◆農業をやって家族の結束もさらに強く


 今の生活のパターンは、月・水・金にりがあるので、その前日は花の荷造りをして夜に市場に届け、競りの当日はその次の競りに向けて花を切る作業に入る。
  次に咲く花の管理もあるのでシーズン中は1日15時間以上働く日もあって、前の仕事の忙しさとは比較にならないよ。
  収入も減って、生活は以前よりずっと厳しいけど、女房と二人、時には子どもたちも参加して働くなんていうのは、サラリーマン時代には考えられないことだっただけに、充実感もこれまた比較にならないほどある。
  それでも週一回の休みはとって、地域活動に出たり、テニスや山の散策、たまには親に会いに行くなど楽しんでいる。女房なんて文化イベントの企画を地域活動の中でやって、今じゃ地域のリーダーになっちまった。僕は、大学の同窓生のネットワークで農業技術の研究をしている大学教員と知り合いになり、大学や試験場の研究者との共同研究会もスタートする予定だ。
  今は、農産物の市場単価、先進地情報など農業技術の情報ネットワークの整備が行われていて、自宅の端末から必要な情報を得られるだけでなく、種や肥料の購入もできる。
  農業もネットワークの時代だなとつくづく思う。僕は今までの仕事でパソコンは慣れていたから、最初から情報処理や収支計算、作業管理、データ分析など、すべてパソコンをフル活用していたけれどね。
 この頃、長男が県立農業大学校に行くと言い出している。新しい農業を学んで、後継者になってくれるのかなと思うと将来が楽しみだ。
  サラリーマン生活を捨てて、慣れない農業を始めて苦労もあったけど、都会では絶対味わうことがなかった人との交流、丹誠たんせい込めて育てたものを出荷する喜び、自然の中の生活は本当に素晴らしいよ。
  まあ、女房の実行力に負うところも大きかったけどね。

                       おわり