いとこ煮の名前の由来

 いとこ煮の命名の由来は諸説がある。

 説1
 いとこ煮(萩風)は、小豆を柔らかく煮る、白玉だんごを作ってゆでる、だし汁に干ししいたけを入れて煮るというように、最終的にお椀で一緒になるはずの材料を別々に煮ている。この別々に煮ることを“銘々(めいめい)に煮る”という。めい⇒姪(兄弟の子ども)。姪と姪(兄弟の子ども同士)が一緒にお椀に入って一つの料理を作り上げている。お椀の中の具は、姪同士なのでつまり、お互いは従兄弟(いとこ)の関係。よって、いとこ煮という。

 説2 
 全国で一般的ないとこ煮は、小豆とかぼちゃを甘すぎない程度に汁けがなくなるまで煮たものである。小豆とかぼちゃは煮えるまでの時間が違うため、まず、小豆をかなり柔らかくなるまでゆでる。小豆が柔らかくなってきたら、かぼちゃを加えかぼちゃが柔らかくなるまで煮る。そして、最終的に調味をして汁けがなくなるまで煮詰める。このように、材料を順次適当な時期に加えていくことを“追い追い(おいおい)に煮る”という。おい⇒甥(兄弟の子ども)。ここから転じていとこ煮という。

 説3
 いとこ煮は、婚礼や法事といった冠婚葬祭の席で必ず出される。冠婚葬祭で兄弟姉妹や従兄弟たちが集まったときに食べる料理だったことから、「いとこ煮」と呼ばれるようになったという。

 説4
 野菜ばかりを煮るので、近親関係なので、いとこ煮。

 説5
 12月8日のお事始めにつくられたオコト汁が転じた。


一般的ないとこ煮の作り方

(4人分)
小豆とかぼちゃを煮た汁気のないいとこ煮
小豆     75g(カップ1/2)
かぼちゃ  150g 
だし汁    400ml(カップ2)
砂糖     大さじ3
しょうゆ   大さじ1

① 小豆を一晩水につけておく。(小豆は4~5時間では、あまり吸水しないので、急いでいるときはそのまま使う。)
② 小豆をなべに入れ、小豆がつかる程度の水を入れて沸騰させる。火を消し、ざるにあげ、ゆで汁を捨てる(アクを抜くため)。再び、鍋にもどし、水を入れ、小豆が柔らかくなるまで気長に煮る。小豆が煮えたら汁気をきっておく。

圧力鍋で小豆をゆでる方法
 小豆を一度ゆで、ゆで汁を捨てた後、小豆を圧力鍋に入れる。ひたひたの水を加え、圧力鍋のふたをして、重りが回り始めて(圧力がかかってから)3分間中火で加熱する。火を消し、圧力が抜けるまでそのままさます。

③ 鍋にだし汁を入れ、3cm角に切り、面取りしたかぼちゃを入れ、かぼちゃが柔らかくなるまで煮る(10分くらい)。小豆、砂糖を加え弱火で煮る。両方が柔らかくなったら、しょうゆを加えて、汁気がなくなるまでゆっくり煮る。


参考資料   知れば知るほどなるほど料理のことば ベターホーム協会著

参考サイト  http://www.kyukeiren.or.jp/katsudo/newsletter/no23/cuisine/