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在籍学級から国際教室へ通級する外国人児童の日本語指導を個別に行う。無理のないプログラムを各児童に応じて作成し、必要に応じて母語が理解できる指導協力者が指導する。
ア 初期指導:学校生活に適応できるような語彙文型指導を行う。また、表記・音読学習も平行して指導する。 イ 中期指導: 教科学習の基礎になる語彙・文法の指導を行う。生活言語から学習言語(主に国語指導)の指導への移行期に入り、音読・読解・表現指導を行う。 ウ 後期指導: 教科指導の支援をし、在籍学級への 適応をめざす。 |
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A 入り込み指導 | |||||||||||||
主に授業中における外国人児童の学習の様子を観察し、学習内容の理解度を適宜評価しながら支援を行う。例えば、学習中の発問や指示の内容を伝えたり、「遠洋漁業」などの難解な学習言語を「大事な言葉」として詳しく説明したりする。また教材文を文節ごとに区切って表記したり、漢字に読み仮名を書くなどの支援をする。その際、必要に応じて母語を用いる。この入り込み指導で、児童の授業中の様子や理解の程度等を把握し、取り出し指導の時間に生かす。 |
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B 関連教材の開発 | |||||||||||||
教科の学習において、外国人児童の母国に関連した教材を少しずつ集めている。外国人児童は、長期にわたって母国を離れていることが多いため、母国について十分理解しているとはいえない場合もある。したがって、日本において自分自身の国について調べ、学習していくことは、自己同一性の確立にもつながると思われる。教科の学習の目的を達成しながら、さらに母国の理解を深めるための教材としてそれらを蓄積していき、今後来日してくる子どもたちのためにも役立てたいと考えている。内容は、読み物教材が主であり、母語で書かれたものもあれば、日本語で書かれたものもある。また、母語・日本語の両方の言語で書かれたものもある。 | |||||||||||||
(3)母語による教育相談 | |||||||||||||
外国人児童は言語、文化の違いから、学習や友達のことなど学校生活全般にわたって心配や不安をもっている。また、会話が困難なことで誤解やトラブルが生じることも少なくない。そこで外国人児童との教育相談を、指導協力者を交えて、母語によって行うことにより、心がほぐれ安定した気持ちで学校生活を送れるようになる。また、外国人児童だけでなく、その保護者に対しても教育相談を行うこともある。学校への編入学手続きから始まり、子どもの学校生活への適応、学習面の内容等、保護者にとっては、分からないことが多い。外国語である日本語ではうまく伝えられない悩みごとを、指導協力者と母語で話すことにより、スムーズに理解し合うことができ、保護者と学校間の信頼関係を結ぶことができる。
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(4)交流の場の設定 | |||||||||||||
@ 国際教室交流会 | |||||||||||||
外国人児童が集う時間として、月1回火曜日2校時に「国際教室交流会」を設けている。日本や世界の文化にふれる活動をしながら、日頃、別々に過ごしている外国人児童たちに、お互いの仲間意識をもたせたいというねらいがある。また、この場は自由に母語が使える場でもあり、心理的に安定できる時間にもなっている。 | |||||||||||||
A 国際交流会・国際広場 | |||||||||||||
外国人児童と日本人児童が交流する場として、学期に1回「国際交流会」を設けている。日本人児童がそれぞれの学年で取り組んでいる学習内容を発表したり、外国人児童たちが、母国のことについて学習したことを発表したりしながら、相互の文化を尊重し合う意識を育てる場になっている。また、外国人児童が母国のことについて学んだことを広める場としてもう一つ「国際広場」を設けている。昼休みを使い、母国の民話を人形劇にしたり、母国の遊びを紹介したりする。日本人児童にとっては、外国の文化にふれるよい機会であり、また身近にいる外国人の友達のことを理解し、より一層の親しみをもつことができる場になっている。 | |||||||||||||
(5)対訳集・語彙集及び学校からの配布物の翻訳 | |||||||||||||
@ 対訳集 | |||||||||||||
来日間もない児童は、日本語が全く理解できない。その不便さや、不安感、ストレスは相当なものである。そこで、「トイレはどこですか」「おなかがいたいです」「机」「黒板」等、意志の表現や、教室にあるものなどについて、指導協力者の力を借りて母語と日本語を対訳したものを作成した。これを使うことにより、児童の意志表示の手助けになったり学校の様子を知る手がかりになる。まずは、今後最も多くの在籍が考えられる中国人の児童向けのものを作成した。 | |||||||||||||
A 語彙集 | |||||||||||||
学習中、教材等に使われている語句の中で、意味をとらえにくいものについて、指導協力者に母語で説明を受けた。それらをまとめて、日本語と母語を対比させた語彙集を作成し、在籍している児童はもちろんのこと、今後編入してくる児童が学習する際に役立つよう、50音順に作成し、辞書的に活用できるようにした。 | |||||||||||||
B 学校等からの案内文書の翻訳集 | |||||||||||||
例年学校から家庭へ、定期的に様々な案内文書を配布する。それらについての翻訳版を作成した。多様な国籍の児童の家庭に対応するため、ほとんどの外国人児童の保護者の第2言語である英語で作成した。それらは少しの修正で毎年使用できるようにしている。 | |||||||||||||
(6)全校体制での支援 | |||||||||||||
国際教育部員と在籍学級担任で構成する、国際教育推進委員会を設け、学期に数回の会議を開いている。国際教室、在籍学級、それぞれの場での児童の様子について情報を交換し合い、その後の指導に生かしている。また、国際交流会や国際広場等の企画運営についても話し合い、連携して国際理解教育にあたっている。 | |||||||||||||
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3 成果と課題 | |||||||||||||
(1)現在、在籍している外国人児童は、いずれも来日して1年半以上たっており、日本語もかなり上達してきた。それに伴い日本語指導の内容も、全員が後期指導段階に入っており、コミュニケーション能力の向上は著しい。しかし、外国人児童は、生活言語の習得は早くても、学習言語の習得が困難なことも事実である。在籍学級での学習の準備として、教科書等に出てくる難解な語句や表現について母語を用いてあらかじめ説明を受けることによって、より学習の理解も深まった。 (2)外国人児童は、母国の文化に対する認識が十分成熟した状況で来日しているとはいえない。そこで、指導協力者に母国の話を聞くことで理解を深め、また、日本とのつながりを考えることができた。また、母語で学習したことを日本人の友達に伝えるために日本語に訳したり、反対に日本語を母語に訳したりする活動を通して両方の言葉の力を高めていくことができた。 (3)指導協力者との学習の時間は、安心して母語を自由に話せる場である。日本に滞在する期間が長くなると、とかく母語を忘れてしまいがちだが、指導協力者と会話することで母語を使う時間ができ、母語保持という観点からも、大変有意義であった。 (4)指導協力者の協力により、対訳集や語彙集、案内文書の翻訳版を作成することができた。これらは、今後来日してくる児童たちのためにも役立つものであり、継続して活用できるものを作成できたことは、大変有意義であった。
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◎ 校長からみた指導のポイント | |||||||||||||
○ 研究指定校の期間終了とともに、母語支援者の定期的な支援は困難になるが、今回の蓄積を生かし、今後とも、来日する子どもたちのために、たゆまぬ努力を続け、全校の児童が国際社会の中で、心豊かに生きていけるよう、取組みをより充実させたい。 |
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