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46 助詞「ちゃ」(「ちゃー」)の二つの用法
 「ちゃ」は「ちゃー」とも発音し、二つの用法があります。
 一つは、文末や人に呼びかける語の後に付けて、念押し、強意、断定を表す使い方です。「〜よ」「〜だ」ぐらいの意を表します。前に形式名詞のように用いる格助詞「ん」(「の」の変化した語。山口県では普通 「の」を使わず「ん」を使います)を伴ったり、前の語と「ちゃ」「ちゃー」の間に促音「っ」が入ったりすることもあります。また、「ちゃー」の後に念を押す気持ちなどを表す「ね」「の」「や」を伴ったりもします。「そねーなこたー、知っちょるちゃ(そんなことは、知ってるよ)」「こりゃー僕んちゃー(これは僕のだよ)」「よぇーちゃ、はよー行けっちゃーや(おい、早く行けよ)」「それっちゃーね。あのひたー、よいよーいけん人なんちゃーね(そうなのよ。あの人は、本当にいけない人なのよ)」というような使い方をします。
  もう一つの用法は、体言や体言に準ずるもの、及び言い切った文に付いて引用などを表すもので、「〜と言えば」ぐらいの意味で使います。「〜て言やー」という言い方が変化したもので「ちやー」と発音する人もいます。前に促音「っ」が入ることもあります。「まー、料理ちゃー料理じゃのー(まあ、料理と言えば料理だな)」というふうな使い方をします。
 
        森川信夫著『面白くて為になる 山口弁よもやま話』より
 
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