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27 文末にあって感情を添えたり強調したりする意を
表す「にー」

 文末にあって感情を添えたり強調したりする意を表す「にー」  文末にあって、感情を添えたり強調したりする意を表す山口弁の「にー」は、年齢や性別 を問わずよく使われ、標準語における「〜よ」「〜ね」ぐらいの意味で用いられる終助詞です。
  発音には個人差があり、「に」と短く言う人もいます。もともとこの語は、山口弁と類似の使われ方がされる全国各地の方言「に」との比較から、短く発音されていたものと考えられます。その「に」に、念押し・強調の意を表したり語調を整えたりする終助詞の「い」が付いて融合し「にー」と長音化したのでしょう。ですから「い」同様、「にー」はしばしば、念押し・強調・詠嘆などの意を表わす終助詞の「の」「ね」「や」を後に伴います。ただし、常に打ち消しの助動詞「ん」に接続して「んにー」というのが基本的な言い方になります。つまり、否定表現に感情を添えたり、それを強調したりする語なのです。以下に具体的な使用例を示してみましょう。
 「そねーなこたー、ありませんにーの(そんなことは、ありませんよ)」「うちゃー、知らんにーね(私は、知らないよ)」「どねーもこねーもならんにーや(どうにもこうにもならならないよ。にっちもさっちもいかないよ)」「あのひたー、はー、来ちゃーありませんにー(あの人は、もう、いらっしゃいませんよ)」
 
        森川信夫著『面白くて為になる 山口弁よもやま話』より
 
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