【山口弁よもやま話】コンテンツリスト
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16 「小さい」「細い」「細かい」「けちだ」は
皆「こまぇー」
「小さい」ことを山口弁では「こまぇー」と言います。ゆっくり丁寧に発音すれば「こまい」ですが、伝統的な山口弁では、連母音アイ[ai]が普通 アェー[ æ
]と発音される音韻法則により、「こまい」は「こまぇー」となるのです。ただし、明治以降広島県の安芸弁の影響を受けるようになった県東部の岩国市・玖珂郡などでは、「こまー」と発音する人もいます。連母音アイ[ai]がアー[a
]となる現象は、主に形容詞において見られ、女性よりも男性によく使われる傾向があります。
この「こまぇー」は、単に「小さい」という意味だけでなく、「細い」「細かい」、さらには「金銭に細かい、吝嗇だ」ということを意味する場合にも使われます。すなわち「小さい」「細い」「細かい」「吝嗇だ、けちだ」の意味分野を区別 しないで用いるのです。山口県ではほぼ全域にわたって、この意味分野の区別 をしない「こまぇー(こまい)」が使用されています。 「こまぇー(小さい)子を、えらめちゃーいけんど(いじめてはいけないぞ)」「この棒は、こまぇーでね(細いよ)」「こまぇー(細かい)しご(始末・処理)をせんにゃーいけん(しなければならない)」「あのおじーまー(おじさんは)、ぐめんしゃ(金持ち)のくせに、こまぇー(金銭に細かい、けちな)ことーいやーる(言いなさる)」などという表現が一般 にされるのです。
森川信夫著『面白くて為になる 山口弁よもやま話』より
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