【山口弁よもやま話】コンテンツリスト
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56 「歯がはしる」ことなど
今回は顔の各部位に関する方言を紹介しましょう。
光が眩しい場合は「まばいー」や「ばばいー」を使います。「眉毛」は「まひげ」、瞼にできる「ものもらい」は「めぼ」「めーぼ」と言います。「ほくろ」は「ほぐろ」、「頬」は「ほーべた」「ほーたん」。頬を平手打ちするのは「ほーべた(ほーたん)をしばく」、ことさら強く平手打ちするのは「ほーべた(ほーたん)をしばきあげる」、何度も連続してそうする時は「ほーべた(ほーたん)をしばきまわす」などと言います。
物の「香り」は普通「によぇー(匂い)」で表現し、「えーによぇーがせる(良い香りがする)」などと言います。また、「香る」状態も「嗅ぐ」という行為もともに「匂う」で表現しますが、「匂い」同様母音の[i] と[o] の間に半母音(わたり音)[j] が挿入し、実際の会話の中では「によう」と発音されます。
「舌」は「べろ」、「唾」は「つず」、「歯茎」は「はぶ」、咳をすることは「こつる」と言います。口臭のすること、またその人を「くちわご」と言いますが、これは、腋臭、体の臭いこと、またその人を「わご」と言うことから派生した言葉です。
歯が痛い時は「歯がはしる」と言います。「はしる」は、ずきずきとつき刺すような痛み、激しい疼きなどを表す動詞ですが、歯痛の場合に最も使用頻度の高い言葉です。「頭がはしる」と言う人もいます。
森川信夫著『面白くて為になる 山口弁よもやま話』より
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