目指せスペシャリスト 〔高校教育課〕 |
水質浄化やクリーンエネルギーの活用を通して、 環境に関する専門知識を有する工業技術者の育成
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1 学校の紹介/2 具体的な活動内容/3 成果と課題 |
実 践 の ポ イ ン ト |
硝化バクテリアを活用したコンクリート壁の河川の水質改善の技術開発
追尾式太陽光発電システムの技術開image発
サボニウス型風車による発電システムの技術開発
技術開発を通して特許出願等を含めた工業所有権の学習
産官学の連携による研究の推進域と連携した活動と協力体制の重視 |
本校は大正10年に創立され、校訓
「誠と熱」を柱とする教育を推進し、
20,000余名の卒業生が社会の各方面で
活躍している
・ 平和な社会の形成者として必要な資
質の向上
・ 勤労と責任を重んじ、創造性に富む
工業人の養成
・ 誠実で自主性に富む明朗健康な人間
の育成を目標に、全日制が、機械科、
電子機械科、電気科、化学工業科の4
学科、定時制が、機械科の1学科を有
する専門高校である。
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(1)組織
目指せスペシャリスト推進委員会
研究開発にかかわる計画・企画等を策定する。
研究推進グループ (ア)装置製作グループ
機械科を中心にサボニウス型風車や構造物の製作に取り組む。 (イ)太陽光発電研究グループ
電子機械科を中心に太陽電池パネルによる発電装置製作に取り組む。 (ウ)風力発電研究グループ
電気科を中心に各発電装置の製作に取り組む。 (エ)水質浄化研究グループ
化学工業科を中心に校内の実験池や地域河川の水質浄化に取り組む。
運営指導委員会
産官学界の専門知識を有する方で構成し、研究開発に向けた指導・助言を行う。
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(2)活動状況
各学科の生徒によるスペシャリストチームを編成し、活動を続けている。 |
○装置製作グループ(機械科)
(ア)環境・エネルギーに関する意識の向上
(イ)サボニウス型風車の構造・特徴の理解
(ケント紙で風車を製作し、構造等を理解した。)
(ウ)アルミ模型の製作
(アルミ板を用いて模型を製作した。)
(エ)ステンレス製1号機の製作と設置
(理論計算を行い、1号機を製作した。)
(オ)ステンレス製2号機の製作と設置
(1号機と比較するため、同じ受風面積でブレードの形状を変えたものを製作し
た。)
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(サボニウス型風車1号機) |
(サボニウス型風車2号機) |
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(太陽光電池パネルの設置) |
(太陽光発電システム) |
○太陽光発電研究グループ(電子機械科)
太陽電池パネルによる発電装置の製作に取り組んでいる。
(ア)太陽の軌道測定
(イ)太陽追尾式太陽光発電簡易模型の製作
(ウ)太陽追尾式システム装置及び固定式システムの製作
自動追尾装置を製作し、固定式架台を中庭に設置した。
(エ)外部電力との併用を行うハイブリッドシステムの製作
ディープサイクル蓄電池と商用電源切替器及び自動計測用コンピュータによ
りハイブリッドシステムを構築した。
(オ)Webカメラによる動作状況の監視システムの構築
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(a)9:55の様子 |
(b)11:25の様子 |
(c)13:24の様子 |
(2005年8月12日の自動追尾装置の様子)
○風力発電研究グループ(電気科)
サボニウス型風車による風力発電装置の製作に取り組んでいる。
(ア)年間の気象条件の測定
風向、風速、温度、湿度、雨量、気圧、日射を観測でき、データロガー(メ
モリー)に接続して、気象データの蓄積、分析、グラフ表示が可能になった。
(イ)サボニウス型風車模型による発電状況の研究
サボニウス型風力発電機を製作し、発電実験を試みた。また、比較の意味で
クロスフロー型発電機も3台製作した。
(ウ)実験池への電源工事、配電・制御盤の製作
(エ)各測定システムの研究
(オ)ステンレス製1号機による発電の研究及び発電状況の測定
サボニウス型風車の発電機は3相交流なので、三相ダイオードブリッジを接 続し直流にした。
負荷には20(Ω)抵抗器を接続し、データロガーで直流電圧と電流センサ
ーを使用して直流電流と負荷の電力を計測した。
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(発電電圧・電流の測定) |
(サボニウス型風車発電機配線) |
○水質浄化研究グループ(化学工業科)
硝化バクテリアや高分子濾過剤、高濃度酸素水製造装置による実験池や地域河川の水
質分析、水質浄化に取り組んでいる。
(ア)実験池の水質測定と地域河川の調査研究
実験河川として、近隣の塩田川を調査研究した。
(イ)実験池に硝化バクテリアや、高濃度酸素水製造装置を設置
(ウ)地域河川に水質浄化セラミックスを設置
(エ)高専において分析方法や分析機器の学習
(オ)実験池や実験河川の水質測定と浄化システムの検証
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(高濃度酸素水製造装置の設置) |
(CODの測定) |
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環境をキーワードに身近なテーマを選んだことで、生徒が自らの手で装置を製作し、システムを考え、水質浄化に取り組むことができた。また、クリーンエネルギーの実用性や水質浄化システムの有効性を検証していく過程で、新たなクリーンエネルギーへの興味・関心や新たな浄化システムの開発に生徒の考えが出てきて、生徒の環境やエネルギーに関する意識や専門的な知識・技術の向上を感じている。
今後、各システムの改善を図りながら、小・中学生を対象とした生徒による環境・エネルギー学習を実施して、地域の環境保全への意識を高めていきたい。また、環境に関する専門知識を生かし地域に密着した工業高校をめざしていくことが、子どもたちの工業技術者としての意識の向上につながると考えている。 |
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