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42 文末にあって感情を添えたり軽く念押しを
したりする「わー」

 この終助詞は単独でも用いられますが、「わーね」「わーの」「わーや」など、他の念押しの終助詞を伴った形で使われることも少なくありません。「〜よ」「〜ぞ」ぐらいの意味です。「そねーなこたー、なぇーわーや(そんなことは、ないぞ)」「わたしゃー、なんもしらんわーね(私は、何も知らないよ)」などと使います。また動詞や「ちょる」「よる」など動詞型活用をする助動詞の終止形に「わー」が接続する場合発音はしばしば融合して、子音を伴う[uwa▲]は[a▲]となり、「合う」「言う」「負う」などの子音を伴わない[uwa▲]は[wa▲] となります。「こけー(ここへ)あらーね(あるわーね)」「そけー(そこへ)行かーや(行くわーや)」「あとで会わーの(会うわーの)」などと言うのです。
 また過去・完了の助動詞「た」、指定・断定の助動詞「じゃ」がそれぞれ長音化して念押しの終助詞「ね」「の」「や」を伴う「たーね」「たーの」「じゃーの」「じゃーや」などの表現が現在行われていますが、これらはもともと「たわーね」「たわーの」「じゃわーの」「じゃわーや」であったものが音韻融合し、[awa▲]が[a▲]になったのだと考えられます。
 
        森川信夫著『面白くて為になる 山口弁よもやま話』より
 
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