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48 文末にあって念押し・強調の意を表す終助詞「い」@
 文末にあって念を押す気持ちを添えたり、強調の意を表したり、語調を整えたりする「い」は、老若男女を問わず頻繁に用いられる終助詞です。「〜よ」ぐらいの意味で使われ、下に念を押す意を表す終助詞「ね」「の」「や」をしばしば伴います。終助詞「い」は標準語にもあり、文末に付いて語気を強め語調を整える「〜よ」の意で命令文や疑問文に多く用いられますが、「どうだい」「早くしろい」「それは君かい」などの標準語表現は、山口弁では普通 行われません。
  山口弁「い」を用いた表現は次のようなものです。「そのうちできるい(そのうち出来るよ)」「そねーなこたー知っちょるいや(そんなことは知ってるよ)」「わたしが行きますいね(私が行きますよ)」「はー、そーですいの(はい、そうですよ)」「はよーたべよいや(早く食べようよ)※《食べよう》の長音部分である《う》が《い》の前で脱落したもの。音韻融合して《食びょいや》となることもあります」「わたしもいね(私もよ)」「うん、それいね(うん、そうなのよ)」「そりゃーあんたかいの(それは君かい)」「起きちょるかいね(起きてるかい)」
 「い」で終わったり、「です」「ます」に「い」を続ける表現は、中高年層から老年層にかけてよく行われます。「あんたかいの(君かい)」の発音は、中年層以上では「アンタカェーノ」というふうに、「かい」のアイ[ai]の部分が多くアェー[ æ▲]になります。
 
        森川信夫著『面白くて為になる 山口弁よもやま話』より
 
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