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35 サ変動詞「せる(為る)」
 標準語のサ行変格活用の動詞「する(為る)」に相当する山口弁は「せる(為る)」です。文法的には山口弁の下一段活用と殆ど同じ変化をします。すなわち「せ・ん」「せ・られる」「せ・よう」(未然形)、「せ・ます」「せ・た」(連用形)、「せる」(終止形)、「せる・こと」(連体形)、「せり・ゃー」(仮定形)、「せ」「せー」(命令形)という基本的な活用変化は下一段動詞と全く同じなのです。また「せ・よう」がしばしば融合して(「せ」の母音[e] が脱落して)「ショー」という発音になることも、他の下一段動詞の音韻変化と同じです。しかし、未然形において打ち消しの推量 ・意志を表す「まー」(「まい」の山口弁)へ続く場合、「せ・まー」は「す・まー」となることもあり、また近年は「せ・られる」よりも「さ・れる」、「せ・ます」よりも「し・ます」の方が普通 に使われており、「せる(為る)」はやはりサ行変格活用とするのが適当ではないかと思われます。
 
        森川信夫著『面白くて為になる 山口弁よもやま話』より
 
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