1年「いくつといくつ」〜5人組づくり〜 





 自分の思いで赤白の帽子の色を選んだ子供達は、リズムのよい曲に合わせて身体を動かし、曲がストップしたことを合図に3人組、次に4人組をつくる。
その際に、組に入れなかった子供は、次回で必ず組になれるように配慮する。
「音楽が止まったら、大急ぎでいろいろな友達と組をつくったんだ」
「組の仲間にちゃんと入れるかとドキドキしたけれど、入れてよかったよ」
「今度は、もう1人ふえて5人組をつくるんだね。
「今度も組を絶対つくるぞ。はやく音楽をかけてよ」
 組づくりのルールが分かった子供達は、楽しそうに5人組づくりに挑戦する。
 
 その5人組の中から、赤3人白2人の組と、赤2人白3人の組を意図的に紹介して見比べさせることで、両者の色の違いに目を向けさせる。
「白の帽子の数が違うよ。こっちは3人で、あっちは2人だよ」
「赤の帽子の数も違うよ。こちらは2人で、あちらは3人だよ」
「5人がかたまるよりも、きちんと並ぶと、分かりやすくなるよ」
 5人組の構成の様子を、黒板上におはじきで提示しながら、現実事象としての並び替えと、おはじきの操作、『5人は赤3人と白2人』という言葉による表現、そして数字を用いた表現とを対応付けていく。

○○
 ○● ●

○○●○●
○○○●●

5は
3(白)と
2(赤)

● ○○
● ●

●○●○●
○○●●●

5は
2(白)と
3(赤)

 5人組の構成の見方に慣れたところを見計い、
「あなたは、今の赤や白の数とは別の5人組ができるかな?そして、誰が『いろいろな5人組をつくったチャンピオン』になれるかな?」
と投げかけ、記録の仕方を説明する。
子供達は、新たな5人組をつくっては、そのときの白赤の数を用紙に○と●で表し、その記録を比べ合う。
その際に子供達にとって大きな問題も生じる。
「僕は白帽子だ僕が組に入るから、白1赤4だよ」
「N君が組に入ってから、誰か赤の人と入れ替わったらいいんだよ」
「白がいなくなって、赤が1人増えて5人になるから、組がつくれるよ」
 こうして、0と5による組が、子供たちみんなのものになっていく。

 このような繰り返しで、0と5,1と4、2と3、3と2,4と1,5と0のすべての場合をつくり、5人組がいろいろあることに気づく。





 5の合成・分解の考えをもとに、5以外の数を扱って合成・分解を考える場面である。
○ 6〜9までの合成・分解(選択)
 ここでは、扱う数を6、7、8、9とし、自分で1つ選び、その数を赤白の数で構成する。
構成し尽くしたら、他の数を選んで構成していく。
このように、自分が学習をすすめていく方向を選択できる場を設定することは、主体的に学習をつくりだす力を育む上で極めて大切である。
 自分なりに選択した数についての合成・分解にあたっては、前時のような身体活動ではなくおはじきを使って考えをすすめていき、右のような記録カード(1つの数につき1枚)に、自分が見つけだした2つの数の組を記していく。
当然、子供一人一人が選んだ数値は異なることになるので、同じ数を選んだもので話し合う場を設ける。
 ここの場では、次のことをねらっている。
 ・ 同じ組とみたり、見落としたりした2つの数 の組はないか
 ・ 2つの数の組の場合がすべてあるか

○ 10の合成・分解
 次に、10の合成分解については、「答え」の場合が最も多いだけでなく、以後の繰り上がり・繰り下がりのある計算に直結するものである。
したがって、10の合成・分解は、全員が取り組み、身につける学習対象にする。
 2つの数の組を見つける工夫としては、前時で工夫したことから次のアイディアが生まれる。
「白と赤をかためて、一列に並べてみる」
「白と赤のくっつく所がガタガタじゃなくて、まっすぐになるように並べ替える」
「赤を1つふやして、白を1つ減すと、おはじきを使わなくてもいい」
 つまり、2つの数の一方を1ずつ変化させたときに、もう一方の数の規則的な変化を見いだしたことになる。
早速、子供達はこのアイディアを使ってみることで、その便利さを感じ取る。



 子供を学ぶ主体にしていくには、学ぶ楽しさの質を学年の発達に応じて徐々に高められるようにしたいものである。
それ故に、特に5人組づくりの場合は、余る子供が生じないように教師やマスコット等を加えて、全体の人数が5の倍数になるように設定した方がよい。
また、記録カードやおはじきは十二分の量を準備し、多様な考えをもつための具体的な操作活動を保障しておく。
 このような学習意欲や考える楽しさを支える環境を整えることも、教師の大きな役割となる。

授業資料