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62 「そばえる」「つばえる」「ちばける」「ほたえる」など
 子供や犬猫などが、甘えてふざけ騒ぐこと、調子に乗って戯れること、じゃれることを、山口弁で「そばえる」「すばえる」「つばえる」「ちばえる」「ちばける」「ほたえる」などと言います。
  「そばえる」は清少納言の『枕草子』(10世紀終り頃成立)にも見える古い中央語で、江戸時代の浄瑠璃や歌舞伎などでも頻繁に使われています。「すばえる」は「そばえる」が訛り、「つばえる」は「すばえる」が訛ったものです。さらに「つばえる」が訛って「ちばえる」となり、その「ちばえる」から「ちばける」が派生したものと考えられます。「ほたえる」は江戸時代の浄瑠璃などにもよく出てくる、元々は上方語ですが、現在でも西日本の各地で方言として用いられています。
 「そばえる」は「戯れる」という語意から派生して、小雨が降り始める、しぐれる、にわか雨が降るなどの意味でも使われます。
  「ちばける」は、単に甘える、甘えて幼稚な態度を取るという意味で用いられる場合もあります。「大きな子のに、ちばけたらおかしーでね(大きい子なのに、甘えたら変だよ)」というふうに使います。
 
        森川信夫著『面白くて為になる 山口弁よもやま話』より
 
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