積極的な生徒指導の推進                                [学校安全・体育課]

地域ぐるみで子どもたちの健全育成を推進する
−生徒指導総合連携推進事業−
柳井市教育委員会
 
1 地域紹介 / 2 生徒指導総合連携推進事業の取組み / (1)余新ブロック(モデル地区)の取組み /(2)中央ブロックの取組み /(3)南部ブロックでの取組み /(4)大畠ブロックにおける取組み /3 成果と課題
実 践 の ポ イ ン ト
 柳井市では、平成16年度と17年度の2年間にわたって、生徒指導総合連携推進事業を展開した。この事業は、地域ぐるみで青少年の健全育成を進めることを目標に行った事業である。この事業を実践していく上で、次の点に留意した。

地域の方々との交流を一層深めることによって、事業の主旨を理解していただく。
より地域に開かれた学校の構築をめざし、学校支援ボランティアとの連携を柱にした授業改善を進める。

よりよい地域づくりを目標に、学校、地域、関係諸機関、関係諸団体が連携して取組みを進める。

 

1 地域紹介
柳井市は、山口県の南東部に位置し、古くから水陸交通の要衝として栄えてきた。柳井市から田布施町、平生町にかけての海岸沿いは、山口県最大級の古墳群が並ぶ地域として有名である。市内柳東小学校区にある茶臼山古墳からは、日本最大級の銅鏡が発掘され、大和王権との深い関係を示唆している。
江戸時代には、「岩国吉川藩のお納戸」と呼ばれ、明治時代以降も、瀬戸内海屈指の商都として繁栄する経済の町である。
明治維新期には、阿月の克己堂から白井小助や赤禰武人などの多くの志士を輩出し、近代国家の形成に大きな役割を果たした。
本事業推進中の平成16年度末に旧大畠町と旧柳井市が合併し新しい柳井市が誕生した。
平成17年4月には、市内2校の小学校と3校の中学校を統合し、小学校12校、中学校4校と陣容を新たに事業を展開した。

余新ブロック
(モデル地区)

中央ブロック 南部ブロック 大畠ブロック
新庄小学校 
余田小学校 
柳井西中学校
日積小学校
柳井小学校
柳東小学校
柳北小学校
伊陸小学校
柳井中学校
柳井南小学校
小田小学校 
柳井南中学校
神西小学校
遠崎小学校
大畠中学校
TOPへ戻る

2 「生徒指導総合連携推進事業」の取組み
(1)余新ブロック(モデル地区)の取組み

@二四(にし)の日とアートフル西中
 余新ブロックでは、毎月24日を統一行動日に定め、交通指導やあいさつ運動を展開した。また、日常でも防犯組合やボランティア団体である二四の瞳を中心に子どもたちの登下校を見守る運動が展開されている。
 この統一行動日に合わせて、柳井西中学校では「アートフル西中」という企画を実施している。これは、統一行動日の前後1週間で、柳井西中学校の校区にある新庄公民館の文化サークルで活動している方々の絵画や書道などの作品を柳井西中学校の玄関ロビーに展示した。作品の展示や鑑賞のため、作者や地域住民が数多く柳井西中学校を訪れ、学校と地域との距離が更に近くなった。当初は、開催期間を1週間としてスタートしたが、しだいに参加者が増え、期間を二週間に延長するまでになった。

(2)臥龍梅(がりゅうばい)清掃活動
 臥龍梅は、室町時代のものと伝えられ、根元の周囲は、約5.5メートル、樹齢400年の老樹のため、本来の株は枯死し、現在は、四方に伸びた枝が独立した飛び梅約十数本が、毎年きれいな花を咲かせている。
 地域の誇りであるこの臥龍梅は、市内余田小学校校区にある。この取組みは、校区をともにする余田小学校と、柳井西中学校の生徒が、その保護活動に参加した。
 この活動は、単なる清掃活動にとどまらず、地元の臥龍梅保存会の方々から説明を聞くことによって、この木の価値や保存のための努力を知り、地域に対する愛着を深めることができる。中学生は、今回単に清掃だけでなく、臥龍梅の剪定という責任の重い体験を積むこともできた。

TOPへ戻る
(2)中央ブロックの取組み

@柳井小安全ボランティア
 柳井市では、平成15年度から学校支援ボランティアの制度を立ち上げた。その際、中央ブロックにある柳井小学校では、学校安全ボランティアが組織され、登下校への同行や授業中の校内の巡回・警備に携わっていただいた。参加者は、学校周辺にお住まいの住民や保護者の方々が中心である。柳井小学校は、中心部の市街地とその近郊を校区としており、都市型の問題が発生しやすい地域である。学校安全ボランティアの方々は、普段から「安全パトロール中」と書かれたマグネットシートを自家用車につけて、きめ細かい見守りを行っていただくとともに、活動の周知に協力していただいた。

A110番通報訓練
  柳東小学校では、平成17年に学校安全ボランティアが結成された。これを機に行ったのがこの110番通報訓練である。子どもたちの登下校を見守る運動に、参加する地域の方々は、増加傾向にあるが、実際の行動となると不安が募るのは当然である。そこで、「不審者に声をかけられた生徒が実際に駆け込んできたらどうするか」という視点から訓練を行った。
 子どもたちは下校途中に被害に遭うことが多いので、訓練はこの時間帯を想定したものとなった。学校安全ボランティア、地元自治会、PTAなど多くの関係者が見守る中、多くの成果を共有することができた。

TOPへ戻る
(3)南部ブロックでの取組み

@「ザ・元気プロジェクト」
 南部地区では、「ザ・元気プロジェクト」と銘打った子どもたちの食に関する指導を行った。この指導では、次のような三つの取組みから構成されている。

【個人ファイルの作成】
 児童生徒に個人ファイルを作成させ、それぞれ食・健康・運動の三つの目当てを立てさせ、チャレンジウィークを設けて自分の生活をチェックさせた。

【チャレンジ栄養教室】
  柳井南小学校、小田小学校、柳井南中学校の三校の合同で実施するイベントである。小学生は、日々のおやつ作り、中学生は生活習慣病を意識した食事作りに挑戦し、栄養士や食生活改善推進委員の方々からアドバイスを受けることができた。

【出前TT授業
 「毎日の健康」という題材名で、毎日を健康に過ごすための、食・運動・栄養・睡眠の調和のとれた生活の必要性について学んだ。このような取組みを進めることによって、小学生と中学生の理解も深まるとともに、地域で健康に関する仕事についておられる方々との交流も深まった。

A高校との連携
 柳井南中学校では市内四つの高等学校と連携して、中学校への出前授業を行った。下記のように各高等学校から指導者を招き、中学生が高等学校進学への希望をもつことができる授業を展開していただいた。

実施教科 内容 高等学校名
技術・家庭科 ロボットの操作 柳井工業高校
保健体育科 風邪も症状と予防 柳井学園高等学校
理科 科学的な探求とは 柳井高等学校
英語科 英語学習と基本リーダー 柳井高等学校
保健体育科 英語学習の基本とリーダー 柳井学園高等学校
 各高等学校の先生方による質の高い授業を経験することで、生徒の知的好奇心が喚起されたり、教科学習の基本を再認識したりすることができた。また、高校生活への期待が高まるなどの変容が見られ、卒業後の進路や残された中学校生活の過ごし方について考えるよい機会となった。 
TOPへ戻る
(4)大畠ブロックにおける取組み
@スナックゴルフ
  スナックゴルフは、ニュースポーツとして、各方面から注目を集めているスポーツである。大人と子どもが手軽に取り組むことができ、今後更に普及することが期待されている。
 大畠地区では、大畠中学校が総合的学習の時間として、このスナックゴルフの学習を行うときに、中学校の体育教師が小学校を訪問して指導に当たっている。

 このニュースポーツの普及は本事業を推進していく上で、様々な効果がある。
 まず、中学校教師と小学生が技術の習得と新しい競技の普及を目的として交流することで、情報収集がより自然な形で行われるようになる。また、小学生も中学校教師に対する抵抗が少なくなり、中学校への進学がよりスムーズになることが予想される。更に、このスポーツを地域を巻き込んで行うことにより、地域のゴルフ愛好家やスポーツ愛好家との交流が生まれ、地域ぐるみで学校を見守るという体制が築き上げられていく。


A子ども元気創造フェスティバル
  大畠地区では、遠崎小学校を中心に「食習慣」「運動・遊び習慣」「読書習慣」の三つの柱を立てて、子どもたちがより健康に、より学習に親しむことを目的に「子ども元気創造推進事業」を展開した。
食習慣 運動遊び習慣 読書週間

○ 行事給食の献立の立案
○ 新鮮ふるさと食材の日
○ 誕生日給食
○ マナーの日
○ 箸の日
○ ホールふれあい給食
○ 親子給食会

○ 全校遊びの日
○ 三世代交流会

○ みんなでふれあい(ゲーム)
○ のびのびタイム
○ 元気フェスティバル
○ すくすくタイム
○ 遠崎小やわらか体操

○ お話会
○ 音読タイム
○ 朝読書
○ 遠崎小子ども読書の日
○ 読書新聞の発行
○ 毎月のふれあいタイム
○ 本の巡回

 これらの活動には、大畠地域の地域性を生かした伝統文化の継承という視点に立った内容を盛り込み、地域の方々との交流の意義を深めた。
TOPへ戻る


3 成果と課題
地域ぐるみで、子どもたちの健全育成を進めるため、柳井市では、市内を四つのブロックに分け、取組みを展開した。
 特に、各ブロックに設けた地区推進委員会は、優れた人材を発掘し、地域の実態に応じた取組みを展開する上でたいへん有効な組織である。
 また、本事業の主旨に賛同して、全ての地域で子どもたちを見守ることを目的とした様々な協力は大きな支えとなった。

 柳井市では、平成18年度以降もこの四つのブロックを単位として、小・中・高の連携を柱に、青少年健全育成だけでなく、学力や体力の向上、読書活動の充実など様々な課題に取り組んでいきたいと考えている。
TOPへ戻る