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38 文末に付けて、念押し・断定・勧誘の意を表す「で」
 山口弁の終助詞「で」は、下に何も伴わない場合、共通 語の終助詞「ぜ」にほぼ相当する、親しみとぞんざいさを伴った日常語です。山口県では、共通 語のザ行音のうちザ・ゼ・ゾがしばしばダ行音となって発音されますから、「ぜ」と「で」は本来同根の語と考えられます。「で」は長音化し「でー」と発音されることもあります。
 「で」の用法的な特徴は、念を押す意を表す終助詞「ね」「の」「よ」を頻繁に伴うことです。体言や活用語の終止形に付き念を押す意や断定の意を添える場合、「うちゃー知らんじゃったでね(私は知らなかったよ)」「こりゃー大きな家での(これは大きい家だよ)」「そねーなこたーいけんでよ(そんなことはいけないぞ)」などと言います。勧誘の意を表す場合は、「はよーしょーでね(早くしようよ)」「あしたー、あすびに行きましょーでの(明日は遊びに行きましょうぜ)」というふうになります。普通 、「でね」は女性や目下の男性がよく使います。「でよ」は男性が同等以下の相手に対して使うことが多く、それ以外の場合や女性は、独り言・感動詞などに付けたりします。「での」は中年層以上に使う人がいますが、やや粗野な印象があります。「腹がへったで(空腹になったぜ)」というような「で」単独の表現は、主に男性が同等以下の相手に対して用います。
 
        森川信夫著『面白くて為になる 山口弁よもやま話』より
 
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