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44 軽い敬意や親しみを表す助動詞「〜やる」「〜やーる」
 老年層を中心に、中年層の一部にも使われている敬語の一種です。もともとは、室町時代末期以降にラ変動詞「あり」の連体形「ある」が変化した中央語で、動詞や動詞型活用をする助動詞の連用形に付きます。動作主への軽い敬意や親愛の情を表す助動詞です。「じーさまー、はー寝やったでの(爺様は、もう寝なさったぞ)」「あしたー、巡査がここらぇー見まーりに来やーるてーや(明日は、巡査がここらへ見回りに来なさるそうだよ)」というような使い方がされます。
 また、「や」はしばしば前にある動詞・助動詞の活用語尾と融合して拗音化します。たとえば、「行きやった」→「行きゃった」、「食べやーる」→「食びゃーる」、「知っちょりやーる」→「知っちょりゃーる」、「読みよりやった」→「読みよりゃった」という具合に音韻変化するのです。
  普通の会話では、終止形・連体形を中心に「〜やる」よりも「〜やーる」と発音されることの方が多いようです。
 
        森川信夫著『面白くて為になる 山口弁よもやま話』より
 
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