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18 相手に念押し・強調する文末表現「〜とみー(見い)」
 「〜のだよ」ぐらいの意味で、話相手に対し念押し・強調する文末表現「〜とみー(見い)」は、高年層において頻繁に使われている方言です。指示・引用する意を表す格助詞「と」に、「見る」の命令形方言「みー(見い)」が続く表現法です。「みー(見い)」は上一段動詞「見る」の命令形方言「み(見)」に、語勢を添える終助詞「い」が付いて母音融合し、長音となったものです。中には「〜とみ(見)」と、本来の命令形方言を用い、長音化しない発音をする人もあります。やや丁寧に表現する場合は「〜とみー(見い)さん」「〜とみー(見い)やん」或いは「〜とみな(見な)さぇー」と言います。相手に軽い敬意を込めてさらに丁寧に表現する場合には、「〜とみー(見い)さんせ」「〜とみー(見い)やんせ」「〜とみな(見な)さぇーませ」などと言います。以下に、主な使用例を示します。
 「さむーていけんとみー(寒くて仕様がないのだよ)」「よーわからんとみーさん(よく分からないのよ)」「どねーもこねーもならんとみーさんせ(どうにもこうにもならないのですよ)」「ぐあぇーがわりーとみーやん(具合が悪いのだよ)」
 
        森川信夫著『面白くて為になる 山口弁よもやま話』より
 
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