地域ぐるみの学校安全体制整備事業の実践的な取組み  〔学校安全・体育課〕
 学校・家庭・地域が一体となって子どもの安全を守る
    柳井中央ブロック学校安全推進委員会 
柳井市立柳井中学校

1 地域紹介2 具体的な活動内容3 成果と課題
実  践  の  ポ  イ  ン  ト
スクールガードの組織化
児童生徒の安全確保に対する地域住民への啓発
危険箇所マップの作成
地域ぐるみによる不審者侵入(遭遇)を想定した訓練の実施

1 地域紹介

(1)学校規模
 柳井中央ブロックは、柳井中学校校区を範囲としている。校区内には柳井小・柳東小・柳北小・伊陸小・日積小の5校があり、学級数及び児童生徒数は以下のとおりである。

<平成17年4月現在>

柳井小学校

柳東小学校

柳北小学校

伊陸小学校

日積小学校

柳井中学校

学級数

32

11

21

児童生徒数(人)

547

263

163

74

65

575

(2)地域の環境
 柳井中央ブロックは、商都柳井市の中心部及び北部を校区としている。昨年度までの中央ブロックは、柳井・柳東・柳北の3小学校区を範囲としていたが、今年度、柳井・伊陸・日積の3中学校の統合に伴い、広範囲を対象とする校区となった。 
 中心部は、通学路に民家が多く道路に街灯等が設置されているが、交通量が多く登下校に危険が伴う場所が多い。また、昨年度の台風で水路が増水し、冠水してしまった道路もある。北部の伊陸・日積地区は山間部に位置し、民家が点在しているとともに、街灯の設置も少ない。また、道路の整備が進むにつれスピードを出す車も多く、交通安全上も危険な地域である。
 地域の人々の教育に関する関心は高く、PTA活動をはじめ、学校に協力的である。  このように、校区の拡大とともに、これまで以上に安全確保への対策が早急に求められている。

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2 具体的な活動内容
(1)スクールガードの組織化
 @柳井中央ブロック学校等安全推進委員会の組織

 本事業を推進していくにあたり、上記委員会を組織した。構成員は、以下の35名である。
  各小中学校の校長・生徒指導主任・PTA会長
  柳井・伊陸・日積各地区の自治会協議会長
  柳井西・伊陸・日積各地区のコミュニティ協議会長
  柳井市子供会育成連絡協議会代表
  柳井市連合婦人会代表
  柳井市更生保護婦人会代表
  柳井・伊陸・日積各地区主任児童委員
  柳井地区防犯組合代表
  柳井市青少年愛護センター代表
  柳井市学校支援ボランティアコーディネーター
  柳井市生徒指導推進協力員代表

 Aスクールガードの募集

 各学校の校区内の住民からスクールガードを募集する。募集方法としては、次のようなチラシを校区内135自治会に配布し、各校区の小学校へ連絡していただくこととした。

応募者数内訳(2月現在)

柳井小学校31名
柳東小学校28名
柳北小学校34名
伊陸小学校21名
日積小学校16名
柳井中学校15名

(2)児童生徒の安全確保に対する地域住民への啓発

@地域住民への協力要請
 スクールガードの募集を各自治会回覧で行うとともに、自治会長集会で地域での子どもの見守り活動への協力を要請した。

Aスクールガードへの帽子・ウインドブレーカーの配布
 スクールガードに応募していただいた方に、黄色でよく目立つ帽子・ウインドブレーカーを配布し、活動中に着用していただく。

 

  <スクールガード用の帽子とウインドブレーカー>

Bノボリの設置
 「地域で子どもの安全を守る町」という啓発用ノボリを100本作成して各校に配布し、
学校周辺及び危険箇所に設置することで、地域への啓発及び不審者に対して地域で子どもた
ちを見守っている町であるということをアピールし、犯罪の抑止効果をねらった。



      <学校周辺に立てたノボリ>

 また、「子ども110番の家」というノボリも400本作成し、ステッカーのみのところへ
配布し、設置していただいた。

C標語の募集
 各小・中学校の児童・生徒を対象に標語を募集し、優秀作品を表彰した。また、各校の最優秀作品につい
ては横断幕を作成し、各校周辺に掲げた。

(3)危険箇所マップ作成
@地図の調達
 マップを作成するにあたって、市の都市計画図の11000012500の地図をいただき、マップの作成要領を検討した。校区が広範囲にわたるため、山間部の学校を基準に危険箇所等を記入すると、中心部の危険箇所が密集しすぎて具体的な場所が特定できなくなってしまう。また、中心部の学校を基準に記入する場合、地図が大きくなりすぎてしまうという問題点があがった。そこで、小学校区ごとにマップを作成することとした。

☆ 110000の地図使用・・・柳北小学校、伊陸小学校、日積小学校

☆ 12500の地図使用・・・柳井小学校、柳東小学校

A危険箇所マップの内容
 危険箇所を次の3つに分類し、色分けをして地図にポイントを印した。また、ポイントに番号を記し、具体的な内容説明も文章で示した。

ア 交通安全上配慮するところ(例:見通しが悪い、交通事故多発場所など)

イ 防災上配慮するところ(例:大雨時冠水する場所、崖崩れが発生しやすい場所など)

ウ 防犯上配慮するところ(例:不審者や痴漢の出やすい場所、暗くて不用心な場所など)



            <手作りの危険箇所マップ>

B危険箇所マップのデジタル化(現在発注中)
 校区ごとに作成した手作りの危険箇所マップの規格をできるだけ統一するために、パソコンでデジタル化して印刷会社に発注し、配布することとした。このデジタル化により、後日必要な際には、学校のプリンタでも増刷が可能となり、いつでも再活用できる。

C危険箇所マップの配布(予定)
 配布先としては、すべての児童生徒の家庭、各校区内の公共施設、スクールガードのメンバー、協力いただける地域の各商店とした。

(4)地域ぐるみによる不審者侵入(遭遇)等を想定した訓練や研修会
@登下校中に不審者に遭遇したことを想定した訓練
 児童の下校中に不審者(警察官が扮する)が声をかけ、児童は近くの子ども110番の家に助けを求めるという訓練を行った。事前に子ども110番のお宅に連絡をとっておいて協力をいただき、児童からの情報を警察へ通報する訓練等も実施した。

<不審者から声をかけられる>   <不審者は品物を与えて車に連れ込む作戦>

<警察官に不審者の車や服装などを説明> <警察官による付近での職務質問>      
A校内へ不審者が侵入したことを想定した避難訓練
 不審者が校地内へ侵入し、教員が声をかけたが、強引に教室まで上がりこんでくる場面を想定して訓練を行った。

  <教員による不審者確保>          <警察官到着> 
            

<負傷者の応急処置>         <不審者の警察への引き渡し>


<負傷者の病院への搬送>       <一般生徒は放送の指示により体育館へ避難

B危険箇所・子ども110番の家を確認する小中連携による集団下校
 中学生が出身小学校の児童とともに通学路周辺の危険箇所や子ども110番の家を確認しながら集団下校する活動を行った。この際、スクールガード等地域の学校支援ボランティアの方々にも協力をいただき、実際に対面することでふれあいを深めた。

  
  小・中学生合同の集団下校の様子>    <子ども110番の家確認

C地域の登下校モニター制度
 スクールバスを活用した登下校で、バス停から自宅までの安全確保の在り方について、スクールガードに同乗していただき、調査研究を行った。また、定期的に同乗をお願いしている。

D凶器を保持した不審者との対峙訓練
 柳井警察署に協力を依頼し、凶器を保持した不審者との安全な対峙、暴れたときの対応について、さすまた等を使用しての実技を主とした研修を行った。

   
 さすまたの使い方の基本練習>     <不審者との対峙実技


Eスクールガードリーダー講習会
 警察OBの方を講師に招聘し、スクールガードの役割、不審者の特徴的な行動、不審者遭遇の際の行動の仕方等について、研修を行った。


 スクールガード講習会講演

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3 成果と課題
(1)成果

@防犯意識の高まり
 今年度の取組みにより、児童生徒、教職員をはじめ地域の方々の防犯意識の高まりを感じた。児童・生徒については、不審者侵入(遭遇)の避難訓練等を通して「自分の身は自分で守る」という意識が高まるとともに、具体的な対処方法を学ぶことができた。また、教職員についても、危機意識が高まり、日常会話の中でも、子どもたちを守るための方策が話題にあがるようになってきた。ノボリ・標語等の設置、スクールガードの見守り活動が、地域の方々への「地域で子どもの安全を守る」という意識高揚の啓発活動につながった。

A危険箇所の再確認ができた
 これまで、事件・事故等があった場合、口頭や文書で知らせ指導していたが、今年度、危険箇所マップの作成や、小中合同で現地に出向いて危険箇所の確認を行ったことで、小学校低学年にも具体的な危険がイメージできるようになった。

B地域とのつながりの強まり
 登下校の場面をとらえての訓練等校外での活動に地域の方々の参加をいただいたので、児童・生徒と地域の方々が顔見知りとなり、日常の挨拶も活発となった。この地域とのつながりの強まりにより、犯罪防止に対する大きな効果が期待できる。

(2)今後の課題
 今年度の取組みを今後も継続し、更に多くの地域の方々の協力をいただき、地域全体で子どもたちを守る体制を整備していくことが大切である。また、場所・場面等の状況が変化しても、それに対しての危険を予測できる応用力を子どもたちに身に付けさせることが必要である。


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