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59 「そう(然う)」の意で用いられる感動詞「それ(其れ)」
 相手の言動を肯定する意を表したり、発言に調子を合わせて相槌を打ったり、驚きの気持ちを表したりする場合に、山口弁では「それ(其れ)」という感動詞を使います。「それ」を単独で用いることは少なく、念押しや強調の意を表す終助詞「い」「ちゃ」「で」「ど」や、感動・驚きを表す終助詞「か」を多く伴います。標準語の「そう(然う)」にほぼ相当する言葉ですが、「それ」の用法は「そう」に比べると限定的です。
  感動詞の「それ」は、中年層以上の日常会話の中ではきわめて使用頻度が高く、「それですいね(そうなんですよ)」「それいね(そうなのよ)」「それっちゃ(そうなんだよ)」「そりゃーそれでよ(それはそうだぞ)」「それかの(そうなのか)」「それですか(そうなんですか)」「それそれ(そうそう)」などの用例を頻繁に耳にします。ただし、個人差はあるものの子供や若年層が感動詞の「それ」を使うことは少なく、中年に近くなる頃からこの語の使用頻度が高まる傾向が見られます。一種の大人言葉としての位 置付けができる方言だと言えるかもしれません。
 
        森川信夫著『面白くて為になる 山口弁よもやま話』より
 
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