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53 挨拶の表現@ 
 最近は山口県での挨拶表現も、若い人を中心に東京風或いは流行語的なものが増えましたが、かつては方言による豊かな表現が多く行われておりました。
  「ごめんください」という挨拶を例にとってみても、山口弁では、@「ごめん」A「ごめんなさぇーませ」B「ごめんなさんせ」C「およろしさんせ」D「あんたんでありますか」「あんたんでござりますか」E「おるんかぇーの」「おるかぇーね」「おるかね」F「おってかの」「おってかね」「おってかぇーね」など、非常に多くの表現法があります。@は、かつて子供や若年層などがよく使ったやや粗野な表現。Aは現在最も使用頻度の高い丁寧表現。BCは丁寧度においてAよりやや低い表現。Cは「お許しください」の意で、最近あまり耳にしなくなりました。Dは「あんた方ですか」あるいは「あんたは御在宅ですか」の意の丁寧表現で、大正時代ぐらいまでは普通 に使われていたようですが、現在では殆ど死語のようになっています。Eは「居るか」の意で、気兼ねの無い親しい間柄において使われます。Fは敬意を示す助詞の「て」を用いており、親愛の気持ちを込めた「居らっしゃるか」ぐらいの意を表す挨拶です。EFとも老年層を中心に用いられている表現です。
 
        森川信夫著『面白くて為になる 山口弁よもやま話』より
 
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