特別支援教育体制推進事業                                    〔特別支援教育推進室〕

○「特別支援教育体制推進事業」の実践
                          −
周南市立鹿野中学校−

1 学校紹介
2 研究の実践3 成果と課題4 今後の計画・展望

 

実  践  の  ポ  イ  ン  ト

 校内支援体制の整備 
 養護学校のセンター的機能の活用 

 

1 学校の紹介

 

 鹿野中学校は、全校生徒99名(平成18年3月現在)、学級数5学級(うち通常の学級4学級、情緒障害特殊学級1学級)の小規模校である。校区は山口県の北東部に位置し、中央部を錦川の清流が流れ、オヤニラミ、カジカガエルなどの貴重種が生息する、中国山地に囲まれた自然豊かな環境にある。都市部から離れており、過疎化の波が押し寄せているが、地域の人々の教育に対する期待と関心は高く、PTA活動をはじめ、学校教育に大変協力的である。

平成15年度に国立教育施策研究所の教育課程の研究指定を受け、個に応じた指導の在り方とその効果について研究を進めてきた。また、平成16年度には情緒障害特殊学級が新設され、研修部を中心に特殊教育から特別支援教育への転換をめざし、校内支援体制の整備に取り組んでいる。




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2 研究の実践

(1) 特別支援教育の校内体制の整備

校内支援体制の整備の中心として、校長、教頭、教務主任、生徒指導主任、学年主任、特殊学級担任を委員とした特別支援教育推進委員会を設置し、就学指導委員会等とも連携を図りながら特別支援教育を推進している。

また、研修部に特別支援教育研究部を位置付け、年間計画に従い計画的に研修を進めている。

(2)  特別支援教育コーディネーターの指名

特別支援教育推進の中心として、教頭を特別支援教育コーディネーターに指名し、特殊学級担任と協力しながら、校内研修会への講師招聘、保護者の理解・啓発、校内研修の計画・実施を行っている。

校内特別支援教育コーディネーターは、保護者や関係機関との連絡・調整、また、特殊学級担任のアドバイザー役として活動している。




(3) 特別支援教育研究部による校内研修の推進

昨年度当初、特殊学級が新設されが、これまでは周辺各校に比べ、教職員の特別支援教育に対する関心が決して高いとは言えなかった。特殊学級担任も初めての担当であり、また、特殊学級の授業をした経験のある教員も校内に2〜3名しかいないという状況でのスタートであった。

そこで、まず特別支援教育についての基礎的な知識や正しい認識をもつことを目的とした校内研修会を行った。また、WISC−V等の諸検査、保護者との教育相談についての研修や事例検討会を実施し、教職員の特別支援教育についての理解を深めていくようにした。


(4)
養護学校のセンター的機能の活用

 
本市は市内に二つの養護学校があり、いずれも小・中学校に対して積極的に支援・協力を行う体制ができており、そのセンター的機能を、十分に活用できる大変恵まれた状況にある。
  本校では、5月30日、6月14日、12月6日の3回、徳山養護学校より延べ7名の指導者を招き、LD等に関する研修会や実際の場面や具体的な課題についての事例検討会を行った。

 

 ア  LD等に関する研修会

   主な内容は以下のとおりである。

      @  LD等の定義

    A  教室で見られる具体的な状況

 B  LD等の生徒の思い

 C  具体的な支援

 D  全校体制による支援

 E  校内と外部機関との連携

   これらについて、具体的な事例に基づく指導・助言を受けることができたため、学校での支援 や指導に関する実践的な研修をすることができた。

 イ  事例検討会

   以下のことを主な内容とし「困り感とその背景から考える」というテーマで、生徒理解や支援・指導の在り方について検討した。

   @  LD等の障害の特性を理解する。

   A  行動の観察の方法を理解する。

   B  本人の状態像を明確にしていく。  下図を参照

     (得意・不得意、願い、困り感、問題行動、発達段階などから)

     C  発達検査から認知特性を分析する。(支援の在り方の検討のため)

     D  具体的な支援の在り方を検討する。
    E  周囲の支援の在り方を検討する。(学年、クラス、学校、周りの生徒との関係)

  上図のような流れで、具体的に状況を整理していく中で、どのような支援が必要なのか、ま  た、支援の見直しについて考えることができ、実践に基づいた研修となった。

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3 成果と課題

(1) 成 果

□教職員の特別支援教育やLD等についての理解の深まりや関心の高まりが見られ、教職員間でいつでも必要に応じて生徒についての情報交換が行われるようになった。

□校内特別支援教育コーディネーターを中心にした校内支援体制が着実に整備されつつある。

□養護学校との連携により、一般的な知識を深める研修だけでなく、具体的な事例をとおして、問題となる行動への対応の仕方、日々の授業における課題提示の仕方や作業の組立て方等について実践的な研修をすることができた。

(2) 課 題

□校内特別支援教育コーディネーターが十分に機能するためには、担当者の校務分掌や授業時数に配慮する必要がある。

□通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする生徒への対応について、今後も研修が必要となる。

 □実際の支援にあたっては、生徒本人のプライバシーや人権に配慮し、保護者の理解を得ながら、特別な教 育的支援を進めていく必要がある。

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4 実践に当たってのポイント

(1) 担当者として

□特別支援教育コーディネーターには外部や内部の人間との連絡調整能力が求められるので、担当者自身が各種研修会に積極的に参加し、コーディネーターとしての資質や能力の向上に努めると同時に、コーディネーターをサポートする校内体制づくりも必要となる。

□校内研修会のような全体の場だけではなく、職員朝礼の時間を利用した連絡、休憩時間や放課後の時間を利用した情報交換など、日常的に特別支援教育を推進していく学校の体制づくりを進めていく必要がある。

(2) 校長として

□特別支援教育コーディネーターがその機能を十分に発揮できるように、校務分掌や授業時間数などに配慮し、コーディネーターが十分に機能するような体制づくりに努める必要がある。

□養護学校を含め、関係機関との連携や協力体制を一層強化していくように努める必要がある。

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