ア キャリア教育の視点から
将来設計能力(役割把握・認識能力)情報活用能力(職業理解能力)
○「ぺあれんと」という施設の役割や仕組みを知る活動を通して、人々の強い願いや協力によっ
てこの施設が支えられていることを知る。
将来設計能力(計画実行能力)意思決定能力(選択能力)人間関係形成能力(コミュニケー
ション能力)情報活用能力(職業理解能力)
○「ぺあれんと」ではどのような仕事があるかを調べたり高齢者と交流したりする活動を通して、
地域とのつながりを考え、自分たちにできることを友達と協力し合って計画・実行することが
できる。
イ 総合的な学習の時間の目標から
○誕生から現在までの自分の成長過程を振り返り、これからの成長と老化、健康と安全、老後と福
祉などについて調べることができる。【情報収集能力】
○高齢者の方々との交流を通して、高齢者の抱える問題を共感的に考えることができる。【かかわ
る・表現力】
○自分を大切にする姿勢や自分の存在感、他者を敬う気持ちなどに気付き、自分の生き方を見つめ
ることができる。【実践力・応用力】
近年、核家族化・高齢化が進んでいる。このことは、本校区においても例外ではない。高齢化社会の中
で、異年齢の者同士が理解し合いながら共に生きていくことができるように、自分から働きかけたり、
遠い未来ではあるが、数十年後の自分や社会はどうなっているのかを考えたりしながら、高齢者に対す
る正しい認識と共感的な理解、協調して生きていこうとする態度を身に付けさせることは必要不可欠な
課題である。
校区内にある地域コミュニティスペース「ふぁみらんど」内に設けられた介護老人保健施設「ぺあれ
んと」は、医療と介護とリハビリが連携し、地域交流をふんだんに取り入れた施設である。なぜこのよ
うな施設がつくられたのかを調べたり、ここで働く人たちはどんな仕事をしているのか、また、どのよ
うに協力し合って働き、高齢者に快適な生活空間を提供しているのかを知ったりすることによって、様
々な仕事があることや相手の気持ちを考えて働くことの大切さを学ぶことができると考える。また、高
齢者との交流を通して、高齢者を人生の大先輩として認識し、相手の生き方を共感的にとらえながら、
自分の生き方を見つめ直していくことができる。さらに、福祉問題や高齢者問題など、将来の問題につ
いて自分とのかかわりから考えることができる。
導入で、昨年度「ぺあれんと」を訪問した際に印象に残っていることを想起させたい。そして、「ぺ
あれんと」の職員の話を聞くことを通して、「ぺあれんと」での仕事の内容や、その仕事をするために
はどんな知識や技能が必要か、将来自分が仕事をするためにはどんな準備が必要かにも気付かせ、仕事
への興味・関心を高めていきたい。その際、人と接することが多くなるので、挨拶の仕方、言葉遣い、
豊かな表情など、人と接するときの基本的なマナーを、単元全体を見通してしっかり指導したい。また、
人に優しく接する態度を育てるために、お年寄りが望むことは何かを知った上で相手が喜ぶことを考え
るように励まし、他の人の気持ちを考えようという意欲を持たせたい。そのために、2回の「ぺあれん
と」訪問を計画する。そして、1回目の訪問の後、良かった点に視点をあわせた振り返りを行うことに
より、児童の仕事や交流に対する意欲や自己有用感をさらに高め、意欲的に2回目の訪問計画を立てる
ことができるようにしたい。
「ぺあれんと探検隊」で学んだことを実際の生活の中でどのように生かしていくかを本単元と並行して
道徳の学習で深め、実行できるように努力させることで、自ら学び、自己を見つめ直すようにさせたい。
C指導計画(全27時間)
第一次 「ぺあれんと」訪問計画を立てる。【7】
・昨年度訪問したときのことを想起して、疑問に思うことやもっと知りたいことを発表する。(1)
・「ぺあれんと」で働く人の話を聞き、仕事内容や施設の様子などについて知る。(1)
・「ぺあれんと」訪問の準備をする。(4)
・挨拶の仕方、話の聞き方、質問の仕方など、人と接するときのマナーを学ぶ。(1)
第二次 「ぺあれんと」を訪問する。【2】
・計画に従って訪問をする。(2)
第三次 「ぺあれんと」訪問を振り返るとともに、新たな課題について話し合う。【4】
・「ぺあれんと」訪問を振り返って、感想を発表したり、学んだことを発表したりする。(2)
・・・本時2/4
・「ぺあれんと」訪問を終えて見えてきた新たな課題を出し合い、解決方法について話し合う。(2)
第四次 第2回「ぺあれんと」訪問の計画を立てる。【4】
・第1回「ぺあれんと」訪問の反省をもとに、第2回目の訪問の計画を立てる。(4)
第五次 第2回「ぺあれんと」訪問をする。【2】
・計画に従って訪問をする。(2)
第六次 第2回「ぺあれんと」訪問を振り返るとともに、新たな課題について話し合いながらまとめ
をする。【6】
・「ぺあれんと」訪問を振り返って、よかったこと、役に立ったこと、できるようになったことな
どを発表する。(1)
・2回実施した「ぺあれんと」訪問のまとめをし、発表する。(4)
・学習したことを実生活で生かすにはどうしたらいいか話し合い、実践する。(1)
ア ねらい 「ぺあれんと」訪問を振り返って、学んだことや感想を発表して、新たな課題発見の手
がかりを見つけることができる。
イ 準 備 パソコン プロジェクター ワークシート
ウ 展 開
学習内容及び活動 |
支援及びキャリアとのかかわりと評価 |
@「ぺあれんと」訪問について想起し、本時のめあてを知る。 |
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もっとすばらしい「ぺあれんと探検隊」になるために活動をふり返ろう。 |
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Aグループごとに、自分たちの活動についての振り返りを発表する。 ・学んだこと ・できたこと ・喜んでもらったこと ・役に立ったこと ・改善点
B各グループについての気付き等を発表する。 ・よかったところ ・現状維持したいこと ・改善点
C今後の努力点について考え、ワークシートに書く。 ・もっと良くしたいこと ・現状を維持したいこと ・改めたいこと
・身に付けたいこと など |
・振り返りの観点をわかりやくするために、必要に応じて訪問の様子のビデオを視聴させる。
・聞き手は、聞く観点を書いたワークシートにメモを取りながら聞き、話し合いの観点を明確にさせる。 ・自分たちの活動の振り返りをわかりやすく発表できたか。(コミュニケーション能力) ・友達の気持ちや考えを理解しようとしたか。(自他の理解能力) ・自分たちの考えと比べながら聞くよう助言する。 ・自分や友達のよいところを認め伝えることができたか。(自他の理解能力) ・新たな課題につながるものを考えながら聞くように助言する。
・ワークシートに書くことによって一人ひとりが次の活動への意欲が持てるようにする。 ・自分のやりたいこと、よいと思うことなどを考えられたか。(選択能力) ・してはいけないことが分かり、自制しようとしたか。(自他の理解能力) ・必要に応じて、発表もさせる。 |
○仕事を意識させるために、介護老人保健施設「ぺあれんと」の仕事について質問を作り、「ぺあれ
んと」の職員の方にその質問に答えてもらうというかたちで話を聞いたのはよかったと思う。子ど
もたちは、この活動を通して、介護老人保健施設「ぺあれんと」ではどのような人がどのような仕
事をしているか、また、どのように協力し合っているのかがわかってきたようである。
○しかし、実際には、第1回「ぺあれんと探検隊」では、まだ働くということが実感できず、交流を
中心に計画が進むことになった。また、交流の計画も自分たちが楽しむという意識が強かったよう
である。「ぺあれんと」の方の話を聞いた学習を子どもたちが十分に生かすことができなかったの
で、支援をする必要があった。
○第2回「ぺあれんと探検隊」では、お年寄りの名前を覚えてお互いが名前で呼び合うことをめあて
に準備を進めた。また、働くことや交流に関しても、第1回「ぺあれんと探検隊」の経験を生かす
ように進めたので、子どもたちの班ごとの話し合いも活発になり、より一層意欲的に取り組むよう
になった。
○2回実施した「ぺあれんと探検隊」を通して、子どもたちが「個性を大切にしたい」「自分の祖父
母を大切にしたい」「人に親切にしたい」などの気持ちを持つことができたのは大きな成果だと思
う。また、保護者の目から見ても我が子に変化があったという報告があり、その成果が伺える。
○今回の学習活動を通して、進んで自分の考えを表現したり、人の話をしっかり聞いたりしながら自
分の力で計画を立て、実行することができる子どもが増えた。このことから、子どもたちのコミュ
ニケーション能力や計画実行能力が育ち始めてきたと思われる。
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