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21 「おる(居る)」
 「居る」という行為については、新潟・長野・静岡各県の西部地域をほぼ境として、それよりも東では「いる」、西では「おる」と言う所が大方を占めています。ただし近畿地方中央部では「いる」と「おる」を併用し、「いる」は待遇的に中立、「おる」は見下しや謙遜の表現として区別 します。東京では通常「いる」を用いますが、丁寧語としては「おります」の形で「おる」を使います。
 山口弁ではすべての場合に「おる」を用います。敬語表現においても然りです。動作主への敬意を表す助詞の「て」、同じく助動詞(過去の形のみを使う)の「ちゃった」「ちゃーた」、動作主への軽い敬意と親愛の情を表す助動詞「やーる」「やる」などの山口県方言も、すべて「おる」に付いて、「いる」には付きません。「お父さんはおってですか」「先生がおっちゃった」「爺さー、おりゃーるかの」などと表現します。
  標準語の「いらっしゃいます」に相当する山口弁の尊敬語は「おられます」です。標準語では「いらっしゃいます」の方が「おられます」よりも高い敬意を表しますが、山口弁においては、「おられます」は標準語の「いらっしゃいます」と同等以上の敬意を持つ表現として用いられます。  
 
        森川信夫著『面白くて為になる 山口弁よもやま話』より
 
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