年度の学習内容に関連をもたせることが可能となった。

2 1学期中間考査までTTを導入し、既習内容の復習と高校の学習内容への連結を図る
 習熟度クラスを編制する場合、従来は、本人の希望を考慮の上、学力検査等の関係科目の点数等を参考にして編成を行っていたが、所属クラスの授業についていけない生徒も出ていたため、指導方法を見直す必要が生じた。
 そこで、平成17年度は、従来の編制方法によりクラスを決定した後、1年次の1学期中間考査まではクラスを分離せず、2名の授業者によるTTにより、中学校までの学習内容の復習を徹底的に行った。このことにより、各科目とも、高校段階の学習内容にスムーズに連結させることが可能となった。

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3 成果と課題

 基礎学習の実施における成果と課題
放課後に実施するため、生徒がまじめに取り組まないのではないかという不安もあったが、実際には前向きに取り組む生徒が非常に多く、日々の学習態度にも良い影響があった。
習熟度に応じた学習活動を行うことで、生徒一人ひとりの学習目標が明確となった。
年度当初と年度末の到達度確認テストの結果を比較すると、わずかではあるが学力の伸長がみられた。
全教員の協力体制が整い、到達目標の達成に向け、きめ細かな指導を行うことができた。
放課後の時間が過密となり、他の活動に支障を来す場合がある。

 TT及び習熟度別授業の実施における成果と課題
1学期中間考査までTTを実施することにより、中学校における学習内容の定着を図ることができた。
習熟度に合わせた授業を実施することにより、生徒が「わかる喜び」を体感できた。
理解度に応じた授業展開によって数学に対する苦手意識の克服に成功し、検定に合格した者も出た。
習熟度別授業をより効果的に展開できるように、適切なクラス編制方法を検討する必要がある。

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 校長からみた指導のポイント
基礎学力不足による成績不振者を出さない。
日々の授業に生き生きと取り組む生徒を育成する。
自分自身の将来の目標を明確にし、進路希望を実現する

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