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22 動作・作用の方向、到着点、相手を示す格助詞「へ」
 体言に付いて、動作・作用の方向、到着点、相手を示す格助詞は、山口県では普通 「に」よりも「へ」をよく用います。ただし殆どの人に「へ」を使っているという認識があまりないのは、[e] の音が前接部の母音と融合してしまっているからです。この連母音融合の仕方には規則性があり、大体次のようになります。
@ ア+エでアェーと発音されます。[a] +[e] =[ æ▲]。「オーサカェーイク(大阪へ行く)」「アナタェーキク(あなたへ聞く)」
A イ+エでイーと発音されます。[i] +[e] =[i▲]。「ハギーイク(萩へ行く)」「コッチークル(こっちへ来る)」
B ウ+エでウィーと発音されます。[u] +[e] =[wi▲] 。ただし半母音の[w] はしばしば脱落することがあります。「オクィーイク(奥へ行く)」「ホーフィークル(防府へ来る)」「クダマツィーイク(下松へ行く)」
C エ+エでエーと発音されます。[e] +[e] =[e▲]。「イリエーハェール(入江へ入る)」「シマネーイク(島根へ行く)」
D オ+エでエーまたはオェーと発音されます。[o] +[e] =[e▲][ø▲][øe]。「ドケーイクカ、ドコェーイクカ(どこへ行くか)」「ソテーデル、ソトェーデル(外へ出る)」  
 
        森川信夫著『面白くて為になる 山口弁よもやま話』より
 
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