◆カブトガニ画像8(飼育幼生)◆
 飼育している幼生の画像からいくつかを紹介します。画像の表示には時間がかかります。

 幼生の飼育研究は、1997年度8月生まれを30個体ほど原田先生からいただいて開始しました。最初の1ヶ月でどんどん死んでしまって飼育は難しいと思いました。でも、幼生を網ですくうのに慣れてきた頃に海水を2日に一度換えることでなんとか死なずに飼えるようになりました。最初に干潟の泥を入れすぎてエサを与えるためにすくう時に押しつぶしていたのかなと思います。今は、もぐれるだけの厚さに干潟の泥を入れています。また、網で大きな砂粒はのけています。普段はパットの中で飼育していて、エサを与える時にペトリ皿に移しています。
 7齢になったところで、ペトリ皿を乗り越えるようになり力も強くなってきたので放流しました。なんとなく惜しい気もしましたが、いつまでも牢獄みたいなところではかわいそうです。ただ、自然の中で生きのびることはかなり難しいと思っているので複雑な気持ちでした。
pat 34rei 2food 422

 1998年度には、卵を10個程度採取し、学校で孵化を試みましたが失敗しました。この時の方法は、網の中に卵をいれて海水だけを換える方法です。数日すると部分的に赤くなり腐ってしまいました。副部長も挑戦し家で砂の中にずっと入れていて成功したので、再度、卵を採取しカゴの中に砂を入れその中にガーゼでくるんだ卵を埋めて海水を2日に一度換えることで孵化に成功しました。1999年・2000年には回転卵の時期に採取し、ただ砂の中に入れて海水を換えるという簡単な方法で孵化させています。秋穂湾で見つけた卵は、そっと元にもどしておきましたが、産卵地前の干潟があまりいい条件ではないので、できれば卵の時期に救ってやるといいかもしれません。卵から出た幼生は、祖先がサンヨウチュウと同じということを見せてくれます。なんとなくパンダのような姿は、ユーモラスです。
egg 1rei 1rei 1rei

 幼生は脱皮を繰り返しながら大きくなっていきます。何回脱皮するかは、脱皮の記録からたぶん成体になるまで15回という説に近いと思います。大きくなる割合は最初が約1.3倍ですが、倍率は少なくなっていくようです。1齢は黄色に近い色。2齢は透けてみえる茶色でほんの少しの尾剣がついてカブトガニだということを示しています。3齢は茶色でほぼ成体と同じ形になっています。4齢から色が濃くなってブドウの色を思わせる色になってしまいます。
ssize
 上の写真は、飼育している幼生を集めてみたものです。6・7は少し大きさが違うけど6齢で、8は7齢です。

k2food 2rei 829 821 k3 k4 614 912 5rei 6rei

 脱皮の時期は、月のはじめ頃にはじまります。朝来てみると抜け殻があったので夜に抜けているようです。観察できた個体は、4時頃に前の部分が少し出ていて下校時刻の6時半頃には、かなりはっきりとわかるようになっていました。先生が観察した結果、抜け終わりは午後9時頃だったのでかなり長時間かかって脱皮することがわかります。下関の幼生観察会では、どこから抜けているのかはっきりとわかるものがいました。  脱皮は8月に孵化し、翌年の6月頃に2齢に、そして7月頃に3齢に、8月頃に4齢になります。この時期に3齢のままでいるのもいてわかれます。そうして冬眠し、翌年の6・7月頃に5齢。8・9月頃に6齢。それで冬眠して翌年の6・7月頃に7齢になりました。
dapi dappi2 711

 12月のはじめ頃より5月の中頃までカブトガニは冬眠に入ります。どこでわかるかというと、砂にもぐったままじっとして動かなくなるからです。でも、起こしてやると動くので深い眠りではないみたいです。目覚めは、毎日見ていると動いた跡が見つかるのでわかります。最初の冬は本当に何も食べずに生きていけるのか大変心配でした。翌年の春の終わりに全部が動きだしたのは嬉しかったです。でも、残念なことに1個体は目覚めることがありませんでした。
1241
 尾剣は、折れやすいので注意が必要です。ハチガメの別名から毒があって刺されてしまいそうですがそんなこともありません。起きる時に使っていることがわかりました。これは、そんな動きをしているところです。でも、ひっくりかえると起きあがることなくじっとしているものも、わりといます。ひっくりかえしてやるとしばらくして動き出します。原田先生は、エラに珪藻がつきやすいので注意が必要だと言われていました。見つけるとみんなでひっくりかえしています。自分でおきあがる経験をすると次から上手に起きあがるようになるみたいです。尾剣を逆に立て、それからエラで思いきり水をかいて回転します。
okiru
 エサを食べるところを見たいと思っていましたが、小さくてペトリ皿の下から見てもなにもわかりませんでした。6・7齢になったところでゴカイを与えてやると食べたので、これはチャンスと撮影したのがこの写真です。カブトガニ君?さん?にとってはすごく失礼なことをしたのかもしれない。
sokuji

Copyright(C) Aio Junior High School Science Club
もどる