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@ 児童のきめ細かな学習支援の充実 全校児童の実態から、個別支援を必要とする児童及びTTなどの支援を必要とする学級を検討し、効果的な支援の在り方とその効果について研究する。また、より学習効果を上げるために必要不可欠な、担任と支援員との打ち合わせや情報交換の時間のもち方をどのように設定したらよいか考える。 A 人材活用のための方策 地域人材確保に向けての関係機関との連携及び本校独自の事業「スクールボランティア」の有効活用及び人材育成について研究する。 (2)実施方法
(3)研究経過 本校では、平成16年度・17年度の2年間にわたって本事業の指定を受けた。基本的に、支援員は通常授業の中で支援を必要とする児童にかかわってもらうという形態をとったため、担任と支援員との打ち合わせ及び情報交換の時間を重要視し、支援員と児童との信頼関係づくりにも十分配慮した。また、学級担任は支援員の思いをできるだけ聞き入れながら授業づくりを行うことで、学習効果を上げられるよう努めた。全体的な相談窓口は、教務主任が担当した。 初年度開始そうそう、児童たちは支援員が来るのを楽しみにするという、よい関係がすぐにでき上がっていった。一方で、開始1〜2週間が過ぎた頃、支援員から「どの程度まで児童にかかわっていいのか迷うことがある」とか「毎日来ないため、自分たちがいない時にどんな指導がなされているか分からなくて困る時がある」などの悩み相談を受けた。そこで、できるだけ担任と支援員の思いを言い合える体制づくりやその時間確保に努めた結果、学習効果は表れてきた。 また、人材活用については、授業の中でのきめ細かな支援という形態でかかわっていただくことと、午前中という時間帯を設定したことにより、教員免許を持っている地域人材が必要になった。1名は、本校の「スクールボランティア」として登録されている方で適任者がおられ、協力を得ることができた。このことは、その後の本校の教育活動理解の一助にもなっていった。 初年度は、支援していただく教科が、本校の少人数指導の教科と重なる計画で始めたことで、時間や日程調整にも苦労し、支援員に迷惑をかけることが幾度かあった。だが、2年次になると事業も軌道に乗り、また2名の方は継続していただくことができたことで、順調にスタートをきることができた。 TOPへ戻る
○ 平成16年度 *3名の支援員が、同一日に来校する。 ・ TTでの支援を基本とした授業<2校時〜4校時(9:30〜12:10)> 授業中、支援を必要とする児童にかかわって担任の援助をする。(各教室) 2学期半ばから児童1名は、国語のみ学力に応じたワークシートを中心に個別指導を行う。(空き教室) 3学期から、別の児童2名の国語と算数を、支援員1名ずつが理解度に応じたワークシートと具体物を組み合わせて個別指導を行う。(空き教室) ・ 打ち合わせ<業間時間(10:15〜10:35)> その日の授業の進め方や配慮児童についての情報交換などを限られた時間内で行う。 ・ 実施記録記入<12:10〜12:25> その日にかかわった児童の授業中の状況や理解度について、また支援の在り方について振り返り、記録したり全体的な感想を書いたりする。 ○ 平成17年度 *3名の支援員が、担当する学年の日課に合わせて来校する。 ・ 個別指導及びTTでの授業<1校時〜4校時(8:40〜12:10)> 児童1名の国語と算数を、理解度に応じたワークシートと具体物などを組み合わせながら、個別指導を行う。(空き教室)前年度後半から実施し始めたため、1年目の対応に対する保護者の思いや要望も十分取り入れながら、2年目を実施するように努めた。
・ 打ち合わせ<業間時間(10:15〜10:35)及び放課後学期2〜3回> 業間時間に加えて、放課後にも打ち合わせの時間を設定し、学級担任がゆとりをもって情報交換できる機会を設けた。
(2)学習支援以外の取組み
(3)実施体制の工夫 @ 支援員と担任・教職員との連携方策の工夫 全体的な調整・連携など教務主任が窓口となり、状況や必要に応じて、関係担任との調整・連携を図った。年度始めは、関係担任・支援員・教務主任で事前打ち合わせ会を行い、学期始めには、支援者と教務主任との打ち合わせ会を行った。関係担任と支援員との児童の学習状況に関する情報交換及び打ち合わせの時間がなかなか確保できず苦労したが、本事業が進んでいくにつれて、業間の休み時間などを有効に利用して行うようになった。また、学期の終わりには、必ず支援員(3名)の感想や思いを聞き、次学期(次年度)にその思いを生かせるように努めた。 A 保護者への連絡・説明 関係学級については、本事業への理解を得るため、「学級通信」で事前に知らせるようにし、また、本事業の理解啓発も含め、「学校だより」に様子を掲載したり、参観日に実際に支援員がかかわっている様子を公開したりしてきた。個別指導をする児童に関しては、事前に保護者の了解を得て指導にあたり、学期末懇談会などを利用して保護者の思いを聞きながら、より望ましい指導体制を整えることができるように努めた。
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@ 児童 本校は、校内研修で算数科における授業づくりの実践を中心に取り組んできた。その中核に本事業の取組みも加えた。2年目2学期までの実践に対して、児童にアンケートした結果が、以下のグラフである。 成果として、 ・ 算数嫌いの児童が減ってきた。 ・ できるようになってきたことで意欲が高まってきた。 ・ 分からない箇所を気軽に聞きやすかったことで、解けるようになった。 ・ 2人体制でかかわることで、ヒントなどのアドバイスを多くしてもらえ、児童の安心感 が増した。 ・ 悩みに答えてもらったことで、他の学習意欲の高揚にもつながった。 など、学級担任1人の時に比べて、児童の安心感の度合いは随分違うと感じた。分からな い内容を気楽に尋ねることができる関係が、児童と支援員の間にでき上がったことは、児 童の意欲的な学習活動に結び付いているといえる。 A 学校関係者 ・ つまずきの早期発見による適切な支援など、学力に見合った指導及びきめ細かな支援が できた。 ・ 児童一人ひとりの学習習得状況が、支援者からの情報でより明確になり、事後指導に役 立った。 ・ 担任以外の方からも誉めてもらうことで、児童の学習意欲が増した。 ・ 児童のペースに寄り添った支援が学力の向上に結び付いた。 ・ 常に複数で児童にかかわることができ、指導や形態の工夫ができた。 B 学力向上支援員 ・ 個別指導で、その子に合った課題に取り組ませることができ、分かったという実感を児 童がもつことが、意欲の高揚や集中力に結び付いた。 ・ 学級担任と2人でいることで、理解の困難な児童に対する支援ができ、「できたよ」と いう喜びの声をしっかり受け止めることができてよかった。 ・ 子どもの実態が把握しやすく、つまずきの解消や賞賛の言葉かけがよくでき、自信や意 欲の向上につながった。 C 保護者 ・ きめ細かい指導に配慮していただきありがたく思っている。 ・ 普段の学習と少し雰囲気が変わって、楽しく学習できると話してくれている。 ・ 個別に対応してもらった内容を家にも知らせてもらい、どこが理解できていないのかよ く分かり家庭学習の参考になった。 ・ 子どもの性格をよく理解してかかわってもらえたことで、家庭でも学習の様子を話して くれるようになった。 ・ 可能なら、次年度も継続してもらえるとよい。 D その他 支援員の人柄に恵まれ、児童にかかわっていただいている姿を拝見していて、本校職員 も自己を振り返るよい機会となった。より学習効果の上がるような補助教材等の活用方法 にあらためて目を向けたり、児童一人ひとりに対してきめ細かな指導の在り方を考えたり と、支援員の方々の頑張っておられる姿は、職場全体によい効果もたらした。 (2)課題 本校のような、午前中の通常授業の中での支援という形態では、担任との打ち合わせや情報交換の時間(内容:指導方法や学習の進め方、児童へのかかわり方、児童の理解度など)確保には一番苦労するだろう。より高い教育効果を上げるための話し合いの時間の設定が避けられない課題である。 また、こうした事業については、様々な手続き上の簡略化が強く望まれる。 TOPへ戻る
○ 支援員と担任との打ち合わせの時間を確保し、きめ細かな指導に徹すること ○ 支援員と児童とのふれあいの機会をもち、人間関係を構築すること ○ 個別指導をするためには、事前に保護者の十分な理解を得ておくこと TOPへ戻る 実践編へ戻る |