情報モラル等指導サポート事業                〔高校教育課〕

リーフレットを活用した情報モラル教育                    
−山口県立下関工業高等学校−

1 学校紹介2 具体的な活動内容(1)リーフレット配布
(2)情報モラル指導内容の分類(3)実践授業
3 成果と課題(1)成果(2) 今後の課題4 校長から見た指導のポイント

実  践  の  ポ  イ  ン  ト
 リーフレットの配布で事件や犯罪に巻き込まれることを未然に防ぐ。
 身近な事件や事例でなぜそうなったのかを考える。
 情報技術が人の心や生活、市場や法律に影響を与える過程を理解することで、情報化社会を構造的に捉える能力や未来構想力を養う。

1 学校紹介
 本校は昭和14年開校以降以来、60年以上の伝統をもち、1万6千名を超える卒業生が各界で活躍している。学校は北九州工業地帯が目の前に広がり、関門航路の船が行き来する響灘に臨む風光明媚な地にあり、古くから優れた工業技術者を世の中に送り出してきた。
 現在、機械科・材料技術科・電気科・電子科の4科があり、常に最新の技術を教えるべく技術者教育に取り組んでいる。情報モラル教育や産業財産権教育の分野では文部科学省や経済産業省の研究指定を受けている。特に情報モラル教育については平成12年度から取り組んでいる。また、スポーツも盛んで毎年多数の運動部が中国大会、全国大会で活躍している。

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2 具体的な活動内容
(1)リーフレット「SEKIKOいいねっと!ニュース」配布(年間発行号数83号、総発行号数168号)
 リーフレット「SEKIKOいいねっと!ニュース」を、定期的に朝のショートホームルームの時に全校生徒に配布する。その際に必要に応じてショートコメントを付け加える。
リーフレットは分かりやすいように内容の提示の順番を考慮している。
 高校生に関連する事件が起きれば間髪を入れずにリーフレットで情報を流し注意を喚起する。そして、新しいICTについて解説し、それが社会をどのように変えてゆくか考えさせる。

(2)情報モラル指導内容の分類

情報収集における課題 1.1 適切な手続きによる情報の収集
1.2 著作権などの尊重
1.3 情報の信頼性についての意識
情報発信における課題 2.1  プライバシーの保護
2.2 著作権などの尊重
2.3  情報発信に伴う責任
コミュニケーションにおける課題 3.1  エチケット(ネチケット)
3.2  相手への配慮
情報通信ネットワーク利用における課題 4.1  ガイドラインの遵守
4.2  セキュリティへの配慮
制作活動における課題 5.1  著作権などの尊重 
未知の相手からの情報や出所不明の情報に 対する対応
コンピュータ犯罪に巻き込まれないための 対応
8 その他

(3)実践授業

授業 実施日 教科・科目等 指導学年
第1回 「インターネットの情報発信と権利の侵害」 平成17年
9月26日(月)

工業
情報技術基礎

1年
電子科
第2回

「インターネット上の有害情報」・・・ 違法じゃないけど有害なもの

10月5日(水) LHR 1年
電子科
電気科
第3回 同上 10月5日(水) LHR

1年
機械科
A・B組

第4回

「物と情報は違うぞ」
・・
ソフトは買ったのになぜ自由に使えないのか

11月21日(月) 工業
情報技術基礎

1年
電子科


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3 成果と課題
(1)成果
ア 実践授業をWebで公開

 本校の取組みは授業の様子が撮影され、平成17年度情報モラル等指導サポート事業の授業実践例として文部科学省のホームページで公開されている。

イ 授業用リーフレット「SEKIKOいいねっと!ニュース」作成(117ページ)

 実践研究で配布したリーフレットをまとめて情報モラルの授業用テキストを作成した。本テキストは高校生として必要な情報モラルの基礎知識の主要部分をカバーしており、一読すれば現在問題となっている大半の事項が把握できる。情報モラル教育の関連分野は広く、すべてを学ぼうとすると何冊もの文献を読む必要がある。一方、一般論に終始すると内容が漠然として興味が持てる内容にならない。テキスト一冊で情報化の進展によって現実に何が起きようとしているのかを具体的にイメージできるように工夫してある。

ウ リーフレットは総合的な学習の時間でも活用可能
 各リーフレットの内容は独立しており、1枚は総合的な学習の時間の1時間分の授業にも活用できる。
エ 授業用パワーポイント教材作成
 誰でもすぐに情報モラルの授業ができるように主要テーマ別に作成した。
オ 授業指導案及び授業シナリオ作成
 指導案にとどまらず授業のシナリオまで作成した。
カ SEKIKO情報モラル教育推進Board」をアップロード
 本校のホームページに情報モラル教育のこれまでの取組みや特徴を掲載している。
キ SEKIKOいいねっと!ニュース」を校内LANにアップロード

 校内LANでいつでもどこからでも閲覧可能にした。

ク メーリングリスト開設 
 メールで「SEKIKOいいねっと!ニュース」を配信している。

(2)今後の課題
ア 授業との併用による効果的指導

 情報モラルの授業をリーフレットの配布によってすべて代替することはできない。
 なぜならば、興味や関心がなく読まない生徒には効果が上がらないからである。情報モラル教育は全員が受けなければならないという前提で考えると、読むか読まないか任意のリーフレットの配布のみではなく授業を行う必要がある。

イ ショートホームルームの1〜2分の効果的な使い方

 情報モラル教育の内容で授業を使って日常的に教えなければならないことはそれほど多くない。
 事件や犯罪に巻き込まれないためだけの注意であれば、ショートホームルームでのショートコメントが最も効果的でありかつ時間の節約になる。的を射たショートコメントは効果を倍増させる。

ウ 継続した配布と意図した全体構成

 単発のお知らせにならないように常に全体としての意図やバランスを意識した継続的な指導が必要である。

エ 「形の整っていない問題」を解決する力の養成

 情報モラルをひとつの切り口として情報化社会を構造的に捉えようとすることが大きな目的である。このような「形の整っていない問題」を解決する力をいかにして養成するかが最大の課題である。

オ 保護者との連携

 今後の情報モラル教育は保護者との連携・協力が不可欠なため、生徒と同様に保護者を対象とした事業が必要である。

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4 校長から見た指導のポイント



 本校の取組みにより生徒の情報モラルに対する意識が格段に高揚した。
 生徒だけでなく教職員の情報モラル教育に関する知識と理解が進んだ。
 今後は、保護者や他の教育機関にこの取組みによる成果を伝え、情報モラル教育の具体的手法が広く県内に広まるように努める。

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